田中雄二の「映画の王様」

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加山雄三の映画 その3「若大将シリーズ」

2023-01-08 07:01:48 | 映画いろいろ

若大将シリーズ

『大学の若大将』(61)(1980.8.16.)杉江敏男



 お決まりのストーリーと出演者だが、安心して見ていられるし、今時作れないような映画だし、青大将(田中邦衛)やタコ(江原達怡)など、脇役も楽しく、古き良き時代を思わせる。大学に入って現実を知った人たちが、この映画にロマンを求める気持ちは、自分もその一人なのでよく分かる。


『銀座の若大将』(62)(1976.11.14.)杉江敏男
『日本一の若大将』(62)(1978.9.8.)福田純
『ハワイの若大将』(63)(1984.1.2.)福田純
『エレキの若大将』(65)(1976.4.23.)岩内克己


『アルプスの若大将』(66)(1993.2.9.)古澤憲吾

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/27b084ac80211421a2021ec6fffffda2


『レッツゴー!若大将』(67)(1977.4.9.)岩内克己
『ニュージーランドの若大将』(69)(1977.1.1.)福田純


『俺の空だぜ!若大将』(70)(2011.5.21.日本映画専門チャンネル)小谷承靖

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2dfbae2565421711828ce19296690a98


『帰ってきた若大将』(81)(1982.4.1.)小谷承靖

 公開当時は、たのきん映画『青春グラフィティ スニーカーぶる~す』と併映されていたので見なかった。それにしても、みんな年を取ったなあというのが、この映画の第一印象。

 若大将=田沼雄一(加山雄三)も青大将=石山(田中邦衛)も、もはや中年となり、名物おばあちゃんだった飯田蝶子はすでに亡く(写真で登場)、マドンナも、星由里子、酒井和歌子の時代は昔々(今回は坂口良子とアグネス・ラム)となれば、なぜいまさら若大将なのか、という気がする。往年のシリーズも、若大将がサラリーマンになってから、がくんと人気が落ちたのではなかったのか。

 確かに、寅さん同様、分かり切った安心感を持つことは出来るし、若大将と青大将の掛け合いを見て、うれしくなったりもする。けれども、それだけなのである。

 ニューヨークマラソンのシーンにしても、当然、昔の『日本一の若大将』(62)のような、はつらつと走る若大将の姿はなく、中年になった若大将の苦しそうな走りを見せられるだけ。かつてのシリーズは、めちゃくちゃな明るさとはつらつとした加山雄三が魅力だったのに…。

 役者だって当然年を取る。若き日の思い出はそのままにして、年を取ったらそれに見合った役をやるべきだ。変なノスタルジーに浸ったような映画は、かえって昔の良さを消してしまうのではないか。頑張る中年若大将なんて…。いつもはノスタルジーに浸り過ぎる自分としては、随分と厳しい見方になった。


 こうして並べてみると、そのほとんどが東宝の映画。彼は紛れもない東宝のスターだったのだと改めて感じた。

 

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加山雄三の映画 その2

2023-01-08 06:29:11 | 映画いろいろ

 『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』(62)稲垣浩/浅野内匠頭

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/44e9e5a29e9474fc38ae2552b42562cc


『名もなく貧しく美しく』(61)松山善三
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b3f56334db4ea13233ab7af4d3b21513


『恐怖の時間』(64)岩内克己

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2c0b5eb82f6657f6da00c32adba769d5


『バンコックの夜』(66)(1982.8.21.)千葉泰樹

 医学部のインターンを終え、バンコックに赴任した修一(加山雄三)は、富豪の令嬢(張美瑶)と出会い、愛し合うようになるが…。日台合作のメロドラマ。

 どうしても、この時期の加山雄三は“若大将”に見えてしまう。この映画のラストは、悲恋になっているのだが、前半の快調なテンポは、まさに“若大将調”の明るい青春ものとしか映らない。

 まあ、今時はこんなタッチの恋愛映画は見られないし、加山のような人畜無害的なキャラクターを持った俳優も見当たらない。

 その意味では、古き良き時代を懐かしむには絶好の映画だが、悪くいえば、ただそれだけといえなくもない。でも、そう言い切ってしまうのは酷かな。なぜって、俺自身、結構楽しく見ていたのだから…。


『八甲田山』(77)(1977.7.7.千代田劇場)森谷司郎

 恐らく、日本映画史上でも、上位にランクされると思われる力作。雪中行軍を通して描かれる人間の苦しみ、愛情、友情、リーダーの在り方。自然の恐ろしさ、厳しさ、自然に対する人間の無力さなどが、リアルに描かれていた。ラストの「雪中行軍での生存者も日露戦争で全員戦死」の字幕は、改めて戦争の無情さや空しさを感じさせる。

 主役の高倉健、北大路欣也はいずれも熱演。加山雄三の珍しく抑えた演技が印象的。悪役・三國連太郎はさすが。軽快に雪中を行く、秋吉久美子の案内人も印象に残る。そして、ラストとの緒形拳のアップの表情がすごい。


 

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加山雄三の映画 その1

2023-01-08 06:00:42 | 映画いろいろ

 年末の紅白歌合戦への出演を最後に、ステージからの引退を表明した加山雄三の出演映画で、見たことがあるものをちょっと調べてみた。


岡本喜八監督

『独立愚連隊西へ』(60)(1989.1.18)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/33ecbe7aae28d00f1a8c5984f542ae49


『戦国野郎』(63)(1992.1.25.)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8d86539ccfdb091293ddcc1611aed05b


『日本のいちばん長い日』(67)(1974.8.16.ゴールデン洋画劇場)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4eaf78cafbb73ab170b60b362cb49387


成瀬巳喜男監督

 『乱れる』(64)(1976.12.19.日曜映画劇場)

 監督・成瀬巳喜男、脚本・松山善三。戦争で夫を亡くした後も、嫁ぎ先の酒屋に留まり、家のために懸命に尽くしてきた森田礼子(高峰秀子)。義弟の幸司(加山雄三)から愛の告白をされた礼子は、悩んだ末に、幸司と共に逃避行の旅に出る。果たして2人の運命は…。

 2人がたどり着いた銀山温泉の風景、そして思わず絶句させられるような、やるせなく衝撃的なラストシーンが心に残る。まさに"ヤルセナキオ"の真骨頂。加山が、一途に義姉を慕う幸司役を見事に演じた。


『乱れ雲』(67)(1976.5.30.日曜映画劇場)(1999.1.)

 交通事故で夫を亡くした女性(司葉子)と加害者の青年(加山雄三)が、許されない間柄でありながら、引かれ合っていく姿を描く。

 成瀬巳喜男の遺作となった『乱れ雲』が、妙に心に染みた。初めて見たのは高校生の頃だったので、この映画で描かれた男女の愛憎の機微(まさに別名ヤルセナキオの本領発揮!)など分かろうはずもない(いまだに分からないか)。

 もっとも、この映画で描かれたような、夫を失った女性の自立など、今は珍しくもない(夫がいても自立する)のだから、この映画を初めて見る若者たちには、いかにも古くさい映画として捉えられてしまうかもしれないなあ。

 加山雄三は、頑張っているが、時々若大将に見えてしまうところもあった。


黒澤明監督

『椿三十郎』(62)(1979.10.25.蒲田宝塚.併映『隠し砦の三悪人』『用心棒』)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9b82cd9ed7edf5a2245107033de223ea


『赤ひげ』(65)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/83c26034db6cf9fde5a303eb2f538096
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/26bccad59a259cfe75f68aa0e4fe0010
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/48cd11470d0e2ece91ad9b0601a2dd2c


戦争もの 

『太平洋の翼』(63)(1979.4.3.)松林宗恵

 東宝演技陣に、若き日の渥美清、西村晃などが加わった戦争悲喜劇。女優は星由里子ただ一人。


『青島要塞爆撃命令』(63)(1978.10.11.蒲田宝塚.併映は『火の鳥』)古澤憲吾

 第一次大戦中の青島の戦いで、ドイツ軍に立ち向かった海軍航空隊の活躍を描く。意外な拾い物。東宝に戦争映画の名作がたくさんあるのを忘れていた。複葉機からのレンガや釘の投下シーンが、いかにも古めかしくて面白い。主要メンバーは誰も死なないし、深刻にならずに見られる楽しい戦争映画。


『連合艦隊司令長官 山本五十六』(68)(1968.8.目黒京王東宝)丸山誠治 
『日本海大海戦』(69)(1973.9.30./10.7.日曜映画劇場)丸山誠治 
『激動の昭和史 軍閥』(70)(1976.12.30.)堀川弘通


『零戦燃ゆ』(84)(1987.8.15.ゴールデン洋画劇場)舛田利雄

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/84b1fe88b1f99c0a45c829a5121770ca

 


 

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