高山の奥座敷と称され、飛騨に残るもう一つの古い町並みとして知られる飛騨古川。 白壁土蔵やお寺の石垣を背景に、1,000匹余りの鯉が泳ぐ瀬戸川の風情は、観光地:飛騨古川の象徴としてパンフレットなどに多く取り上げられています。
碁盤のような町割りや古い町家が今も残り、約500m続く白壁土蔵街。この時は生憎の雨模様でしたが、しっとりと濡れた石畳、幾つもの波紋を描き出す水路、舞い落ちる柳の葉に釣られて近づく鮮やかな鯉の群れ・・どれもが水彩画の世界のように優しく鮮やかに織り成されてゆきます。
そぞろ歩きの途中に見つけた『若山牧水』の歌碑。「大正10年10月白骨温泉より平湯峠を越えて飛弾に入り、20日福田夕咲と共に野口の簗に遊び、その夜当町一之町料亭杵寅で地元の歌人らと酒を酌みかわす。~後略」碑文より
【 ゆきくれて ひと夜を宿るひたのくにの 古川の町に 時雨ふるなり 】
まさしく、「古川の町に 時雨ふるなり」の情景が、歩を進めるごとに展開、これで彼のように歌の一つでも詠めれば、気分はすっかり「旅の歌人」
【 憧れて たずねてきたるひたの国 影によりそう鯉のやさしき 】tibineko
やがて、石畳を濡らしていた雨も止み、薄日が指し始めた瀬戸川沿い。雨を避けるように隠れていた鯉たちが、水辺に映る人影を見つけて近寄ってき始めました。
瀬戸川の水辺には幾つもの黒い小箱が設置され、そこで「鯉のえさ」が販売されています。何でも食べる鯉ですが、水路を美しく保つ為にも、決められた「鯉のえさ」以外の投げ込みは、決して!してはなりません。
ふと見上げた先に、切り絵版画のような看板を発見。同じ場所を探してデジカメを向けてみましたが、実際と絵の世界では色々と障害物もあり😅、同じ構図にはなりません。(腕の悪さは勿論棚上げ)
さぁ、雨も止んだ事だし、古川の町並に溶け込んだ素敵なお店とか、楽しい看板とか、じっくり訪ねて歩きましょう。町歩きの醍醐味は、なんでもない日常の中にさり気なく存在する「素敵」を見つける事なのだから。
訪問日:2012年5月18日