空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

ミネアポリス:警官による白人女性(40歳)殺害事件があっちこっち飛び火して

2017-12-27 13:59:39 | Newsメモ
BBC Justine Damond death: Police remove white nationalist memorial 26 Dec 2017

Minneapolis police have removed a memorial created by a white nationalist group to honour an Australian woman killed by a Somali-American office

 コレちょっとまずいかも。

Damond, 40, was killed after calling police to report a woman screaming outside her Minneapolis home in July.
Officer Mohamed Noor fired at her when she approached his police car


 家の外で女が騒いでいるんだ、と警察を呼び、警察車両が来ると、このパトカーに近づいた。と、これを警官が銃撃、殺害。
 場所が場所、アメリカだし、警官の身の保護と言うことを思っても一定の自衛行動は許される―が、さすがに一時のイラクでもあるまいし、40歳女性が自爆テロでもあるまい。足元に警告射撃とか、肩を打ち抜くとか、まあなんか対応があったんじゃないかといわれよう。

 で

No formal charges have yet been brought against him

 …白人警官が黒人を撃ったら大騒ぎなのに、アフリカ系(ソマリア系)警官が白人を撃っても良いわけかコラ、というわけだ。
 で、この女性を追悼するキャンドルやらなにやら、shrineをつくり出した。うんまあ、それはあちこちであることだし、まあそれはそれでいいんじゃない?といってよさそうなところ、排外主義・白人至上主義の政治運動の一環になったという判断なのだろう、このshrineは除去されてしまった。

"We cannot allow any memorial and anything like that to be put up at that location," he said.

 公道を占有したり―という突っ込みは、そりゃそれなりに付くだろう。キャンドルをつかっているということから、消防法とか。それで押し通せばいいんだが

Minneapolis Mayor-elect Jacob Frey condemned the creation of the memorial, saying: "Identity Evropa and those who share their values have no place in our city. Hate has no place in Minneapolis. Period."

 …『あ、っそぉ?! この40歳白人女は、警察を呼んだという絶望的な犯罪行為のために死刑でいいってわけえ?!』とかいう反感をむっちゃ買わないかな、これ。

Justine Damond's family have been frustrated by the investigation into the fatal shooting

 とまあ、警察への不信も地味に高まりかねない。
 もちろん、白人優越主義は、それはそれで悪なのだが。警官の誤射による犠牲者を、その主張に便利なように祭り変えたグループ(Identity Evropa)の手口自体が良くないのも確かなのだが。

Ms Damond's death sparked outrage in Australia, where Prime Minister Malcolm Turnbull called it "inexplicable" and "a shocking killing"

 …『あのさ、うちの娘を悼むことって、人道的に許されないってわけなのかな?』というぱんぴー的怒りをためることになりかねない。この辺、「イシキタカイ」系は無視しがちっぽい気がするんだが。

 この団体のツィッターコメントだと引用されているが「"One family will be having an incomplete Christmas this year"」。

Members of the group were present at the white nationalist rally in Charlottesville in August, where a young anti-racism activist, Heather Heyer, was killed after a car drove into protesters.

 シャーロットビルの問題の一端でもあり。

BBC Justine Damond shooting: Minneapolis police ambush claim 'ludicrous' 20 July 2017

 …まあ、待ち伏せ攻撃ってなあ、無理だわなあ…。

Robert Bennett said Justine Damond was in her pyjamas when she approached them and "was not a threat to anyone".

 …パジャマだったって主張が正しいとして、『ベトナム戦争時の記憶が』ってのも無理だよなあ…。

Ms Damond was shot after approaching two officers in their car on Saturday after reporting a suspected rape

 しかも警官側は二人。
 パジャマ姿の40歳女性が、是非とも強力に阻止されるべき凶悪な強姦犯と推定されるべき―というのは、きっついのではないか。

Fred Bruno, the lawyer for Matthew Harrity, whose partner killed Ms Damond, 40, had said: "It is reasonable to assume an officer in that situation would be concerned about a possible ambush."

 もちろん、無害そうな女性を囮にして、油断した警官に攻撃しかけてなぶり殺しにする―なんてのはありそうだが、それどこの紛争地帯の話だろう、とも。

Officer Mohamed Noor, who shot Ms Damond in the abdomen in an upmarket neighbourhood of the city, has refused to be interviewed by investigators, as is his legal right

 さしあたりどっぱらに一発ぶちかます、というのは、推定囮女に対する対策として正当化できるだろうか…。
 …北部ナイジェリアとかじゃないんだから…脅威度はむっちゃ低いだろう…。

 家の外で女の悲鳴が、という訴えだったそうで「"I'm not sure if she's having sex or being raped," she told the police operator, before giving her address.

 …パジャマ姿の女って、まずは保護対象(※犠牲者)と考えてみるべきなんじゃないかなーとか。

Body cameras, which are worn by all Minneapolis police, had not been turned on at the time of the shooting and the squad car dashboard camera also failed to capture the incident

 …落ち度ですなー…。

BBC Justine Damond: Family 'concern' over US shooting probe 21 December 2017



 …もともとアメリカの警官の引き金が軽いところ、これは時々あるうっかりオーバーキルのひとつだったのだろう。ただ、ふつう、相手は麻薬密売人とかで、銃を隠し持っている疑いが濃厚…とかちゃんと説明がつくところ、今回はパジャマ姿の中年女性、しかも案件は強姦発生の疑いでの念のための現場急行。「被害者ですか」と疑ってみてもいいところ、足止めどころか腹部に止めをくらわすクリーンヒット。しかも車内から。

 …ここまでだったら、ただの(というのもなんだが)事故で済ませられるかなあというところ、警察側の初動・検査の扱いがややぞんざいだったのが発火点になったのだろう。『黒人男性警官が通報者の白人女性を凶悪犯と疑って射殺した!』という人種問題にすりかえる向きがあり、一気に政治問題化。まーミネアポリスだし、ソマリ人多いようだしなあ、それなりの軋轢もあっただろう。そんな共鳴版を得て…

 …こうなった、っぽい。しかも被害者はオーストラリア人。政治問題の上に国際問題化。仕掛けるほうとしてみれば、なんと高効率案件か、というものだし、仕掛けた人たちに対抗する側としてはけっして負けられない闘争がそこにある、ってなもんだろうが

 ―被害者そっちのけになってる感も、多少。
 被害者のお父ちゃんからすれば、娘の祭壇を除去する以外にすることあるんじゃねーかな、と思うんじゃないかなあ…。

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