数々の劇団の作品で、
主演を経験してきた。
そのたびに思う。
まじめに、役に向き合う姿勢は、
常に変わらない。
そして、そのたびに、
新たな引き出しを増やしていく。
アーノルド・ウェスカーの『シャイロック』ではシャイロック、
アゴタ・クリストフの『道路』では建築技師の男、
ゴーリキーの『避暑に訪れた人々』ではセルゲイ・バーコフ。
宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』では語り手、
小沢正の『目をさませトラゴロウ』では猟師、
などなど、
どれも主演や舞台の中心人物ばかりであり、
まだまだ枚挙に暇がない。
若い劇団員たちからも
「重さん」と呼ばれ、
案外まめに声をかけ、
いろんな話をしている姿を見かける。
仕込みや、バラシの場面でも、
もはやエキスパートであり、
彼独特のシャイさの裏にある後輩たちを見つめる目は、
暖かく、厳しい。
その厳しさは、
そのまま自分に返ってくる。
いや、
常に自分に返るようにしているように思う。
ストイックなまでの厳しさと、
粘り強いアプローチが、
今回の難敵であるシュトラウスの『忘却のキス』の稽古場でも垣間見えてくる。
一筋縄ではいかないこの戯曲、
しかし、稽古場では、
また、新たな引き出しを開けるがごとく、
ぐいぐいけん引している様子が見られる。
そして、その姿は、
いつになく、楽しそうなのだ。
新たな挑戦を続けるたびに、
底の知れない姿を見せてくれる。
おそらく今度の公演もまた、
ぼくの知らない重さんが舞台にいるはずだ。
この男、底が知れない。
自慢の俳優である。
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東京演劇アンサンブル公演
忘却のキス -赤色のガラスケース-
作 ボートー・シュトラウス
訳 大塚直
演出 公家義徳
音楽/かとうかなこ
舞台美術/池田ともゆき
照明/大鷲良一
映像/高橋啓祐
衣裳/稲村朋子
音響/勝見淳一
宣伝美術/本多敬+奥秋圭
舞台監督/入江龍太
制作/小森明子 太田昭
2013年3月1日(金)~10日(日)
ブレヒトの芝居小屋
全席自由(予約時に整理番号発行)
3月1日(金)19時
3月2日(土)14時
3月3日(日)14時
3月4日(月)19時★
3月5日(火)19時★
3月6日(水)19時☆
3月7日(木)19時☆
3月8日(金)19時☆
3月9日(土)14時
3月10日(日)14時
前売一般:3800円
前売学生:3000円
当日:4500円
★=4日・5日=Low Price Day = 2500円
☆アフタートークあります。
詳細はwebにて
【PC】http://www.tee.co.jp/stage-shoukai-image/kiss/kiss.html
【携帯】http://www.tee.co.jp/tee-mobile-new.htm
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