田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『カラーパープル』(23)

2024-01-03 09:46:29 | 新作映画を見てみた

『カラーパープル』(2023.12.21.ワーナー神谷町試写室)

 スティーブン・スピルバーグ監督が、アリス・ウォーカーの同名小説を映画化した86年作を、舞台版に続いて、スピルバーグが製作総指揮を務めてミュージカルとしてリメーク。監督はブリッツ・バザウレ。

 20世紀初頭から1940年代、横暴な父によって望まぬ結婚をさせられたセリー(ファンテイジア・バリーノ)が、夫のミスター(コールマン・ドミンゴ)によって最愛の妹ネティ(ハリー・ベイリー)と引き離され、夫から不当な扱いを受けながらも、やがて歌手のシャグ(タラジ・P・ヘンソン)や、義理の息子の嫁ソフィア(ダニエル・ブルックス)との出会いによって自立に目覚め、自分を変えていこうとするさまが描かれる。

 ゴスペルを基調としたクインシー・ジョーンズ製作総指揮の音楽は素晴らしいのだが、映画全体を考えると、やはりオリジナルの方に軍配が上がる。それは、ミュージカル云々というよりも、今回さらに強調された神の存在がピンとこなかったことが大きい。

 さりげない描写がかえって感動的だったオリジナルのラストシーンに比べると、全ては神のおかげと歌い上げる今回のラストは、キリスト教への思い入れがない自分にとっては、あまり心に響かなかった。


『カラーパープル』(85)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/be25f228bfe4e230a279d573eb645ad7

 

 

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映像の世紀バタフライエフェクト「ハリウッド 夢と狂気の映画の都」

2024-01-03 00:10:21 | テレビ

 20世紀初頭、発明王トーマス・エジソンに、高額な特許料を求められた映画人たちは、自由に映画を作れる場所を求めて西海岸ハリウッドにたどり着く。

 小さな田舎町は第一次世界大戦を経て世界最大の「映画の都」となり、30年代には黄金期を迎える。だが、その輝きに魅せられ集まった若者たちを待っていたのは、彼らの夢を飲み込み肥え太るモンスターだった。夢と狂気が渦巻くハリウッド百年の物語。

 去年公開された『バビロン』と重なるところもあったが、ジュディ・ガーランドをハリウッドの象徴として描いたのは、一体誰の趣向だったのだろうか。俳優出身のロナルド・レーガン元大統領と彼の命を救ったシークレットサービスとのやり取りが面白かった。


「映画の都!ハリウッド」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a14c93968617792f98a1031449e84d1f

『バビロン』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9e7b260161f2ad2289f0fdedd702631d

『ジュディ 虹の彼方に』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/638e0e1db1dde3744eff182626062033

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