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空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

【教材研究】『差別主義者を差別する』は可か不可かという話、ないし「伝統と革新」テーマ

2014-06-18 18:31:55 | ノート








 …私には、ある種の反差別主義者に対する皮肉、コメディ、おちょくるネタにも見える。
 あるいは、自爆芸に見える。「押すなよ、絶対に押すなよ!」という。

『俺は刺青が嫌いだ。刺青をつける者、そのような者を支持する者をこの世の果てまで追い詰め排除する!』
と主張する者と
『俺は刺青を嫌う者が嫌いだだ。刺青を嫌う者、そのような者を支持する者をこの世の果てまで追い詰め排除する!』
と主張する者とは
 刺青に対する反応の方向が違うだけで、論理の構造は同じだ。

『俺は差別主義者が嫌いだ。だから差別主義者を差別的に待遇してやる』
 というのは、
『うん、それ差別だよね?』
 という突っ込み待ちだろうと。

 勿論、おそらく茂木氏が想定したように、『君の偏狭な常識だけで物事(この場合、お風呂屋さん)を運用してはならない。その態度は、世界の常識から判断すると、差別というものである。つまり君は、君の考える君の日常を一歩離脱すると、このような差別を受ける可能性があるのだ』という教育にも聞こえる。
 お風呂に入れるかどうかという、すっごい基礎的な人権に関わるあたりで攻める点、ひとにその日常を問い直すところから哲学を始めさせる、たいへん教育的な切り口ではある。

 が、無駄に攻撃的で、教育効果はだいぶ減殺されているかなと。

 ところで元ネタ氏の「…(ぶーめらんw」というのはなかなか意味深でありえて、”同じ論法がこっちにも帰ってくるよね?”という指摘でもありえる。茂木氏がノッてことをした結果、茂木氏にもブーメランが突き刺さることになった(そして、茂木氏が想定する差別主義者たちと同様、ブーメランが突き刺さったことに気付かずにいる)。そこまで読んでネタ提供したなら、相当の策士だなあと思ったことである。

 そんなわけで、差別なり人権なりについてアクティヴラーニング的に授業をする際のタネとしてよいかなと思ってメモする。”身近なところから問題を掘り起こす”ことで、”実はそれは(非常に日常的で・皮膚感覚的で・”常識的”であってくだらない問題と見えようとも)我々の社会を根幹で支えている概念に関わっている”ことを理解させ、自ら考える態度を養成していくプランの一例。


 …コトは、大きくいって「グローバル化にどう対応するか」(と、地元の伝統・地元の事情との兼ね合い)。直近の大イベントとしては、東京オリンピックをするに際して、外国人旅行者が銭湯、リゾート地のプール、海岸で楽しめるかどうか。その点を捉えて、刺青の者の自由を制限するコードについて

『お客様に不快な思いをさせるのは、”おもてなし”としてどうか』

 …と問題提起するのがもともとの課題か。


 アクティヴラーニング的講義をどう進めればよいか、イメージはつかめるし、10時間ぐらい考えれば1駒分の講義のシナリオを書けそうで…まあ効率としては悪くないが、難点は:1. 直接ツィートを引用したりするのは、いくら相手が有名人だからって晒しになってあまりよろしくない(リアリティには欠けることになるが、”例題”に仕立て直せばよい話だが…今度は『せんせーぱくりはだめですよー』とかいわれる恐れが)、2. 『ハーバード白熱講義』みたいなことをするには、うちの学生は大人しすぎる(発言を引き出す方法については対案が、まああるが)。3. 時期的な問題もある。最近なら、WC真っ最中の今こそやりたい話だが、講義の予定がこの話題をするに相応しい箇所まで進んでいない。

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