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出石町歩き~其の二 in 兵庫県豊岡市出石

2023年09月02日 08時00分00秒 | 神社仏閣・名所・観光・兵庫県

昨日に続いての出石町歩き、スタートは「谷川山トンネル放水路」の説明に興味を引かれたご亭主殿。

豊岡市出石町小人にある人工水路、2004年の23号台風の際には洪水を迂回させ、出石の中心部を守ったと記されています。専門的な事は分かりませんが、こうした最新の土木技術を何気なく見る事が出来るのも、町歩きの楽しみかも。

豊岡市出石町下谷、「谷川山」をはさんだ先に、市指定文化財の『加藤弘之:生家』がひっそりと佇んでいます。

出石藩主の兵学師範の家に生まれ、弘道館に学び、ドイツ学をきわめ、明治天皇へ講義を行い、日本の大学制度の基礎を作りあげた人物。やがて設立された帝国大学(現:東京大学)の初代総長に就任しました。

仙石家菩提寺の「経王寺」の向かいに建つ赤門。まさかこの門が「兵庫県立出石高等学校」の校門だなんて想像もできません。

この門は、藩政時代に赤門を建てる事が許されていた磯野家の『一瀬粂吉(元三和銀行取締役)』が戦前に建設し寄贈したもの。赤門前にはその記念碑が建てられています。

そろそろ町の方へ戻る事にしましょうか。千本格子に、丹塗りの漆喰がとても粋な佇まいのお宅。以前はタバコ屋さんだったのでしょうか?もうずっと昔、私が住んでいた町にもこんなショーケースに煙草を並べていたお店がありました。

出石町宵田の、とある建物の前で「鋳物師町発祥之跡」の碑を見つけました。鋳物師とは文字通り鋳物を造る職人の事ですが、この一帯にそうした職人の集団が町を形成していたのでしょう。

豊岡市出石町八木に鎮座される「呉服神社」。織物の神『袴幡千々姫命(たくはたちぢひめのみこと)』を御祭神とします。

寺町に近いせいか、町歩きの途次にこんな風に祠に祀られるお地蔵様を見かけます。おさめられたお地蔵さまはいずれも美しく化粧が施されています。町内の隣保(りんぽ)ごとに地蔵当番があるそうで、内も外も塵一つなく、大切に守られています。

豊岡市出石町魚屋。明治20年(1887)に出石城跡近くの登城橋公園内に出石郡役所として竣工した、木造2階建ての美しい擬洋風建築があります。

下見板張りに施された明るい浅葱色は当時流行した色だったとか。正面玄関ポーチのペディメントやコリント式の柱頭などに、明治時代の郡役所の威厳をうかがうことができます。

昭和14年(1939)に、北東約300メートルの現在地に移築され、昭和59年に「豊岡市立出石明治館」として一般公開が開始。館内には出石の近世の歴史や、歴史を彩った『斎藤隆夫、桜井勉、加藤弘之、山名宗全、沢庵宗彭』ら、出石の人物が紹介展示されています。

同じく出石町魚屋にある「たくみ工芸」さん。ここではカバン産業の祖となった柳行李が作られています。玄関先に立てかけられているのは、その材料となる「かわやなぎ(猫柳)」・・ああ、だから「やなぎこうり!!」・・と、今更に当たり前の事が無性に嬉しく思えてしまう、変な奴なのです😅

出石を代表する景観通り「大鍛冶の細間」・・この一帯がそうなんでしょうか?まるで映画のロケ現場にでも迷い込んだような、不思議な雰囲気の通り。

袖卯建と千本格子のお屋敷、白壁の塀に見越しの松・・

かなりの距離を歩いた筈なのに、何故か疲れを感じさせないのも町並みの魅力がなせる業。重伝建地区の町歩きの締めくくりは・・何とも素敵で可愛い光景😊

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ラストは町歩きの途次ではなく、後に紹介する「伊福部神社」の道路向い、豊岡市出石町中村にある「斎藤隆夫記念館」。同地出身の政治家『斎藤隆夫』の生家を整備し、遺徳をしのぶために建てられたものです。

帝国議会衆議院において、立憲主義・議会政治・自由主義を擁護し、弁舌により軍部の政治介入に抵抗し「憲政の神様」といわれた人物だそうです。あわよくば植民地化をと虎視眈々と機会を狙う欧米諸国。そんな中で、日本国を護ろうと誰もが必死に生き抜いた時代・・・昔の政治家は右も左も、国を愛し、国を守るという一点に置いては共通の認識だった気がします。

二・二六事件から間もない1936年5月7日、彼は議会において軍部の政治介入を批判しました。いわゆる「粛軍演説」と呼ばれる全文が、遺墨、遺品と共に、「静思堂」と名付けられた建物に収められているそうです。

訪問日:2011年3月31日&2014年11月21日

 


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2 コメント

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右・左あって鳥は空を飛べる (tibineko)
2023-09-08 00:19:35
軍部の政治介入を批判する事と
軍事力そのものを批判する事とでは全く意味が違うのに、
「軍・批判」のキーワードだけで自分たちの味方だと信じ込める
その精神構造にまず驚かされます。

憲法九条と言う絵に描いた餅さえ崇め奉っていれば、日本は平和だと言い切れるそのおつむの具合を考えれば・・その程度の理解力しかないという事かもしれませんね。
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心に刻むべき言葉 (onecat01)
2023-09-07 22:22:14
 tibinekoさん。

 出石高等学校の赤門、町内の隣保(りんぽ)ごとにある地蔵当番、木造2階建ての美しい擬洋風建築の出石郡役所、袖卯建と千本格子のお屋敷など、どの写真も心に残ります。

 今回は、たくさんのことを教えられたブログでしたが、その中で一番心に響いたのは、貴方の言葉でした。

 「昔の政治家は右も左も、国を愛し、国を守るという一点に置いては共通の認識だった気がします。」

 斎藤隆夫は、気骨のある政治家でした。国を思うから、軍人の横暴に反対したこの人物を、軍を批判・攻撃する反日左翼と混同する人がいますが、そういう人に、この言葉を教えたくなります。

 素晴らしい旅を、tononeko殿とされたのですね。腕組みして、「谷川山トンネル放水路」の説明を読んでおられるtononeko殿が、頼もしいですね。
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