田中雄二の「映画の王様」

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『ゴールデンカムイ』

2024-01-11 08:00:14 | 新作映画を見てみた

『ゴールデンカムイ』(2023.12.11.東宝試写室)

 日露戦争の旅順での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一(山崎賢人)は、ある目的のために一獲千金を狙い、北海道の山奥で砂金採りに明け暮れていた。

 そんな中、杉元はアイヌ民族から強奪した莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、そのありかを暗号にした刺青を24人の囚人の体に彫って彼らを脱獄させた。

 金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシリパ(山田杏奈)に救われる。彼女は金塊を奪った男に父親を殺されており、その敵を討つため杉元と行動を共にすることになる。

 一方、大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉(玉木宏)と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長の土方歳三(舘ひろし)も、それぞれ金塊の行方を追っていた。

 明治末期の北海道を舞台に、アイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトルの同名漫画を実写映画化。眞栄田郷敦、工藤阿須加らが共演。監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭。

 佐々木譲あたりが書きそうな、北海道を舞台に史実とフィクションを融合させた冒険譚。佐々木の『五稜郭残党伝』や、土方が生きていたとする手塚治虫の『シュマリ』や逢坂剛の諸作の系譜に連なる。

 アイヌの少女に扮した山田が頑張っている。ただ、アイヌ言葉ではなく、共通語をペラペラと話すところに違和感があるが、杉元にとっては彼女が案内役となるのだから、これは仕方ないところか。

 話は『沈黙の艦隊』同様、尻切れトンボで終わっていたが、これは続編を想定した結果なのか。何だかはぐらかされたようで、あまりいい気持ちはしなかった。

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