高山市国府町西門前に鎮座される「熊野神社」。安国寺の守護神を祀る神社として、熊野三山の祭神である『家津御子神(けつみこのかみ)』を主祭神とします。
創建は室町時代末期、安国寺の鎮守として安国寺裏手の山腹に開山。『瑞巖大和尚』が勧請したものと伝えられています。
拝殿前の鳥居脇より境内を守護されるのは、昭和14年(1939)4月建立の狛犬さん一対。飛騨独特のイノシシ顔が更に顕著になってきました。この何とも愛嬌のある顔立ち・・特に特徴のある「鼻」とか・・見慣れるとすごく愛着を感じて可愛い😅
本殿は室町初期の代表的建造物で、昨日紹介した「阿多由太神社」と同じく「三間社見世棚(さんげんしゃみせだな)造」、こちらも国の重要文化財に指定されています。が・・覆屋によって完璧に隔離されており、一瞥すら叶いません。大切な文化財を守る為には致し方ない事なのでしょう。崇神の言葉さえ知らぬ「バカ」が、平気で神域を汚す事例も散見されますから・・やっぱり大切に護って頂く方が良いです。
熊野神社の裏手を奥に進むと、古い祭祀の跡の様な場所に出ます。好奇心一杯の私ですが「熊出没注意!」の立て看板に、ルンルン気分は霧散😱。静かに後辞さりつつ、回れ右! いやいや、君子でなくとも危うきに近寄ってはいけません。
臨済宗妙心寺派の寺院「太平山:安国寺(あんこくじ)」。『釈迦牟尼仏(釈迦如来)』を本尊とし、飛騨三十三観音霊場11番札所とされています。
「安国寺」は『足利尊氏・直義』が日本各地に建立した寺の名称で、ここもその一つ、貞和3年(1347)に『瑞巌和尚』によって創建されました。最盛期には七堂伽藍と九の塔頭を有する大刹であったといいます。
境内には岐阜県で唯一、国宝の指定を受けた「経蔵」や、きつね小僧の伝説にまつわる「蛻庵(ぜいあん)稲荷」などがあったらしいのですが、この時は「熊野神社」のご本殿(拝見できなかった)と狛犬さんを目的としていた為、いずれも見ずに終わりました。唯一参拝したのは駐車場に奉られた『延命地蔵菩薩』。
地蔵菩薩の真言は「奄訶訶訶尾娑摩曳娑婆訶(オン・カ・カ・カビサンマ・エ・ソワカ)」。恥ずかしながら意味もわからぬままに三回唱え、まだまだ続く旅の無事を願ってきました。しかし・・今から思えば、何とも勿体無い訪問だったと、先に立たぬ後悔です。
参拝日:2012年5月17日