a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

TEEリレートークVol.25 『芝居小屋とわたし』 坂本勇樹

2019-03-25 15:32:09 | 劇団員リレートーク


こんにちは。
渉に紹介された坂本です。
渉といえば冷静な頭と判断力で今回の『クラカチット』でも、
舞台造りにタイムスケジュールの把握など細かいところに目が行き届き、
稽古場をある意味引っ張っている存在です。



さて初めて劇団に面接で訪れ、
その後小稽古(ロビー)でやっていた稽古を見学させてもらった時の事は、
今でも鮮明に覚えております。
コーヒーの香り、
木の床、
壁に貼られたたくさんのポスター、
灯油のストーブ、
公衆電話、
剥き出しの鉄骨、
木で作られたバーカウンター、
「矛盾した空間の味」と書かれた看板。
そして円形に並べられた長テーブルに座り、
稽古に励む劇団員。

一瞬にして魅せられました。

東京の一角とは思えない不思議で濃密な空間。
懐かしさも感じました。

2回目に劇団に来たのが確か、
本番前の『銀河鉄道の夜』の稽古だったと思います。
作品に向かう劇団員の姿が凜としていて、
人間の純度が高いというか、
清々しくて心を奪われたのですが、
同時におっかない舞台だと思いました。
以来、去年の最後のクリスマス公演までの間、
必要な時以外、この舞台に触れないようにしていました。
盆の上に乗ることなどあり得ませんでした。

その後、本格的に劇団活動に参加するのですが、
まず驚いたことは、人と人の距離が近いということ。
ペットボトルも回し飲みしてるし。
それは間接キスだぞ!
それはいいとしても、すごいところに来たなと思っていました。
いろいろ驚くことばかりでしたが、
その驚きはもう一度、
冷静にそのことについて考えるきっかけを作ってくれました。



その後、初舞台に研究生公演、
本公演に旅公演、
立て続けに着くことになり、
今までの生活とは全く違い、
連続性のある日々になりました。
演劇での生活は、かけがえのないものでした。
叱られることの連続でへこむこともありましたが、
演劇生活にワクワクしている方が勝り続けました。

『明日を紡ぐ娘たち』の初演のパンフレットに掲載されている出演者の文章を読んだ時。
ありのままに事実だけが書かれた文章。
衝撃でした。
決して人には言いたくないであろうことも、
事実だけが記されている文章の中に、
その人の内面がマグマのように沸々と表出して、
正直ここまで書くのかと思いました。
初めて『銀河鉄道の夜』を観た時、おっかないと思ったのですが、
文章を読んだ時も同じようにそう思いました。
自分をさらけ出すというより淡々と内面が表出していく行為が心にずっと留まっています。
そんな演劇行為を支えてくれたのがこのブレヒトの芝居小屋で、
劇団の一人一人が濃密な空間を空気を作り上げていたのだなと改めて思います。



まだまだ、エピソードはありますが、ここで次の人にバトンタッチします。
今回の『クラカチット』では小道具係として深夜まで作業をして、
本番では音響も兼ねてやっている
篠原祐哉くんです。
では、よろしく。



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東京演劇アンサンブル
ブレヒトの芝居小屋最終公演

クラカチット
Krakatit
http://www.tee.co.jp/?p=774

『ロボット』でおなじみのチェコの作家カレル・チャペックの『クラカチット』。
化学者プロコプはなぜ原子爆薬「クラカチット」を作り出したのか? 
人間の欲望を描くSFファンタジーです。


作:カレル・チャペック
訳:田才益夫
脚本 小森明子+桑原睦+BR稽古場
演出:小森明子
音楽:国広和毅
衣裳協力:稲村朋子
音響:島猛
ムーブメント:原田亮
舞台美術:入江龍太
照明:真壁知恵子
映像:三木元太
宣伝美術:奥秋圭
舞台監督:松下重人
制作:太田昭

◆キャスト
プロコプ:雨宮大夢
イジー・トメシュ:大橋隆一郎
秘書 :山﨑智子
大プリニウス:坂本勇樹
ヴァルト教授:松下重人
ヴェールの娘:正木ひかり
アンチ:仙石貴久江
ドクトル:浅井純彦
ナンダ:奈須弘子
カーソン 公家義徳
ハーゲン公:坂本勇樹
ヴィレ王女:永野愛理
ホルツ:小田勇輔
ローラウフ中尉:篠原祐哉
ドレーバイン:真野季節
ポール:永濱渉
シャルロッテ伯母:志賀澤子
デーモン:松下重人
ジョン:洪美玉
ロッソ:永濱渉
娘:正木ひかり
門番:小田勇輔
助手篠原祐哉
少年:山﨑智子
老婦人:原口久美子


2019年3月20日~31日
20日(水)19時 終了
21日(木)14時 終了
22日(金)19時 終了
23日(土)14時 終了
24日(日)14時 終了
25日(月)休演
26日(火)19時★ 満席
27日(水)19時★ 残席僅か
28日(木)19時 〇
29日(金)19時 〇
30日(土)14時 残席僅か
31日(日)14時 満席

ブレヒトの芝居小屋 (西武新宿線・武蔵関)
全席自由

料金
当日=4,500円
前売一般=3,800円
前売U30=3,000円
★Low Price Day=2,500円(3/26・3/27)

チケット取り扱い・問い合わせ
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=50629&
劇団事務所:03-3920-5232



第9回 戯曲を読む会のご案内

2019-03-25 11:40:42 | 芝居小屋企画

東京演劇アンサンブルでは、昨年6月から月一回を目処に、「戯曲を読む会」を開催しています。

劇団員若手の提案による、いろんな戯曲を皆で声に出して読んでみようという会です。

ワークショップという形式ではないので、どなたでも気軽に参加出来ます。

第9回はレジナルド・ローズの「十二人の怒れる男」を読みます。

第一回目から何度も候補に上がっていた作品です。


戯曲に興味がある方、作品について話し合ってみたい方、「講座に行くほどではないけど演劇ってやってみたい・・・」と思っている方等、お気軽にご参加下さい!

日時 4月13日(土) 18時30分~21時30分
場所 ブレヒトの芝居小屋
参加費 500円(会場費等)

参加希望の方は2日前までに03-3920-5232、もしくはteeyomukai@gmail.comご連絡ください。
ご質問等もお気軽にお待ちしています。


第8回はイ・ボラムさんの「少年Bが住む家」でした。

今年1月に座・高円寺にてリーディング公演があったばかりの作品です。


「思春期で価値観が大きく変わった経験がある、だから20歳と14歳の違いが面白かった」
「作者は天才、特に最後の描写」
「事件そのものではなく、その時間経過を描いてるのが面白い」
「逃げないことを選択した父親っていうのがあまり描かれない父親像だった」
「いやでもこの父親は許せない」

等々、作品は1時間20分位でしたが、その後1時間以上感想を言い合い、盛り上がりました。

この作者は本当に言葉が綺麗で、行間も過不足がなく想像が膨らみました。



この日もプロダクションや劇団に所属している俳優の方や、大学生、社会人の方など、沢山の方が来てくださいました。

そして、過去最多タイとなる14人が参加しました!




チラシデザインは劇団員の山﨑智子です!
そちらもご覧ください!!

東京演劇アンサンブルHP
http://www.tee.co.jp



レジナルド・ローズ(1920年12月10日 - 2002年4月19日)
アメリカの脚本家。初期のテレビドラマにおいて活躍した。映画化された『十二人の怒れる男』の作者として知られる。
1954年、陪審制に基づき、ローズは殺人事件の陪審員に選出される。この時の議論は8時間にも及んだという。この実体験をふまえて、その後、陪審員によるディスカッションドラマ『十二人の怒れる男』を書いた。この作品は同年9月20日、フランクリン・J・シャフナーの演出により、「スタジオ・ワン」で生放送された。その後、エミー賞など数々の賞を受賞した。




京演劇アンサンブル
1954年4月,俳優座養成所を卒業した3期生の有志が結成。初めは劇団三期会を名のったが,67年 12月現名称に改称した。早くからブレヒト作品に取組み,80年元映画スタジオを改装して設けた劇場「ブレヒトの芝居小屋」を開場,活動の拠点とする。広渡常敏演出によるブレヒト作『セチュアンの善人』,『ガリレイの生涯』,チェーホフ作『かもめ』などが代表作。岸田国士作品の連続上演も行なった