空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

HIV云々

2015-06-25 18:53:04 | Weblog
神戸新聞 「宝塚がHIV感染の中心に」自民議員発言、議事一時中断 2015/6/24 21:54

24日の市議会定例会で、自民党議員団の大河内茂太議員が一般質問に立ち、「(支援条例が制定され)宝塚がHIV感染の中心になったらどうするのか」と発言。別の議員が「不適切」と取り消しを求め、議事が一時中断した

 それはまあ、男性間の交渉で広まった面は否定できないとして、なんでそうなるかといえば不特定多数と接触するから、関係が安定的でないから、という面が否定できないわけで。だから不特定多数とアレコレやっちゃう風習がある一部で男女間で広まるわけであるし。

 なので、彼らに安定的な関係を築ける制度を提供したら…という案はありかと思う。

大河内議員は「HIVは、特に男性間の性的な接触によって広がっている。条例ができた場合、話題性もあり、たくさんの人が集まり、HIV感染の中心になったらどうするのか、という議論が市民から出てくる」と発言

 …特に、かなあ。

 まあそこは置いて、ポイント。「…市民から出てくる」。これが原文ママなら、「出ている」すなわち彼の支持者等から直接聞いた話ではなく、将来出るであろうという未来形である点。つまり、現に彼が思っているだけの彼の個人的見解を、将来出てくるであろう・出てくるんじゃないかな・出てきてくれると自分に都合がいいなあという仮想の有権者を設定し、これをもとに発言している点。

 ここは悪くともマッカーシーばりに”陳情書”を用意して、「このように多数 出 て い る」と言うべきところだったろう。
 それすら用意できないのだから、まあ、ねえ。

大河内議員は「差別の意図はない。支援の必要性は認めている。人権は大切だが全体の利益の中でのバランスが必要だ」と話した。(土井秀人)

 なので、「全体の利益の中でのバランス」を主張できる用意が必要なわけ。「有権者の声」の実質を用意するべきだったわけ。
「じんけんだいじです」っていう、誰にも抵抗できないような上位の規範に対して、「それだと、現に住んでいる自分達が絶望的に抑圧されるんだが。」という実質を見せ付ける必要がある。「かもしれない」というものではなく(それは”援護射撃”のひとつに過ぎない)、実際に非常な不利益を被るであろうことを示せなければならない。

 実際に地元住民(の一定の数)が違和感を感じているだろうことは想像できる・してもかまわない。

 ―同性愛者の人権保護などという大問題、人権などという大問題、性的少数者の支援などという難問が、なぜ地方都市の議会でとわれねばならないのか。それは国民的議論の対象ではないのか?―
 ―その問題が大事なことは認める。しかし待機児童の問題も大事なのだ。地元民の失業対策は? 小中学校の国際化支援は? …―

 …そう。
 それは、性的少数者支援という大問題は、他ならぬここで先陣を切るべきことなのか、現に居る地元民のためにリソースがより大きく割かれるべきでないのか、そのリソースをこう喧々諤々するのに浪費されては、地元民の不利益になるではないか…?
 そういう疑問、違和感。

 地方が、国の支援金をもらいつつ運営されているであろうからには、国家的大問題に参与する義務と権利とが、地方議会にもあるだろう。だが、琵琶湖周辺の自治体が環境保護運動の先陣を切ったような、それでもって世界史的意義を担い、責務を果たしたような、そのような切実さはこの宝塚の場合、この際、認められるだろうか…?
 と。

 あるいは、どこの自治体でも取り組むべき普遍的な課題であれば、当然相当のリソースが割かれるべきだろう。では性的少数者に関わる課題は、そのような課題なのだろうか? もちろん、支持者はそう答えるだろう。さて、では、その見解はどれほどの支持を得るだろう、得ているだろうか? 反対者がいるのは当然のことだ。では彼らに、それなりの納得をしてもらうための努力は、どれほどしているだろうか…?

 …まあそういう地味な作業を進んでしてくれる人たちをどれだけ用意できるか、そうした人たちの資質をあげるためにどれだけ努力を投入できるか、そんなお話かもしれない。維新の党あたりは、党首の個人的な人気を基盤に、相当のボランティアを獲得できたっぽいけど。候補者公募・教育は、地域リーダー養成に効果があったかもしれないけど。

 このままだと、二つの正義のぶつかり合い・戦い合いで、亀裂を深め残すことになるかもー的なー。

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