田中雄二の「映画の王様」

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『燈火(ネオン)は消えず』

2024-01-06 22:39:09 | 新作映画を見てみた

『燈火(ネオン)は消えず』(2024.1.6.オンライン試写)

 古き佳き時代のガラス管のネオンを愛し、腕ききのネオン職人だった夫のビル(サイモン・ヤム)を亡くしたメイヒョン(シルビア・チャン)は、SARSが香港を襲った時に、夫にネオンの仕事を廃業させたことを後悔していた。

 ある日メイヒョンは、「ビルのネオン工房」と書かれた鍵を見つける。 10年前に廃業したはずなのに…と疑問に思ったメイヒョンが、昔の工房へ行ってみると、そこには夫の弟子を名乗る見知らぬ青年レオ(ヘニック・チャウ)がいた。

 メイヒョンはビルの死を伝え、工房を閉めることを告げるが、レオは「師匠にはやり残したネオンがある、それを完成させたい」と説得する。メイヒョンは、夫がやり残したネオンを探し出し、完成させることを決意する。 

 かつて100万ドルの夜景とうたわれ、ネオンサインきらめく夜景が名物だった香港。だが、建築法等の改正により、2020年までに9割のネオンサインが姿を消したいう。ネオン職人だった亡夫が思い残した最後のネオンを完成させようとする妻の姿を描いたこの映画は、22年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門では『消えゆく燈火』のタイトルで上映された。

 一言で言えば、きらびやかで映像としても映えるネオンを象徴として、失われていくものへの追憶を描いた映画。その点では、『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)などと同種と言ってもいいだろうが、大きく違うのは監督が女性(アナスタシア・ツァン)で、主人公も女性であることだ。それ故、男がよく描く(抱く)後ろ向きの追憶とは別種のものになっている。そこが新鮮だった。

 大竹しのぶを思わせるチャンが好演を見せる。かつてのネオンきらめく街並みとそれが消えた現在との対比、そしてエンドクレジットに重ねて、実在のネオン職人たちを映したところも感動的。「ネオンは光の書道」というセリフも印象に残った。年を取るとこういう映画は心にしみる。

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『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』

2024-01-06 08:58:58 | 映画いろいろ

 和田誠監督の映画2本を再見。何度見ても、見終わった後で「いい映画を見た」と実感できる。特に真田広之がいい。

『麻雀放浪記』(84)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/acb3da5cc3962e1b0183c0bfcc2a1828

『快盗ルビイ』(88)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4a10497a93dfcfaa2421b42f92964544

「和田誠 映画の仕事」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/774dad971d52bd0b45e617956c19394d

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