空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

『沈黙の春』メモ

2017-12-26 18:33:41 | ノート


 そりゃ、DDTの危険性を『沈黙の春』によって学ぶとかは「ないわー」の一言。あれはしかし、「資料的価値」「科学史やってるならともかく」が既に示唆するように、科学論文として読むべきものではなく(そもそも科学論文それ自体ではあるまい)、社会に対する環境学へ向けての啓蒙の書の、そのはしりとしての、古典として読むものだろう。

 実際のところ、文学として美しかったりするところがあり、レイチェル・カーソンの自然への愛情を追想するにも良い。但しこの面を追う場合は、日本語なら他の本を選ぶべき。

 といおうか、そもそもが科学論文ではないエッセイよりの著作であり、それを科学者的でないだとかいうのは当を得ていない。



 恐らく、『沈黙の春』を読むべき理由・必要の多くは、環境学・環境運動への影響の点にある。特殊日本的状況でいえば、例の訳本の事由闊達さによって、どれほどの害悪がなされたか―などと。あれは社会的意義の点でこそ読むべき価値がある。実際的作戦のよりどころとしての価値は低い。

 …あれねえ、ほんとに翻訳、新しいのをすべきだとおもうよ…。

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