空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

とある市議会のお話

2013-12-14 12:38:07 | Weblog
Naverまとめ 特定秘密保護法の慎重審議を求めた辻こうじ市議のツイートに、越谷市議会が「反省を求める」決議 2013年12月13日

 事件概要によれば:
● 3日(4日?)、辻こうじ市議、「不当な反対で提案を阻止された」とツイート
● 5日、自民・公明の委員、「不当」「阻止」は不適切ではと指摘

● 11日、自民・公明の市議団、辻こうじ市議に「反省を求める」決議案を提出
● 12日深夜1時すぎ、紛糾の末、「反省を求める」決議案可決


 問題とされたのは,当該法案についての慎重審議を求めたこと自体ではなく,「自民・公明の不当な反対で、意見書の提案そのものを阻止されました」という発言である模様。

 新聞報道では:

東京新聞 秘密法で自公批判ツイート 市議に「反省」決議 越谷市議会 2013年12月13日 朝刊

辻氏は、特定秘密保護法案の慎重審議を求める意見書案を市議会に提出しようとしたが、「自民、公明の不当な反対で阻止された」と、短文投稿サイト「ツイッター」に投稿。激怒した自公両会派が「反省」を要求した
辻氏は法案が衆院で可決されたのを受け、今月二日に「法案の強行採決に反対し、慎重な国会審議を求める意見書」案の提出を市議会に申し出た。自公が「法案は国会で審議中であり、緊急性はない」などと反対し、提出は見送られた

 公人として慎重な言葉遣いをせよ,という「反省」を求めたわけである。個人的には些か過剰反応とも思うが,議会内で審議する・した話を,twitterで”場外乱闘”に持ち込んでしまった(または,持ち込もうとした)ことを咎めるべき必要もまたあろう。

 当該法案に,全国民にとっての一定の緊急性があるのは明らかなことだろう(何しろ,審議されるに値するものなわけだし),しかし越谷市議会にとってどれほど緊急性があるかはまた別の問題かとは思われる。

 自由な意見表明が処罰された,という主張にも多少留保は必要。なぜなら,当該意見書案提出見送りは,当該市議会の意志としてなされたことであろうから―そして,この議員氏も当該市議会を構成する一員であるから。如何に反対であろうと,それなりの責任は分け持たなければならない(まあファンタジーだといえばその通りだろうけど)。

 それを「不当」の一言で断じるのは,自己否定の行為でもある(あくまで筋の話だが)。だから彼は反省を求められたが,その他多数のいろいろ文句を言っている(らしい)人々は懲戒対象になっていない,ならないわけだ。

 なお参照,越谷市議会・平成25年12月定例会・議第4号議案・辻浩司議員に反省を求める決議について

緊急性、いわゆる急施にあたるか否かの判断は議会運営委員会で協議することになっている。これは、議会運営のルールの問題である。「特定秘密保護法案」の賛成・反対の問題ではない。
 議会運営委員会では、全会一致を基本としており、自由民主党市民クラブ・公明党越谷市議団では、国会で審議中であり、急施にあたらないとの判断をした。結果として全会一致が見られなかったため、議案提出は了承されなかった


 もうちょっと日本語の練り込みが必要だったかも。「結果として当該議案提出に全会一致の賛同がなかったため」とか。

代表者会申合せ事項では、「議員としての広宣活動は、客観的事実に基づき、市民に誤解を与えないこと。我々議員は、客観的事実に基づき、まぎらわしい発言や行動に注意していくこと。」とある。まさに客観的事実に基づきとあるように主観として不当と発言・発信したことは、私たちがルール違反をしているかのように誤解を与えるものであり、看過できない。何人も表現の自由は保障されているも、表現の仕方は慎重に行い、適切に表現することが肝要であると考える。自分の意見が通らなかったからといって、何を発言、発信しても良いわけではないはずである

 末尾近くの「従って、この度の辻浩司議員の言動は、これまでの議会の先輩、先人の歴史、権威を踏みにじるような行為と言わざるを得ない」が分りやすいかと思う。要は”うちらのメンツの問題だ”というわけだ。問題点はそこなのだ,少なくとも文字上の主たる問題点はそこなのだ。

 上掲東京新聞末尾ほどに

傍聴席で採決の結果を見守った約三十人の市民からは、自公への怒りの声が渦巻いた
介護士の男性(60)は「意見書案は、自公が推進した特定秘密保護法に反対するような内容だったから握りつぶされたのだろう」

 とある。しかし国会議員レベルから地方市議会レベルまで一糸乱れぬ統制が行われていると考えるのは,どれほど現実的だろうか。なるほどこの採決の様子を見守って自公への怒りの声をあげた約30人の市民は当該議員と歩調を同じくするものなのだろう。この点,彼は,支持者のニーズに合った行動をとっていて合理的だ。

 しかし他の議員たちにとって喫緊と思われる論題はなんであったかと考えてみることは無意味ではないと,私としては信じる。

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