
「大根人参大嫌い 今日も母さん大根煮てる」、こんな口調で子どもの頃に遊んだ。子どもは全般的に野菜嫌い、現代っ子に限らずそれは長い歴史だという。そうかもしれないが、戦後の食糧難時代、とにかく好き嫌いで食材を選ぶという贅沢は言っておれなかった。自宅の菜園で収穫する大根も人参も白菜もごぼうも豆類も芋類も、とにかく何でも食べた様に思う。
そんなことを思い出しながら切り干し大根を作った。大根は懇意な方から届いた新鮮なもの、煮しめにおでん、ぶり大根や手羽元との煮物などどれにしても、この季節ならではの食材だ。この大根、大事に食べるために昨年に続いて加工する。昨年の切り干しつくりの様子を新聞の読者欄に投稿したら掲載されてひと味増したが2度は投稿は出来ない。
子どもの頃は、細く切ってむしろに広げて干し、手もみなどする母や祖母を見ていた。今に思えば立派な内職だったと言えるかもしれない。我が家には、大根を細く短冊に切って干すのに、むしろもなくそれを拡げる場所もない。むしろの代わりに花かご苗トレーをよく洗いキッチンペーパーを上敷きにして拡げて干す。
トレー使用の良いところ、便利なところは日ざしの移動に合わせて簡単にトレーを移動できることだ。狭庭では一日中の日当たりは望めない。ましてやこの時期の太陽は低く隣家の陰も長く延びて遮る。さて大根3本分の切り干し、相成りまするやら。