田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

ノーマン・ジュイソンの映画 その2『屋根の上のバイオリン弾き』『ローラーボール』『フィスト』『ジャスティス…』

2024-01-23 22:59:02 | 映画いろいろ

『屋根の上のバイオリン弾き』(71)(1981.8.10.月曜ロードショー)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/55af21b2a116eb4edb6ddfa73d51ee38


『ローラーボール』(75)(1979.6.11.月曜ロードショー)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/49c98eca2aaa9f9915a196b1359dab06


『フィスト』(78)(1984.12.29.)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/bd4bcda50d95293e3bf2b5ea0138304e

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/110ae9f8b23979f0c6300eb3974fc736


『ジャスティス…』(79)(1983.7.8.早稲田松竹.併映は『ミッドナイト・クロス』)

 この映画は、シドニー・ルメットの『評決』(82)同様、アメリカの法曹界の暴露的な内容や、裁判漬けになってしまった市民の様子を描いて問題提起を行っているのだが、『評決』と比べると、テーマへの突っ込みの弱さを感じた。

 ジャック・ウォーデン演じる自殺癖のある判事がおかしみを出して、堅苦しくなりがちな話を救っているのだが、正義感にあふれ熱血な弁護士を演じたアル・パチーノが、熱演の割には空回りしている感があった。従って、弁護士が依頼人である悪徳判事の罪を暴いてしまうというラストも、本来ならば痛快に映るはずなのだが、あまり盛り上がらない。

 この映画を監督したノーマン・ジュイソンとルメットの作風の違いもあるのだろうが、『評決』のポール・ニューマン演じる駄目弁護士の正義への目覚めと、この映画のパチーノ演じる弁護士の寝返りとでは、同じ正義というものを扱いながら明らかに異なる。

 ジュイソンは、名作『夜の大捜査線』(67)で、人種問題を見事に捉えて描いていたが、もともと『華麗なる賭け』(68)『屋根の上のバイオリン弾き』(71)といった娯楽作の一級品も作ってしまう人だから、社会派的な映画を撮り続けているルメットと比べるのは少々ピント外れなのかもしれない。

 そう考えれば、この映画も娯楽性に富みながら、適度な問題提起も忘れなかったものとして評価することもできる。

『評決』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6ba8cad31dd36fe3f241d04e76b181c4

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ノーマン・ジュイソンの映画 その1『シンシナティ・キッド』『アメリカ上陸作戦』『夜の大捜査線』『華麗なる賭け』

2024-01-23 21:25:35 | 映画いろいろ

『シンシナティ・キッド』(65)(1975.8.31.日曜洋画劇場)

 ニューオリンズに住むスタッド・ポーカーの名手シンシナティ・キッド(スティーブ・マックィーン)は、ポーカーの世界に君臨する“ザ・マン”ことランシー・ハワード(エドワード・G・ロビンソン)がニューオリンズにやって来た事を知る。2人はナンバーワンの座を賭けて一大勝負を開始するが…。若きポーカー賭博師の挑戦と挫折を描いた骨太のドラマ。サム・ペキンパーに代わって監督したノーマン・ジュイソンの出世作になった。

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2484ab1dc21520e1bf2ac3356c9fdf8d


『アメリカ上陸作戦』(66)(1986.12.14.懐かしの洋画劇場

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f26322ab391d0e5ed56de25b31b5699d


『夜の大捜査線』(67)(1974.9.29.日曜洋画劇場)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/943fb7d1fba1090c3a916efa0e80e28f

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/da7aba8c2f6929dce341b10f03c62bca

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/138348e8b5036bd07798705b11d26e21


『華麗なる賭け』(68)(1975.4.21.月曜ロードショー)(1987.2.9.)

 ゲーム感覚で泥棒を繰り返す大富豪(スティーブ・マックィーン)と、美人調査員(フェイ・ダナウェイ)が繰り広げる知恵比べ、そして甘いロマンスが見どころの小粋なアクションコメディ。監督はノーマン・ジュイソン、音楽はミシェル・ルグラン。ノエル・ハリスンが歌った主題歌「風のささやき」も大ヒットした。

 このところ、映画を本気になって見始めた頃に印象に残った映画と再会する機会が多い。この映画もその中の1本だった。そして、昔受けた感動を再び得られず寂しい思いがすることが多い中で、珍しく前回よりも面白く見ることができた。

 それは、この映画は娯楽に徹し切っており、同時代のニューシネマ作品群とは一線を画しているところが大きいのだろう。何より、監督のノーマン・ジュイソン、主演のマックィーンとダナウェイが最も輝いていた時期に撮られた作品として記憶される。

 また、ニューシネマ時代に活躍したアーサー・ペン、ウィリアム・フリードキン、ピーター・ボグダノビッチといった監督たちが、最近あまり活躍していないことを考えると、ノーマン・ジュイソンはよく頑張っているとも思える。

 やれSFXだYAスターだではなく、今を描いた彼らの映画が見たい気もするが、時の流れを思えば、もはや彼らの時代ではないことも否定できない。

 ところで、やはりマックィーンにはハングリーで野性的で行動的な役が似合うと思う。この映画でも好演は見せるものの、大富豪のイメージは合わない気がするのだが、それはこちらの勝手な思い入れであって、映画スターとして成功した実際の彼の姿は、この映画に近いのかもしれない。

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