『屋根の上のバイオリン弾き』(71)(1981.8.10.月曜ロードショー)
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『ローラーボール』(75)(1979.6.11.月曜ロードショー)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/49c98eca2aaa9f9915a196b1359dab06
『フィスト』(78)(1984.12.29.)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/bd4bcda50d95293e3bf2b5ea0138304e
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『ジャスティス…』(79)(1983.7.8.早稲田松竹.併映は『ミッドナイト・クロス』)
この映画は、シドニー・ルメットの『評決』(82)同様、アメリカの法曹界の暴露的な内容や、裁判漬けになってしまった市民の様子を描いて問題提起を行っているのだが、『評決』と比べると、テーマへの突っ込みの弱さを感じた。
ジャック・ウォーデン演じる自殺癖のある判事がおかしみを出して、堅苦しくなりがちな話を救っているのだが、正義感にあふれ熱血な弁護士を演じたアル・パチーノが、熱演の割には空回りしている感があった。従って、弁護士が依頼人である悪徳判事の罪を暴いてしまうというラストも、本来ならば痛快に映るはずなのだが、あまり盛り上がらない。
この映画を監督したノーマン・ジュイソンとルメットの作風の違いもあるのだろうが、『評決』のポール・ニューマン演じる駄目弁護士の正義への目覚めと、この映画のパチーノ演じる弁護士の寝返りとでは、同じ正義というものを扱いながら明らかに異なる。
ジュイソンは、名作『夜の大捜査線』(67)で、人種問題を見事に捉えて描いていたが、もともと『華麗なる賭け』(68)や『屋根の上のバイオリン弾き』(71)といった娯楽作の一級品も作ってしまう人だから、社会派的な映画を撮り続けているルメットと比べるのは少々ピント外れなのかもしれない。
そう考えれば、この映画も娯楽性に富みながら、適度な問題提起も忘れなかったものとして評価することもできる。
『評決』
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