a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

この男、底が知れない。

2013-02-10 09:23:56 | 東京公演


数々の劇団の作品で、
主演を経験してきた。
そのたびに思う。
まじめに、役に向き合う姿勢は、
常に変わらない。
そして、そのたびに、
新たな引き出しを増やしていく。

アーノルド・ウェスカーの『シャイロック』ではシャイロック、
アゴタ・クリストフの『道路』では建築技師の男、
ゴーリキーの『避暑に訪れた人々』ではセルゲイ・バーコフ。
宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』では語り手、
小沢正の『目をさませトラゴロウ』では猟師、
などなど、
どれも主演や舞台の中心人物ばかりであり、
まだまだ枚挙に暇がない。

若い劇団員たちからも
「重さん」と呼ばれ、
案外まめに声をかけ、
いろんな話をしている姿を見かける。
仕込みや、バラシの場面でも、
もはやエキスパートであり、
彼独特のシャイさの裏にある後輩たちを見つめる目は、
暖かく、厳しい。



その厳しさは、
そのまま自分に返ってくる。
いや、
常に自分に返るようにしているように思う。
ストイックなまでの厳しさと、
粘り強いアプローチが、
今回の難敵であるシュトラウスの『忘却のキス』の稽古場でも垣間見えてくる。
一筋縄ではいかないこの戯曲、
しかし、稽古場では、
また、新たな引き出しを開けるがごとく、
ぐいぐいけん引している様子が見られる。
そして、その姿は、
いつになく、楽しそうなのだ。

新たな挑戦を続けるたびに、
底の知れない姿を見せてくれる。
おそらく今度の公演もまた、
ぼくの知らない重さんが舞台にいるはずだ。

この男、底が知れない。
自慢の俳優である。



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東京演劇アンサンブル公演
忘却のキス -赤色のガラスケース-

作  ボートー・シュトラウス
訳  大塚直
演出 公家義徳
音楽/かとうかなこ
舞台美術/池田ともゆき
照明/大鷲良一
映像/高橋啓祐
衣裳/稲村朋子
音響/勝見淳一
宣伝美術/本多敬+奥秋圭
舞台監督/入江龍太
制作/小森明子 太田昭

2013年3月1日(金)~10日(日)
ブレヒトの芝居小屋
全席自由(予約時に整理番号発行)

3月1日(金)19時
3月2日(土)14時
3月3日(日)14時
3月4日(月)19時★
3月5日(火)19時★
3月6日(水)19時☆
3月7日(木)19時☆
3月8日(金)19時☆
3月9日(土)14時
3月10日(日)14時


前売一般:3800円
前売学生:3000円
当日:4500円

★=4日・5日=Low Price Day = 2500円

☆アフタートークあります。
詳細はwebにて

【PC】http://www.tee.co.jp/stage-shoukai-image/kiss/kiss.html
【携帯】http://www.tee.co.jp/tee-mobile-new.htm

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