フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

模写

2018-05-02 07:21:23 | Weblog

モーリス・ラヴェルの「クープランの墓」を聴きながら先生の残した絵から人物の模写をしている。色に特徴があってダークグレーと白抜きとバーミリオンとアンバー以外使ってない。線と色にはこだわりがあって生徒に無駄な色を使わせなかったと聞いているから5色以内で纏めるということをセオリーとしていたのかもしれない。それとも我々素人の絵が見るに耐えられるのは5色以内とわかっていて教えていたのかもしれないね。先生の絵は何気ない雑踏を描いていてもそこにいる通行人が動いているように見えるし雑踏のざわつきまで聞こえてきそうだ。線によるものか色によるものか生きていたら教えを乞うのになぁ。先生が亡くなって16年。もう先生から直接教わった人は絵画教室に3~4人しか残っていない。彼女たちの記憶も薄れてゆくなかボチボチと先生の教え方を語りだしてくれた。美術の基本的な理論も習ったそうだが忘れたと。来る日も来る日も線だけの練習で絵は描かせてくれなかったそうな。1年くらい線ばっかり描いてそれからデッサン。しばらくたって鉛筆画がどうにか形になったところで色をいれたと。初めて色を付けた時はうれしかったと。でも先生の色のルールがあって青をのせれないとかいろいろあったとのこと。そういう厳しい中をかいくぐって生き抜いてきたバァサンたちなのに何でこんなにゆるいのかねぇ。それとも出来の悪かった奴だけ残ってるのかな。と一人納得するのであった。その分お笑いパワーが凄いからそれもまたよしかとこっちも納得。クープランの墓の中で先生の苦笑いが見える。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする