千本木
これは昨年11月にアップした「言葉と笑い(嘲笑) 『「ヒルナンデス!』報道に思う」を「千本木」と改題し、一部修正を加えたものです。
11/5のネットアクセスランキング(IT・科学)1位に次の見出しが躍っていました。
「『ヒルナンデス!』で道を教えてくれた男性が『丁(てい)字路』と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出」
(詳しくは上をクリックしてください)
これには2つの問題をはらんでいます。
1つめは言葉の問題
「丁字路」か「T字路」かということです。(「ていじろ」か「てぃじろ」か)
最近は「T字路」という言い方も増えましたが、「丁字路(ていじろ)」は正しい日本語です。よってこのことについては論をまたない。
2つめはモラルの問題
これは大きな問題です。仮に百歩譲ってまちがった言い方をしたとしても、それをマスメディアが笑いのネタにしていいのかという問題です。ましてやこの方は親切にも道を教えてくださったのでしょう。
「モラル」は、報道に携わる人だけの問題ではありませんが、マスメディアの影響の大きさを考えると、報道関係者には特に高いものが求められます。と同時に、報道には言葉や地名の正確さも当然求められるものです。
「言葉と笑い」という見出しにしましたが、ときに、笑い(嘲笑)は使う言葉を萎縮させることがあります。
以前にも述べましたが、高校のとき、私が使う三会の方言を笑う輩がいました。ましてや集団で笑われた日にはへこんだものです。クラスの中で三会出身は私一人でしたが、笑いなんかに負けない精神的な強さが備わっていればよかったのでしょうが…。気弱な私は次第に方言を使わなくなりました。
人が使う言葉をとらえて笑いものにしてはダメでしょうと、今回の「ヒルナンデス!」報道を見て改めて思いました。
さて、マスコミのまちがった報道で地名の読み方が変わった例があります。島原の「千本木」です。「千本木」は「せんぶき」と言っていました。
「せんぶき」と言う人を笑う輩がいたかどうかは分かりませんが、いつの間にか「せんぼんぎ」に変わりました。
私の方言辞典である父でさえ、先日「せんぼんぎ」と言っていたので「せんぶき」じゃと言うと
「『せんぶき』じゃったばってん、いまごらだっでん『せんぼんぎ』といわっすとたい」
「『せんぶき』だったですが、今頃は誰でも『せんぼんぎ』と言われるのですよ」
二十数年前の島原噴火災害のとき、テレビでは現地からの中継が毎日のように流れていました。そして被災者のインタビュー時には、字幕のテロップが入っていました。それを見て、ネイティブな島原弁は確かに分かりにくいだろうと島原出身の私もそう思っていました。しかし、地名は地名で、昔ながらの正しい言い方で報道しなければならないのでしょうが、急を要する事態が続いた当時は検証が間に合わなかったのだろうと思います。
千本木地区は被害が深刻で避難を強いられた地区でした。「せんぶき」が昔からの言い方だったのに、「せんぼんぎ」と字幕付きで報道されたのです。
このことは隈部守氏の「寛政地変再考」の中にも次のように出ています。
「ところで、千本木の読みは、『せんぶき』で、これは『千吹村家数三十余』という古記録を見ても気づく。しかし、現在では『せんぼんぎ』に変わってしまった。これについては草野正一氏が『雲仙火山噴火報道が変えた〈千本木〉地名の呼び方』を発表されている」(以上引用)
今の道路標識にも
「せんぶき」だったのが「せんぼんぎ」に…
これは昨年11月にアップした「言葉と笑い(嘲笑) 『「ヒルナンデス!』報道に思う」を「千本木」と改題し、一部修正を加えたものです。
11/5のネットアクセスランキング(IT・科学)1位に次の見出しが躍っていました。
「『ヒルナンデス!』で道を教えてくれた男性が『丁(てい)字路』と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出」
(詳しくは上をクリックしてください)
これには2つの問題をはらんでいます。
1つめは言葉の問題
「丁字路」か「T字路」かということです。(「ていじろ」か「てぃじろ」か)
最近は「T字路」という言い方も増えましたが、「丁字路(ていじろ)」は正しい日本語です。よってこのことについては論をまたない。
2つめはモラルの問題
これは大きな問題です。仮に百歩譲ってまちがった言い方をしたとしても、それをマスメディアが笑いのネタにしていいのかという問題です。ましてやこの方は親切にも道を教えてくださったのでしょう。
「モラル」は、報道に携わる人だけの問題ではありませんが、マスメディアの影響の大きさを考えると、報道関係者には特に高いものが求められます。と同時に、報道には言葉や地名の正確さも当然求められるものです。
「言葉と笑い」という見出しにしましたが、ときに、笑い(嘲笑)は使う言葉を萎縮させることがあります。
以前にも述べましたが、高校のとき、私が使う三会の方言を笑う輩がいました。ましてや集団で笑われた日にはへこんだものです。クラスの中で三会出身は私一人でしたが、笑いなんかに負けない精神的な強さが備わっていればよかったのでしょうが…。気弱な私は次第に方言を使わなくなりました。
人が使う言葉をとらえて笑いものにしてはダメでしょうと、今回の「ヒルナンデス!」報道を見て改めて思いました。
さて、マスコミのまちがった報道で地名の読み方が変わった例があります。島原の「千本木」です。「千本木」は「せんぶき」と言っていました。
「せんぶき」と言う人を笑う輩がいたかどうかは分かりませんが、いつの間にか「せんぼんぎ」に変わりました。
私の方言辞典である父でさえ、先日「せんぼんぎ」と言っていたので「せんぶき」じゃと言うと
「『せんぶき』じゃったばってん、いまごらだっでん『せんぼんぎ』といわっすとたい」
「『せんぶき』だったですが、今頃は誰でも『せんぼんぎ』と言われるのですよ」
二十数年前の島原噴火災害のとき、テレビでは現地からの中継が毎日のように流れていました。そして被災者のインタビュー時には、字幕のテロップが入っていました。それを見て、ネイティブな島原弁は確かに分かりにくいだろうと島原出身の私もそう思っていました。しかし、地名は地名で、昔ながらの正しい言い方で報道しなければならないのでしょうが、急を要する事態が続いた当時は検証が間に合わなかったのだろうと思います。
千本木地区は被害が深刻で避難を強いられた地区でした。「せんぶき」が昔からの言い方だったのに、「せんぼんぎ」と字幕付きで報道されたのです。
このことは隈部守氏の「寛政地変再考」の中にも次のように出ています。
「ところで、千本木の読みは、『せんぶき』で、これは『千吹村家数三十余』という古記録を見ても気づく。しかし、現在では『せんぼんぎ』に変わってしまった。これについては草野正一氏が『雲仙火山噴火報道が変えた〈千本木〉地名の呼び方』を発表されている」(以上引用)
今の道路標識にも
「せんぶき」だったのが「せんぼんぎ」に…
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