明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(881)閣議決定による憲法改悪など無効だ!怒りの声を高めよう!(全国抗議行動情報に注目を)

2014年07月02日 14時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140702 14:30)

戦争にひた走る安倍政権と、大多数の党員・支持者を裏切った公明党幹部により、昨日夕方、憲法の解釈替えの閣議決定がなされました。
憲法を国民に問うことなく勝手に変えてしまうのはクーデターです。憲法違反であり無効です。民衆の怒りの力で、安倍政権を食い止めましょう。
昨日、全国いたるところで反対のデモや街頭宣伝などが行われました。とても集約できないほどの数です。今日、明日、そして今週末もさまざまな行動が呼びかけられています。
さらに各地で怒りの声を高めましょう!民衆の力でこそ憲法9条を、平和を、守りましょう。

私たちの力を高めるためには、私が互いに、それぞれの場での奮闘に注目しあい、エールを交換していく必要があります。
このための一助として各地のニュースの検索を続けていますが、今回は昨日、行われたデモの動画をご紹介したいと思います。
首相官邸前行動の動画はたくさん流れていますので、地方のものを探して、富山県と岩手県のデモのニュース動画を見つけました。ぜひご覧ください。
なお富山市では、元市長、町長や弁護士など22人のメンバーが「これまで積み重ねられた平和政策を破ることは立憲主義、法の支配を踏みにじるものである」と閣議決定への抗議声明を出しています。

以下、ニュースのアドレスと記事をご紹介します。

***

富山県富山市

富山市で集団的自衛権行使容認反対デモ
KNBニュース 2014/07/01 18:08 現在
http://www.knb.ne.jp/news/detail/?sid=4017

集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更について、政府は1日夕方臨時閣議を開き、決定しました。

一方、富山市内では1日、市民団体などが反対のデモを行うなど、反対の声があるままでの閣議決定となりました。
「戦争のために憲法を壊すな」「集団的自衛権行使は許さないぞ」
富山市中心部では1日正午過ぎから集団的自衛権行使容認に反対するデモが行われ、およそ80人が参加しました。
参加者は、集団的自衛権を行使した場合、憲法9条の趣旨を踏まえた「専守防衛」の理念を逸脱しかねないと危惧しています。
増川利博代表委員「国民的な議論も十分にされていないと、国民はむしろ反対が多いわけですから、国民の世論を無視していると、ということも非常に大きな問題があると思っています」

こうした中、集団的自衛権の行使容認は、1日夕方の臨時閣議で決定されました。
県内では午後4時から元市長、町長や弁護士など22人のメンバーが、「これまで積み重ねられた平和政策を破ることは立憲主義、法の支配を踏みにじるものである」として閣議決定に抗議する声明を発表しています。
奇しくも60年前の1日は自衛隊が発足した日です。
「専守防衛」を基本方針としてきた日本の安全保障政策は、1日転換点を迎えました。

こうした重要な点を内閣と与党だけで決めるという手続きについて、これまでも問題があると指摘してきました。
政府は今後、具体的な法制化に入りますが、「歯止め」は明確でなく、国民のさまざまな意見を聞いて開かれた場で議論を尽くしてほしいと思います。

岩手県盛岡市

集団的自衛権 盛岡で反対デモ行進
iBC岩手放送 2014年07月01日 19:09 更新
http://news.ibc.co.jp/item_22303.html

そんな中、盛岡市の中心部では集団的自衛権の『行使容認』に反対するおよそ300人が、デモ行進を行い、安倍内閣の対応を批判しました。
きょうは、閣議決定に先駆けて、いわて労連を中心とした集団的自衛権の行使容認に反対する県内の30余りの団体のメンバーが、デモ行進に参加しました。
正午過ぎから県庁前に集まりデモ行進したおよそ300人は、それぞれ幟や、プラカードを掲げ「集団的自衛権を認めるな」「戦争をする国を作るな」と声を張り上げました。
そして、行使容認の範囲を「限定的」としたとしても「武力行使しない」とする従来の政府方針を大きく変更する事に、変わりは無いと安倍内閣の対応を批判しました。
今回、内閣による憲法解釈の変更で、集団的自衛権の行使が、容認された形となりましたが、これは「解釈改憲」に当たると考えている人達から、強い反発を呼びそうです。

集団的自衛権に反対する緊急デモ行進(岩手県)
7/1 19:36 テレビ岩手
http://www.news24.jp/nnn/news8857693.html

政府は1日「集団的自衛権」の行使を限定的に認めることを閣議決定したが、盛岡市でこれに反対する緊急のデモ行進が行われた。
デモ行進には、いわて労連や市民団体などから約300人が参加し、盛岡市の中心部約1.3キロを練り歩きながら、反対を訴えた。
自民・公明両党の1日朝の正式合意を受けて政府は1日夕方、これまでの憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を限定的に容認することを閣議決定した。
閣議決定を受けて、日本の安全保障政策は大きく転換する事になる。

***

この民衆の抗議の高まりに対するマスコミの報道姿勢にも多くの人々の注目が集まっていますが、「きちんと報道してくれている」という評価の高い「報道ステーション」の6月30日の報道をご紹介します。

【報ステ】首相官邸前のデモ映す 集団的自衛権 閣議決定前の報道 テレビ朝日 最後の抵抗【6/30】
報道ステーション 0630
https://www.youtube.com/watch?v=6GrqnOHzZVM

***

英語でデモについて報道している動画を二つ紹介します。
一つはCNNのもの、もう一つは「デモを報道していない」という批判が集中しているNHKの英語放送(NHK WORLD)です。NHK WORLD、頑張ってます!
ぜひ英語圏の友人に紹介してください。

Protests in Japan over constitution
CNN 2014.07.01 Tue posted at 18:13 JST
http://www.cnn.co.jp/video/13009.html

Protesters rally against new defense policy
NHK WORLD Jul. 2, 2014 - Updated 00:09 UTC
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/news/20140701_81.html

***

さてここからは、本日以降の抗議行動の紹介です。
まず次のサイトをご紹介します。かなりたくさんのデモ情報を載せてくれています。
とてもありがたい!ぜひここからご自分のお住いの地域での活動をつかんで参加してください!

デモ・抗議開催情報まとめ(TPP・改憲関連)
http://www57.atwiki.jp/demoinfo/m/

***

この「デモ・抗議開催情報まとめ」から本日の行動等の情報だけ以下にご紹介します。
なおすでに時間が過ぎているものもあります。情報が遅れて申し訳ないです・・・。

宮城県仙台市

仙台平和ビル前
集団的自衛権  反対の街宣予定です
7月2日(水) 午前8時
7月3日(木) 午前8時
https://twitter.com/yoshimimama7/status/482285554998853633

埼玉県越谷市

◆南越スタンディングのお知らせ◆
集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対し、抗議のスタンディングを行います。
7月2日(水)13:00〜14:30
南越谷駅と新越谷駅の間(乗り換え通路)
プラカード持参で参加してね。
手ぶらでも大丈夫だよ。^ ^
みんなで抗議の声をあげよう!
https://twitter.com/ppaakkuu/status/482995392456294401

東京都官邸前

官邸前アクション
首相官邸前(東京メトロ千代田線・丸の内線・日比谷線 国会議事堂前駅3番出口すぐ)
7月2日(水)18時30分~20時
時間が18:30からに変更になっています。お間違えなく。
8月は6日(水)におこないます。
http://komacchauhito.blog.fc2.com/blog-entry-74.html

東京都池袋

7・2(水)池袋 被ばくから子供たちを守ろう! 
街宣第32回 19~21時 JR池袋駅西口広場
主催:子どもを守ろう水曜文科省の会
「避難の権利」の確立を。 除染の前に避難! 
国による移住補償、 自主避難者への公的支援を。
http://twipla.jp/events/99224 
https://twitter.com/kobukishinichi/status/482864001013911552

石川県

社民党・石川県連合は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定阻止」にむけ「 連続・街頭宣伝行動」を開始する。
■香林坊「アトリオ」前 17:30~  
7月 2日 3日
■武蔵「エムザ」前   17:30~
7月 4日   
https://twitter.com/fumioshimizu/status/483393370107035648

富山県富山市

「与党協議で勝手に決めるな!集団的自衛権行使容認 反対緊急座り込み行動」
◎日時:6月30日〜7月2日、いずれも午前10時~午後4時
◎場所:県庁前公園
※リレートーク、署名活動などやります
https://twitter.com/himitsu_control/status/483766926271737856

京都府京都市

〈戦争する国〉への閣議決定絶対あかん!市民デモ@京都連日行動
自民公明両党は、閣議決定だけで憲法解釈を捻じ曲げ、日本を再び戦争の惨禍に巻き込む集団的自衛権(集団侵略)を強行しようとしています。
市民の力で解釈改憲と集団的自衛権を跳ね返せるか否か、来週1週間が大きな山場となります。
【〈戦争する国〉への閣議決定絶対あかん!市民デモ@京都連日行動】に参加し、絶対阻止の圧倒的世論を作りだしましょう。
◆7月2日(水)
 16:30公明党京都府本部(京都市下京区西七条北衣田町47 )申し入れ行動
◆7月3日(木)
18:30京都市役所集合 19:00より四条河原町までデモ行進
◆7月4日(金)
 18:30より京都タワー前街頭アピール
http://ameblo.jp/harinaosu/entry-11884602672.html

奈良県奈良市

●7月2日(水) 午後6時30分開会 近鉄奈良駅前
戦争する国づくり反対! 安倍内閣打倒!
7.2奈良県民集会
※7時10分よりパレード(油阪~三条通り~猿沢の池)

安倍政権は7月初旬の閣議決定を狙っており、事態は重大な局面に差し掛かっています。国民世論を急速に盛り上げ、戦争する国づくりにストップをかけましょう!

解釈改憲は裏口入学 元内閣法制局長官 阪田 雅裕さん
憲法9条の解釈を変えて集団的自衛権行使をできるようにすることは、日本が普通に戦争できる国になるということで憲法9条が法規範として何も意味がないものになります。
このような裏口入学とも言うべき解釈改憲は、立憲主義の原点に照らしてゆるされません。(6月12日付・しんぶん赤旗より)
主催 :憲法9条守れ!奈良県共同センター
連絡先℡: 0744-21-3101(奈良民医連内) 090-3999-9948(菊池)
https://www.facebook.com/osakademo/posts/665057466921979

兵庫県神戸市

7月2日に6時から三宮マルイ前で街頭宣伝
http://blog.zaq.ne.jp/kpeace/article/927/

山口県

7月2日(水)11時半から山口県徳山駅北口で、集団的自衛権行使容認の閣議決定に抗議する街頭宣伝をします。
お近くの方、ご参加ください。
https://twitter.com/fujiinaokojcp/status/483941702881669120

***

この一覧に載っていない情報を探しましたが、あと二つ把握しましたので載せておきます。

大阪府豊中市

●7月2日(水) 17:30~19時 豊中駅前広場
集団的自衛権行使容認に抗議!街宣
http://ameblo.jp/amebloacchan/

兵庫県川西市

●7月2日(水) 19:00~20:00 阪急川西能勢口アステ歩道橋
集団的自衛権行使容認に抗議!街宣
問合せ:090-2044-6106
主催:秘密保護法廃止をめざす会・川西・能勢
http://ameblo.jp/amebloacchan/

***

デモ情報ではないですが、尊敬する中村哲さんが、集団的自衛権について語った動画をご紹介しておきます。

中村哲氏:集団的自衛権とNGO:民間支援"30年"の現場から
TBS 報道特集 2014年6月21日
https://www.youtube.com/watch?v=mW1L2BuQc-0

***

みなさん。頑張りましょう。今の頑張りいかんで私たちの未来が決まります。
子どもたちを守るため、未来世代を守るため、そして私たち自身のすべてを守るために頑張りましょう!!

 

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明日に向けて(880)「蘆葦(あし)の歌」Song of the Reed・・・こんな時だからこそ観に来てください!!

2014年07月01日 15時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140701 15:00)

今日はもう一つ、投稿します!台湾のおばあさんたちのドキュメンタリー映画を7月4日(東京)と7月6日(京都)に上映します!それぞれのお近くのみなさま。ぜひお越しください。
映画の名は「蘆葦(あし)の歌」。日本軍の性奴隷被害にあったおばあさんたちが、カムアウトして以降、心の痛みを乗り越え、尊厳を回復していく過程を追ったものです。絶対にお勧めです!ぜひご覧になって欲しい映画です。
出てくるおばあさんたち6名のうち上映までに4名が亡くなったため、おばあさんたちの最晩年を写したものにもなりました。「慰安婦」という「言葉」にとどまらない、実際のおばあさんたちの豊かで、お茶目で、素敵な横顔が溢れています。
人間はあれほどの被害をうけながらも、ここまで豊かに回復できるのかと心に強く、温かい風を吹き込んでくれる優しい映画でもあります。

当日は台湾から監督の呉秀菁(ウシュウチン)さんも参加されます。監督さんとおばあさんたちのサポーターの台北市婦女援助会の康淑華(カンシュウフア)さんも参加されます。お二人に発言してもらう予定です。
実は僕もほんの少しですがコメンターの一人として映画に出演しています。インタビューに応えたものです。30秒ぐらいでしょうか?
でも「日本人はこんな風に考えているのかと台湾で評判になった」と監督さんに教えてもらいました。ありがたいことです!

台湾の支援組織=婦援会の素晴らしいところは、もともと女性をケアしてきた団体であっため、性暴力被害者を癒し、痛みからの回復を助けるプログラムを持っていたことです。
それをおばあさんたちに提供し、おばあさんたちもそれを受け入れて、だんだんと自分の尊厳を取り戻してきました。映画はそのためのワークショップの舞台を中心に、おばあさんたちの回復の過程をおいかけています。

この問題、どうしても最初はおばあさんたちの辛い過去を聞くことから始まります。性暴力の場面であり、聴く側も辛く悲しいことが多い。おばあさんたちから少しでも痛みをとるために、みんなで分け持つ場面でもあります。
でもそれが前半だとすると、後半はそこから起ちあがってきたおばあさんたちとの交流の場であり、おばあさんたちが尊厳を取り戻していく場への立ち合いなのです。
とても感動が多い。おばあさんたちの優しさ、温かさ、そしてまた気高さと一方でのかわいさなど、刻々と変化していく中での、おばあさんたちのいろいろな顔を見ることができる場であり、また、おばあさんたちの心の回復力に感嘆する場でもありました。

性奴隷問題を扱った映画の中で、この後半部分に大きく焦点をあてた映画やシーンはあまり多くはないのではないかと思います。
実はそのため、監督さんは映画の感想をとても聞きたがっています。前半があまり登場してなくてある意味では異色でもあるからだと思います。
参加した皆さんに感想を聞きたいそうです。そのためにわざわざカメラマンも台湾からついてきます!ぜひ映画を観て感動された方はその内容を監督さんに伝えて下さい。

実は映画に出てくるワークショップ、もともとはクローズドな場でとくに男性の立ち入りを認めてこなかった場でした。
ところが婦援会と長らく一緒に活動してきた東京の柴洋子さんがおばあさんたちと紡いできた信頼関係の中から、私たち京都の支援グループも参加を認めていただき、やがて僕も何度か参加させてもらいました。
そのころはおばあさんたちの心の回復がずいぶん進んでいたこともあって、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
中でも予告編の最初の映像に出てくる呉秀妹(ウーシュウメイ)アマととても親しくなり、僕ら夫妻は「日本の娘とその婿」みたいな感じで呼ばれていました。

でもそのシュウメイアマはもういません。映画の完成を待たずに2012年秋に亡くなってしまいました・・・。
そんなおばあさんたちの願いと祈りは「二度と若い人たちが自分たちのような思いをしないこと」です。わざわざ日本に出向いて辛い過去を話してくださったのもそのためでした。
おばあさんたちはそうして、私たち日本の人々、とくに若い人々をこよなく愛してくれました。
ぜひ映画館でそんなおばあさんたちの姿に触れ、おばあさんたちの思いをシェアして、この国の戦争への暴走を食い止める力をくみ取っていただければと思います。

以下、予告編のアドレスと、企画案内を貼り付けておきます。東京、京都の順番で掲載します。
(なお僕自身は京都会場のみに参加します。一言、感想を述べるつもりです)

【 蘆葦之歌 】慰安婦阿嬤的光影紀實 ☆電影首波預告☆
https://www.youtube.com/watch?v=V2lpKsdZi0g

*****

7月4日(東京上映)

台湾の日本軍「慰安婦」被害者たちの回復への道のり
「蘆葦(あし)の歌」Song of the Reed

沈黙し続けた女性たちが語り、笑顔を見せるようになった。
「慰安婦」にされた女性たちが家族に支えられ、台湾・日本の支援者との交流を通しながら歩んできた最晩年の日々を丁寧につづったドキュメンタリー。

■映画とお話■
内容:映画「蘆葦の歌」上映(婦援会制作、上映時間76 分)
トーク
呉秀菁さん(監督)
康淑華さん(婦援会執行長)
渡辺信夫さん(牧師・台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会代表)
今回のドキュメンタリー映画でも、元「慰安婦」の実際だけではなく、それに関わるヴォランティアの働きぶりが考察できる。
被害者家族の間にも問題を理解させる婦援会の活動は進み、被害者の家族が、家族であることを隠さないように変化がかなり進んだ。( 渡辺信夫)

■開催日時と場所
日時:7月4日(金)
場所:明治学院大学白金校舎本館1253教室
〒108-8636 港区白金台1-2-37

■主催:明治学院大学キリスト教研究所/ 台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会
■後援:明治学院大学国際平和研究所
〈問い合わせ先〉  明治学院大学キリスト教研究所
〒108-8636 東京都港区白金台1-2-37
電話03-5421-5210 FAX03-5421-5214 メールkiriken@chr.meijigakuin.ac.jp
申込不要 参加無料

地下鉄南北線&三田線
白金台駅  2 番出口 徒歩7 分
白金高輪駅 1 番出口 徒歩7 分
高輪台駅  A2 番出口 徒歩7 分
JR 品川駅 高輪口 徒歩17 分/
 都営バス「目黒駅前」行き「明治学院前」下車
JR 目黒駅 東口 徒歩20 分/
 都営バス「大井競馬場前」行き「明治学院前」下車

こちらからチラシが見れます。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10203095673531054&set=pcb.10203095677731159&type=1&theater

*****

7月6日(京都上映)

台湾の日本軍性奴隷被害女性たちのドキュメンタリー
蘆葦(あし)の歌」 Song of the Reed  京都上映会
(台湾映画/呉秀菁監督/76分/2013年/婦援会制作)

【台湾の日本軍「慰安婦」被害者たちの道のり】
 台湾ではおばあさんのことを親しみをこめて阿媽(アマー)と呼びます。

長い沈黙を破って語りだした阿媽たちの心の変化には、どんなかかわりがあったのでしょうか。
この映画は監督が、3年がかりで撮影した台湾の日本軍「慰安婦」被害女性6人のドキュメンタリーです。映画に登場する6名の阿媽のうち、上映までに既に4名が亡くなりました。
台北市婦女社会福利事業基金会(通称・婦援会)は1996年から被害女性を支えるプログラムとしてセラピー・ワークショップを行ってきました。
ヨガや絵画、料理、演劇など、年に数回開催され、阿媽たちは1泊旅行も兼ねたワークショップに行くのがが楽しみでした。
そのワークショップの貴重な最後の3年間の様子、阿媽たちを支えた家族との関係、台湾や日本の支援者との交流などが記録されています。
私たち京都実行委は2006年より、阿媽たちとの交流を重ねてきました。尊厳あふれる阿媽たちの姿を、ぜひ多くの人に見てほしいと思います。

2014年 7月6日(日曜日) 18:00開場 18:20開始
ひと・まち交流館 京都  第5会議室 (河原町五条下ル)

京阪電車「清水五条」下車 徒歩8分/市バス4,17,205号系統「河原町正面」下車
参加費 1000円
※台湾より婦援会、監督も参加予定です。
主催 旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・京都実行委
welcomeharumoni@hotmail.com
 
こちらからチラシが見れます。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10203095675091093&set=pcb.10203095677731159&type=1&theater

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明日に向けて(879)閣議決定による改憲など認められるわけがない!怒りをうたおう!(報道をまとめました)

2014年07月01日 10時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140701 10:00)

人と平和を愛する心を著しく欠落させた安倍政権と、大半の党員・支持者を裏切った公明党幹部により、本日、夕方からの閣議決定による憲法改悪が行われようとしています。
すでに朝7時半から与党協議が行われ、「合意」がなされてしまいまいた。この下でそれぞれに「党内の了承手続き進め」本日夕方に閣議決定が強行されようとしています。
こんなこと、認められるわけがない!みんなで大きな声で怒りをうたましょう!憲法9条を、平和を、守りましょう!

昨夜、東京の首相官邸前には4万人の人々が詰めかけて抗議のデモを行いました。デモは深夜0時を過ぎても続いてたそうです。
今日も緊急行動が呼びかけられています。東京方面の方、ぜひご参加下さい。呼びかけを掲載します。
京都市内での抗議行動の呼びかけも貼り付けます。僕もできるだけ参加します。
その他、各地で同様の取り組みがあると思います。閣議決定などなされたって憲法違反そのもの。私たちの力で覆しましょう!

***

7月1日(火)に臨時閣議で閣議決定!急遽1日も17時から緊急大規模抗議!
解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会 戦争をさせない1000人委員会
http://got.angry.jp/0630/

〈戦争する国〉への閣議決定絶対あかん!市民デモ@京都連日行動
http://ameblo.jp/harinaosu/entry-11885288296.html

***

各地の頑張りを互いに知って自分たちを勇気づけるために、昨日の様子を伝える報道をご紹介します。まずは独立系のIWJから。続いてYouTubeへの投稿を貼り付けます。
マスコミでは毎日新聞が良い写真を提供してくれています。写真特集のアドレスを貼り付けておきます。

***

「戦争反対」「憲法守れ」「安倍はやめろ」 7月1日閣議決定直前、官邸前で集団的自衛権反対の抗議
IWJ 2014/06/30
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/149563

安倍政権による集団的自衛権の行使容認をめぐり、7月1日の閣議決定が迫る中、その前日6月30日、首相官邸前で大規模な反対抗議行動が行われた。抗議は17時半から23時半まで続き、約4万人が「安倍はやめろ!」「戦争反対!」「憲法守れ!」とシュプレヒコールをあげた。
IWJはメインCh5、6、8の3カメラを使い、様々な角度から抗議の模様を中継。記者による参加者へのインタビューを行い、多くの市民の声を伝えた。

【官邸前・集団的自衛権】2014.6.30官邸前抗議の群衆?その1
2014/06/30 に公開
https://www.youtube.com/watch?v=fIFiWwAwCg8#t=110

【写真特集】集団的自衛権:「憲法守れ」…官邸前に押し寄せる人の波
毎日新聞 2014年06月30日
http://mainichi.jp/graph/2014/07/01/20140701k0000m010082000c/001.html

***

テレビニュースで動画が載っているものをご紹介します。TBSが「過去最大の官邸前デモ」と紹介しています。
また昨日のものではないですが、NHKが6月27日にきちんと反対行動を報道していたことを知りました。動画がYouTubeにあがっていたのでこれも貼り付けます。

***

“集団的自衛権”に反対、過去最大級の官邸前デモ
TBS Newsi 2014年7月1日(火) 5時7分
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2238214.html

30日夜、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更に反対する大規模なデモが総理官邸前で行われました。
30日午後6時半ごろから行われたデモには、主催者の発表で1万人を超える人が集まり、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行わないよう訴えました。集まった人の中には、『twitter』などSNSを見て参加したという若者の姿もみられ、デモは午前0時過ぎまで続きました。
「憲法は何のためにあったのか、それが守られてないのはおかしい」(デモ参加者)
「閣議決定が行われたとしても、国民は認めてないということを示したい」(デモ参加者)
 警視庁によりますと、30日のデモでけが人や逮捕者は出ていないということです。

官邸前で抗議デモ 集団的自衛権の閣議決定反対で深夜まで【動画・画像】
The Huffington Post
2014年6月30日 23時26分

http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/30/jieiken-demo_n_5543404.html

6月30日の夕方から深夜にかけて、首相官邸前で市民団体などによる抗議デモが開かれた。
憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を、7月1日に閣議決定する方針が固まったことを受けて、市民団体「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」と「戦争をさせない1000人委員会」が主催した。「解釈改憲、絶対反対」「集団的自衛権はいらない」などと訴えた。
7月1日にも同様のデモを予定。ネット上には多数の写真がアップされている。

集団的自衛権 来月1日閣議決定
NHK NEWS7 2014年6月27日
https://www.youtube.com/watch?v=3OznKnPERWc
(NHKのリンクがすでに消えているためYouTubeから TBSニュースバード映像もあり)

集団的自衛権 首相官邸前で抗議活動
NHK 6月30日 22時20分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140630/k10015631441000.html

憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する人たちが、総理大臣官邸の前で緊急の抗議活動を行い、政府に対し、行使を容認する閣議決定を行わないよう訴えました。
30日午後6時半から総理大臣官邸前で行われた緊急の抗議活動には、主催者の発表で、1万人を超える人たちが集まりました。
参加した人たちは、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に向けて政府・与党内の最終盤の調整が続くなか、「憲法を壊すな」「安倍総理大臣は国民の声を聞いて」などと訴えました。
抗議活動には、若者や学生たちでつくる複数のグループがツイッターなどを通じて同世代の人に参加を呼びかけたということで、若者の姿も多く見られました。
19歳の男子学生は「集団的自衛権の行使容認によって、海外で戦闘するような事態になりかねない。友人に自衛隊員がいるため、ひと事とは思えず、もっと関心が高まるよう声をあげたい」と話していました。
また、22歳の会社員の女性は「友人の中には、集団的自衛権についてよく分からないという人も多い。政治家の言葉だけに左右されないよう、まず事実を知って自分の意見を持って欲しい」と話していました。

***

海外でもどんどん報道が始まっています。
ロイターが記事を流しており、これをマレーシアの独立系ジャーナルが掲載しています。他国でもさまざまに掲載されていると思います。
THE JAPAN TIMESも動画まで掲載しました。英語を使えるご友人にぜひこれらの情報を伝えてください。

Thousands denounce Japanese PM Abe's security shift
REURTERS Mon Jun 30, 2014 1:58pm BST
http://uk.reuters.com/article/2014/06/30/uk-japan-defense-idUKKBN0F519A20140630

Thousands march in Japan to denounce Abe’s military shift
The Malay Mail Online
http://www.themalaymailonline.com/world/article/thousands-march-in-japan-to-denounce-abes-military-shift

Thousands get behind Article 9 in last-ditch rally at prime minister’s office
THE JAPAN TIMES Jun 30, 2014
http://www.japantimes.co.jp/news/2014/06/30/national/politics-diplomacy/thousands-get-behind-article-9-in-last-ditch-rally-at-prime-ministers-office/#.U7IGXcuKB9A

***

その他、幾つかの記事を載せておきます。
新潟で反対集会に80人、奈良駅前で80人の座り込みが伝えられていますが、地方紙を細かく見て行けばもっとたくさんのデモが出てくるでしょう。僕のいる京都でも活発に行われています。
なお、情報量が多くなりますが、これらの記事は一定期間経つとネット上からは消えて行くため、記録のためにも残しておきます。
それぞれで各地の行動に参加しましょう!

***

集団的自衛権 行使容認反対の集会
新潟日報モア 2014/06/30 11:18
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20140630120937.html

政府が集団的自衛権の行使容認のため憲法解釈変更の閣議決定に踏み切ろうとしている中、県内では政府の姿勢に反対や疑問の声が次々と上がる。29日には新潟市中央区で市民が集会を開き、集団的自衛権の問題点を考えた。講演した日本体育大の清水雅彦教授(48)=憲法学=は、行使を容認すれば国内でテロが発生する危険性を指摘し、国民一人一人が政府に対して反対の声を上げるべきだと訴えた。
集会は市民団体でつくる実行委員会が主催し、約80人が参加した。
清水教授は「自衛隊だけでなく、私たちの命も危険にさらされる」と問題視。「集団的自衛権の行使を認めた場合、米国の対テロ戦争に加担する事態につながりかねず、(相手から敵対視され)日本国内でテロが発生する可能性がある」と考える。
戦時のシーレーン(海上交通路)での機雷掃海をはじめ、国連の集団安全保障に基づく武力行使についても政府は限定的に容認する構えだ。清水教授は「国際常識で言えば、どこかの国が機雷をまいて関係ない国が除去したら戦闘行為と見なされる。集団的自衛権の名の下で日本が機雷除去をしても同じ。相手からすれば戦闘行為で、反撃を受ける可能性がある」との見方を示した。
さらに「国権の最高機関は国会。政府が行使容認を目指すなら、選挙の争点にして国民に問うべきだ」と強調した。
講演を聴いた村上市の大学生の女性(22)は「第2次世界大戦前と同じような状況で、怖さを感じた。集団的自衛権について、しっかり考えたい」と話した。

集団的自衛権:「憲法守れ」…官邸前で2委員会が反対集会
毎日新聞 2014年06月30日 20時55分(最終更新 07月01日 06時52分)
http://mainichi.jp/select/news/20140701k0000m010082000c.html

集団的自衛権の行使容認に反対する市民団体「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」と「戦争をさせない1000人委員会」は30日夜、東京・永田町の首相官邸前で相次いで集会を開いた。他のグループも両団体に呼応し、官邸周辺の歩道は一時、市民で埋め尽くされた。参加者は声をからして「集団的自衛権いらない」「憲法守れ」とシュプレヒコールを繰り返した。
集会に参加した東京都大田区の会社員、石川由美子さん(56)は「国民的な議論をせず、勝手に憲法解釈を変えて戦争できる国にすることは絶対に許せない」と話した。
両団体は自衛隊発足60年となる7月1日、国会周辺で反対集会や記者会見を開き、抗議の声を上げる。【野島康祐】

地方190議会批判 集団的自衛権 広がる「反対」「慎重に」
東京新聞 2014年6月29日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014062902000124.html

安倍政権が目指す集団的自衛権行使容認の閣議決定に対し、地方議会で反対、慎重な対応を求める意見書を可決する動きが急速に広がっている。本紙の調べで、今月だけで少なくとも百二十超の議会に上り、これまでに可決済みは百九十(二十八日時点)となった。自民党会派の賛同も目立つ。閣議決定を急ぐ政府と、それを懸念する地方の溝はさらに広がった。 (関口克己)
本紙の三月末時点での集計では、同様の意見書は約六十あった。だが、安倍晋三首相が五月十五日、行使容認を検討する意向を記者会見で表明すると、それに抗議する形で議決の動きが勢いを増した。
都道府県レベルでは長野、岐阜両県議会がいずれも六月に慎重審議を求める意見書を可決。市町村議会では三十二都道府県の百八十八に増えた。最多は長野県で、県議会のほか四十五市町村となった。自民党県連が県内市町村に意見書提出要請をした岐阜県は、九市町村となっている。
逆に、全国千七百八十八の自治体で政府方針を支持する意見書は一つもない。
東日本大震災で被災した福島県南相馬市議会は十九日、自民系会派を含め全会一致で容認反対を議決。「震災と原子力災害で助けられた自衛隊員が海外に出て武力を行使することは容認できない」と訴えた。
二十五日には、自民党の石破茂幹事長のお膝元となる鳥取県境港市議会も、行使容認反対の意見書を可決した。自民党の高村正彦副総裁は二十七日、相次ぐ意見書可決に「地方議会も日本人であれば、慎重に勉強してほしい」と反論したが、与党は協議開始から一カ月余りで結論を出そうとしている。

奈良)集団的自衛権の行使容認反対、80人座り込み
朝日新聞 2014年7月1日03時00分

集団的自衛権の行使容認に反対する座り込みが30日、奈良市の近鉄奈良駅前であった。
市民団体「秘密保護法反対県実行委員会」が主催し、約80人が参加した。安倍政権が7月1日にも憲法解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにする閣議決定をするのに合わせた。
参加者らは「解釈で9条をこわすな」などと書かれたプラカードを持って計4時間座り込み、「行使容認は日本を再び戦争のできる国にする危険な行為」「自分や家族の問題として考えて」などと訴えた。(浦島千佳)

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明日に向けて(878)新宿決起は義挙だ!憲法9条を守り抜こう!

2014年06月30日 23時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140630 23:30)

すでにさまざまな形で伝わっているように、昨日6月29日、東京の新宿で、集団自衛権に反対する男性が歩道橋の上に登り、暫くメガフォンで主張を述べた後に自らに火を放ちました。
火は男性の全身を覆いましたが、周りにつめかけていた消防隊がただちに放水を開始。マットを敷いた床に男性を落としてさらに消火を継続しました。男性は一命はとりとめたと報道されています。

この男性の行為がさまざまな形で伝わっていますが、まずはっきりと自分の意見を述べたいと思います。
彼の新宿決起は義挙です!!日本の若者が人を殺し、殺されることに派遣されようとすることを、命をはって食い止めようとされたからです。断固支持します!
彼は自らに火を放つ前に、与謝野晶子の「君死にたまうなかれ」を読まれたそうです。
そうです。私たちはこの国の若者に、人殺しをさせてはいけない。殺される場に立たせてもいけない。若者の命がかかっているのです。そのために男性は命賭で訴えを敢行したのです。

これまで世界の中でもこうした決起は繰り返し起こってきました。お隣の国、韓国では1970年、平和市場の22歳の青年、全泰壱(チョンテイル)が、当時の悲惨な労働者たちの実情の改善を訴え、自らに火を放って「僕の死を無駄にするな」と叫び、絶命しました。
当時の韓国は軍事独裁下の国。労働運動にも激しい弾圧が繰り返されていました。その韓国政府を強力にバックアップしていたのが、日本の自民党政府でした。
チョンテイル青年はその理不尽な体制に命をかけて抗議を行いました。そしてその思いは瞬く間に韓国全土に伝わり、独裁政権を揺るがす民主化の大きなうねりが起こっていったのです。
このインパクトは日本にも波及してきました。だんだんに彼の思い、決起にいたる過程の出来事、彼の遺した言葉が伝わり、私たちの心を揺り動かし、韓日の民衆連帯のもとでの、独裁を倒す努力が重ねられていったのです。

僕自身も1977年、高校3年生のときに、チョンテイル青年の決起のことを知り、ものすごい衝撃を受けました。そして彼の思いをシェアしたくて、日本の中での韓国民主化支援運動に起ちあがりました。
僕が許せなかったのは独裁政権を自民党政府が支えていることでした。そのため日韓定期閣僚会議反対集会に赴きました。
当時の、韓国軍事政権と連携していた日本の警察も、今よりもずっと暴力的だった。警官隊とデモ隊との衝突でもみくちゃになるなかで、僕は機動隊に「公務執行妨害」の名目で逮捕され、警視庁丸の内署に留置されました。高校3年生の9月の時でした。
そのとき留置場に韓国の若者たちの獄中記が差し入れられ、むさぼるように読んだことを覚えています。韓国の若者たちはみな「チョンテイルの死を無駄にしない」との決意で、圧政に立ち向かっていました。

今の日本はあのときの韓国と同じではありません。私たちにはまだまだ強い人権がある。しかし今や国会は完全に骨抜きにされています。憲法と言う国の根幹をなし、政権を制限する法典が、議員たちの論議も経ない閣議決定で捻じ曲げられようとしています。クーデターです。
それだけではありません。膨大な数の人々が本来、飲み食いも、寝ることも禁止されているはずの放射線管理区域の中に今も住まわされている。当然にも行うべき国の保障のもとでの避難が行われていません。国家が何も責任をとっていないのです。
さらに「原発関連死」で少なくとも約1500人もの福島の方が亡くなっているのに、つまり東電がそれだけの人を殺害しているのに、ただの一人の逮捕者も出ていない。
今は私たちの国の法律はぐちゃぐちゃなのです。法的正義がまったく通らない。憲法違反が堂々とまかり通ってしまっている。それなのに政府は東京オリンピックという「平和の祭典」をやれるとさえ思っている。

そんな状況の中で、今、さらに憲法9条が解体され、自衛隊が他国に行って、米軍を守るために戦わされようとしている。戦後、唯の一人も海外の人を殺したことのない自衛隊が初めての殺人をさせられようとしています。
当然にも自衛隊の若者にも死が強制されることになります。命の問題が差し迫っている。だから彼は自らの命を差し出す決起を行ったのでしょう。
胸が震えます。もちろんすごく痛いし悲しい。でもそれは全泰壱(チョンテイル)の死を知った時の衝撃と重なります。だから僕は彼の義挙に感謝し、心からの支持を表明したい。そもそも若者のために命を投げ出した行為が誰からも支持されないなんてそんなことあってはならない!
「命を粗末にするな」とか言う声も聞こえます。でもそれは安倍政権にこそ向けるべき言葉です。公明党幹部にこそ向けるべき言葉です。安倍自民党と公明党幹部がこの国の若者に人殺しをさせ、殺されることを強制しようとしているのです。問題の本質はここにこそある!

さらに付け加えたいのは次のことです。とくに心ある公明党員のみなさん、創価学会員のみなさん。聞いて下さい。
私たちの国、あるいはアジアでは、これまでの歴史の中で僧侶たちが繰り返し衆生の幸せのため、自らの命を投げ出してきました。自らの命を捧げることこそ最も高貴な供養とされてきました。
私たちの国や東アジアの仏教の中心にあるのは法華経の教えです。その巻第七の薬王菩薩本事品第二十三には、一切衆生喜見菩薩という求道者が出てきます。
彼は法華経に学んだ後、「神通力によって奇蹟を現したとて供養にはならない。自分の肉体を捨てることによって供養するにしくはない」と考えていきます。

そうして「沈香・乳香・薫陸香(くんろくこう)の樹脂を食べ、チャンパカの花の油を飲」んで12年を過ごしたのち、次のような行為に及んだのです。
「自身の肉体を天上の衣服でつつみ、香油にひたし、堅い決心をした。彼は決心をしたのちに、如来と『正しい教えの白蓮』という経説に供養するために、自分の身体に点火した。」
これに対して、「80のガンジス川の砂にひとしき尊き仏たちが、すべて、彼の行為を賞賛し喝采した」とあります。
彼らは「立派だ。これこそ偉大な志を持つ救法者たちの発揮しうる真の勇気であり、これこそ如来への真の供養であり、教えへの真の供養である」と述べたのです。(引用は『法華経』(下)岩波文庫より)

こうした教えを受けて、本当にたくさんの僧侶が命を投げ出してきました。飢饉のとき、あるいは天変地異のときに、集団で入水していく僧侶たちすらいた。歴史にたくさん記録されています。
さらにアジアに目を移すならば、ベトナム戦争のときに、ベトナムの僧侶たちがアメリカの侵略に抗議して自らに火を放ちました。苦しむ衆生のために自らを捧げたのです。
チベットでも、中国の抑圧に抗議してたくさんの僧侶たちが身体に火を放っています。
そしてそれらが世論を動かし、歴史を動かし、人々の幸せの拡大につながっていったことが実際にたくさんありました。それらの一つ一つが義挙でした。

法華経は仏典の中でも非禁欲的で、人々が豊かになり、喜びを増やし、幸せになることこそを奨励している経典です。
それは諸教の中でも明るい経典であり、だからこそ、東アジアで絶大な人気を誇り、語り継がれてきました。京都を中心に日本に浸透している「おもてなし」の精神もその出発点は法華経にあると僕は解釈しています。
法華経は、真理のため、衆生のために命を投げ出すこともまた最高の生き方として、喜びとして説いている。それは宗派をこえて私たちの集合的無意識の中にまで織り込まれているものと言っても良いのではないでしょうか。
この世で最高の喜びとは何か。人を喜ばすこと、人を幸せにすること、人の笑顔をみることにある。そのためだったらわが身を投げ出しても悔いはない。そんな思いが私たちのアジアには大きく漂っているのではないか。中国にも、韓国にも、北朝鮮にも、他の国々にもです。

安倍政権はこのまったく逆をいく政権です。その証拠に、東北・関東の人々が被曝で悶絶の苦しみの中にいるのにまったく助けようとしない。それどころか「今も未来も健康被害はまったくない」などと大嘘をついて被害者を踏みしだいている。
アメリカが「大量破壊兵器をイラクが隠し持っているから」とのいいがかりで始めたイラク戦争に対しても「大量破壊兵器がないことを証明しなかったイラクが悪い」と開き直る始末。いいがかりの末に大量に殺害したイラクの人々への痛みをかけらも持ってないのです。
ちなみにイラク戦争のときに首相としてアメリカを全面的に支持したのは小泉氏であり、官房副長官だった安倍氏です。安倍氏は明確にイラク戦争の責任者の一人なのです。彼はそのことを問われたと思って逆切れしたのでしょう。
その安倍氏がありもしないような「想定」を持ち出し、これまでの自民党の憲法解釈=国民への約束すら軽々と捻じ曲げて、戦争に日本の若者を駆り立てようとしているのです。これを止めずして一体どうするのか。そう考えて男性は起ちあがったのです。

その決起のインパクトが今、世界中を駆け回っています。凄い力です。世界の多くの国の人々が、日本が自国軍隊の戦闘を禁止する憲法を持っていること、それを安倍政権が変えようとしていること、これに対して命をかけて止めようとする日本人がいることを知ったのです。それはどれだけ私たちの力になったことでしょうか。
またアメリカの戦争に加担しようとしているのが、ウルトラナショナリストの安倍政権と大多数の党員を裏切った公明党幹部たちだけであること、これに対して大きな反対の声があることもまた世界中に示されつつあります。今後、世界の報道は私たちのデモもおいかけてくれるでしょう。それは私たちをウルトラナショナリストの安倍首相とを分けて見る眼を世界に与えてくれるでしょう。
それやこれや本当にたくさんの意味で、この男性は私たちに大きなプレゼントをくれました。心から感謝したいです。そうして彼の熱き思い、身を焦がしてまでも若者たちを守ろうとする、深く優しい心を共有したいと思います。
そしてここまで書いて付け加えたいのは、焼身という行為は、やはりあまりにも心が痛いし悲しいということです。とにかくまずは助かって欲しい。元気になったらお会いして一緒にデモをしたい。そうしていつかどこかで「憲法9条を守れたね」と笑い合いたいです。

最後に新宿で決起された男性にメッセージを送ります。


新宿のあなたへ

あなたはあなたの
命をかけた

若者たちのために
未来のために
真実のために
愛のために
平和のために

深く胸を打たれ
感謝し
共感し
続こうと思うのだけれど

でもあたなよ
死なないでください
どうか
生き延びてください
一緒に
歩んでください

このまま
あなたと出会わずに
あなたの声を聞けずに
あなたのいない世界を
迎えたくはない

あなたと一緒に
若者たちの
子どもたちの
柔らかい笑顔が見たいのです

だから
あなたの決起を
心の底から支持しながら
僕は
生きてくださいと
あなたに叫びます

ともに
一緒に
みんなで幸せを紡ぎ出して
笑い合いましょう

いつの日か
必ず

 

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明日に向けて(877)東電にいじめられズタズタ・・・こんなこと、絶対に許していてはいけない!!

2014年06月29日 09時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140629 09:30)

今日(6月29日)はこれから龍谷大学に向かい、飯舘村の人々を撮った映画『遺言 原発さえなければ』監督の豊田直巳さんとのジョイント講演・対談に赴きます。
その朝に、郵送で購読している東京新聞6月27日付けの「こちら特報部」の記事を読んで、なんとも胸が痛みました。
タイトルは「東電にいじめられズタズタ 福島の被災者は苦しんでいる」です。
「こちら特報部」は左右見開きページになっていますが、左面には「心のケアでは解決せず・・・法整備しかない お金いらない元にもどして」とのタイトルも。

記事は今月4日に、福島県浪江町から避難して、二本松市の仮設住宅で1人暮らしをしていた男性が亡くなっていたのが発見されたことから説き起こされています。
男性は74歳。死因は心筋梗塞だったそうです。ご冥福を祈るばかりです。
仮設住宅での孤独死は仮設住宅で暮らす浪江町民に限っても、この2か月で3件あったそうです。

記事はさらに、専門家の立場から、被災避難者の支援を続けている「震災支援ネットワーク埼玉(SSN)」が、早稲田大学と共同で行った、埼玉と東京に避難中の3599世帯を対象とした調査について触れています。
4月末までに回収したアンケート600件の分析で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性のある人が57.7%もいることが分かったそうです。
胸が詰まるのは自由記述欄に書かれた言葉です。紙面に掲載されたものを引用します。

「夫婦ともにうつ。家族全員が被ばくをしている。生きていてもしかたがない。一家心中を考えている」(双葉町から埼玉に避難・42歳女性)
「頭が円形はげになったり、歯が9本も折れたり抜けたり、薬が増えたり、身体も精神も東電にイジメられてズタズタです」(南相馬市から埼玉に避難・50代男性)
「避難してうつになり、家事もできなくなったり、心身共につらくて仕方ないです。自殺を考えたくなる」(浪江町から東京に避難・45歳女性)
「ハローワークにどれほど通ったか分かりません。(中略)損害賠償請求は一度もしていない。手持ちの現金を使い果たし焦ってきているが、気力が出ず、請求ができない」(大熊町から埼玉に避難・57歳女性)

この記述に対して、調査を主宰した早稲田大学辻内琢也准教授(医療人類学)は次のようにコメントしています。
「この精神的苦痛は、心のケアでは根本的に解決しない。被災者が分断され、PTSDの質が深刻化している。解決策は法整備しかない。子ども・被災者支援法を機能させ、自主避難を含めて社会がきちんと対等する制度が必要だ」。
・・・まったくもってその通りです。

記事の紹介はここまでにしますが、ともあれ私たちは「身体も精神も東電にイジメられてズタズタです」という本当に悲痛な声を、心の底で受け止めて、行動していく必要があります。
辻内准教授の言うように法的整備が必要です。それももう余裕などない。多くの方たちがぎりぎりの状態におかれています。
「いじめ」ているのは東電だけではありません。バックにいるのは日本政府であり、被災者無視の姿勢を支持している人々です。
まさに今、東電と政府による被災者虐待が横行している。明白な暴力がたくさんの人に振るわれています。

しかもそれが放射線被曝の中で起こっています。
「夫婦ともにうつ。家族全員が被ばくをしている。生きていてもしかたがない。一家心中を考えている」という訴えが、そのことを絞り出すように突いている。
あんなにひどい事故をおこした東電が誰一人も罰せられていないことそのものが人々を苦しめています。
しかも奥深い心的ストレスの上に、放射線被曝が襲ってきているのに、被曝の健康への影響もほとんど無視されたまま。その上、多くの被災者が金銭的困難にも襲われています。

にもかかわらずこの国は、事故の責任者をかばい続け、原発はコントロールされているとかの大嘘を通してしまい、被災地に背を向けて東京オリンピックに向かおうとしています。
そんなお金があるのなら、すべてを被災者対策と、福島原発事故の真の収束に投入すべきなのに、それをしないで東京オリンピックに向かおうとすること自身が、僕には巨大な暴力であるように思えます。

こんなひどいことを黙ってみているわけにはいかない。こんなにひどい虐待を見すごすことはできない。それは自分もまた暴力に加担することだからです。
心苦しいことですが、私たちは自らが懸命に動かなければ、いじめ、虐待の側に回らされてしまう構造の中にあります。だから私たちにはこのいじめを止めさせる義務があります。
そのためにどうしたらいいのか。端的に言って何でもいいからできることを探し、動き始めること。とにかく被災者を救うために思いつく限りのことをすることです。

今日の豊田さんとのジョイント講演と対談もそのための一つです。僕は映画『遺言 原発さえなければ』の製作自身が一つの義挙であると思っています。
この映画を通じて、飯舘村や福島、いやそれだけではない、被災したすべての人々の痛みをシェアできるからです。それは私たちの胸の内に新たな熱をもたらします。
だからまずはそこから始めて欲しい。映画は今後、自主上映も可能になるので、ぜひ各地で積極的にこの映画を呼び寄せて、上映会を行って欲しいです。

ただその際、僕がみなさんにおさえていただきたいのは、私たちはただ単に「東電にいじめられてズタズタ」な人々の思いだけをシェアするのではないということです。
その東電にいじめられた被災者の中から、たくさんの方が痛みをおして起ちあがり、原発事故の悲惨さをあっちこっちで訴え、世のため人のためにと行動しています。
ぜひそこもつかんで欲しい。いじめを許さずに起ちあがるのは社会的義務だと僕は語りましたが、他ならぬ被災者の中からたくさんの方がそうした起ちあがりを実現しています。

そしてその圧倒的な声、行動力、愛の力があるからこそ、今、私たちの国の原発は全部、止まっているのです。
あれほど横暴な安倍政権や自民党と、それをまったく止めることができない公明党や民主党の議員たちに私たちの国の国会の議席のほとんどが奪われる状態にありながら、なおかつ、原発はすべて止まっているのです。
福島の怒り、被災者の怒りが安倍政権すらも止めているのです。それが私たち全体の、命と暮らしの安全性を素晴らしく押し上げてくれています。
私たちはその恩義に応えなくてはいけない。愛を持って応え行動しなくてはいけない。

どうかみなさん。一緒に起ちあがりましょう。そして未来の人々に「あそこで歴史が変わったね」と言ってもらえるような何かを実現しましょう。
企画参加のため・・・熱き思いを抱えて・・・そろそろ家を出ます!

 

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明日に向けて(876)「原発事故にどう備えるか 検証避難計画」―クローズアップ現代から(上)

2014年06月28日 23時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140628 23:00)

今回の表題は2014年3月5日に放映されたNHKクローズアップ現代のタイトルをそのまま拝借しています。
なかなか良く作られた番組でした。ヨーロッパ・トルコから帰国してだいぶん経ってから観ましたが、原発避難の現実をきちんと取材して報道してくれていることに感銘を受けました。
なにはともあれアドレスをご紹介しておきます。

原発事故にどう備えるか 検証 避難計画
NHKクローズアップ現代 2014年3月5日
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3472.html7

クローズアップ現代の凄いところは、放送内容のスクリプト全文を文字お越ししてアップしてくれていることです。
動画もダイジェスト版(6分31秒)が見れます。スクリプトの初めの方に「動画を見る」のボタンがあります。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3472_all.html

ぜひ全体をご覧になって欲しいのですが、番組がハイライトしてる点を取り上げると、福島原発事故のときに強制避難の対象となった原発直近の地域で、避難が非常に困難であったことです。
初めに出てくるのは原発から4キロに位置していた双葉厚生病院の例。看護師の渡部幾世さんが登場しています。
原発事故が起こった時、この病院には寝たきりのお年寄りを含む130名以上の方が入院していました。

国は避難指示を段階的に3キロ、10キロ、20キロと出し、双葉厚生病院も10キロ圏内に避難指示が出されたときに移動を開始しましたが、すでに周辺の道路では渋滞が発生。
緊急に近くの町の病院に移るだけで5時間以上がかかってしまい、病院到着後に亡くなってしまう方が出ました。
渡部さんは「申し訳ないというのもあります。 無理な移動がなければ、こんな早く亡くなることは無かったかなと思う」と述べています。

番組はなぜ政府が段階的に避難指示を出したのに、交通渋滞が発生したのかと問い、調査してみると実際には避難指示が出る前に周辺住民の自主避難が開始されていたことをつかみました。
分析を行った東洋大学の関谷直也准教授は次のようにコメントしています。
「原子力事故というものが、相当以上に人々に恐怖感を与えた。どこまで避難すればいいのか、どこが安全、どこが危ないのか、わからない状況での避難だった。段階的避難させていくとしても、そう簡単にいかないことがわかった。」

ここでノンフィクション作家の柳田邦夫さんが番組のコメンテーターとして登場し、次のような指摘を行っています。
「これから原発というものを、仮にでも稼働するとなると、この避難計画というのはとても大事な意味を持つんですが、なぜかと言うと、福島原発事故の最大の教訓をあえて2つ挙げれば、1つは、災害というのは科学的に想定したつもりでも、それ以外の何かとんでもないことが起こりうる、それに備えられるかどうかということと、
それから地域の住民の安全、命や健康の安全、これを考えるにあたっては、原発のプラント自体がいかに技術的に安全ですと保証されたにしても、今度は住民の目線に立ったときに、本当に大丈夫なのか、想定外のことが起こったときどうするんだという目線から言うと、
最悪の事態を前提にした避難計画というのが、技術的なプラントの安全性とは独立して、きちっと確立されていないと、住民の命は守られないという、これが最大の教訓であるわけですよね。」

その上で実際に避難を準備するにあたって必要なこととして次の点を指摘しています。
「まずは、地域防災計画が綿密に、地域の特性に合って作られているということ、最悪の事態に備えて。それが住民一人一人に啓発活動の中で、地域として徹底している。
それから2番目には、それが実際に避難できるのかどうかを、全員参加の訓練でやって、その実効性を試さないといけないと同時に、住民が避難を体で覚える。
どういう避難のしかたをしなきゃいけないのか、これを体で覚えるということとか、さらには、いざ事故が起こったときに、正確な事故情報、避難指示っていうのがきめ細かく伝わるということ。
さらには地域にある病院とか福祉施設、あるいは老人施設、そういう体の動かないような人たちをどうするかという問題とかですね、さまざまな問題があって、それが一つ一つが全部クリアされて初めて、避難計画っていうのが意味を持ってくるわけです。
これは大変な作業です。」
柳田さんはこれを一自治体に任せず、国が責任をとってやるべきだと述べています。

続いて、では避難のできない人が病院などで屋内退避をする時に、誰が残ってその人たちを守るのかという問題が生じるわけですが、番組は実際に南相馬市立総合病院で起こった実例を追いかけていきます。
院長の金澤幸夫さんは4日目に病院に残るかどうかを職員の自己判断に任せることにしました。すると3分の2の職員が離れていった。このとき病院を離れた側と、病院に残った側の看護師さん、そして金澤院長がそれぞれ次のようにコメントしています。

看護師 佐藤理香さん 
「ふだんあまり言わない子どもたちが、(病院に)もう行かないでって。
スタッフが頑張っていたのを知ってて、それでも(病院に)戻らなかった、戻れなかったというか、戻らなかったんですね。 最終的には自分の判断なので。
 今もつらいです、本当に。本当に無責任だったなと思って。」

看護師 小野田克子さん
「(娘に)『死んでもいいからお母さんのそばにいる』と言われて、そういうのを後から聞いた時に、なんて(自分)勝手というか。
 自分の好きなことをさせてもらったとしか言えない。」
小野田さんはいったん福島市に避難させた娘さんに、お母さんと離れたくないと言われて、娘さんと病院で寝泊まりしながら看護の仕事を続けましたが、娘さんを危険にさらしてしまったと考えています。

南相馬市立総合病院 院長 金澤幸夫さん
「看護師はすごく使命感があると思う。 残った人の半分以上は死ぬと思っていた。それだけ厳しい状況だったと思う。」
金澤さんは、あまりに大きな覚悟を迫ることにつながったと考えているそうです。

この3人の話を聞いて、玄海原発から26キロにある伊万里市の病院から、いざとうときのための視察に来た医師の山元謙太郎さんが次のように語ります。
医師 山元謙太郎さん
「避難する人もすごい後悔の念を持つし、残った方も後悔するし。 誰ひとり満足する人っていない。
 家族があったりして自分があって、生活してきている状況があるから、使命感一本だけとは限らないと思います。」

これを踏まえて柳田邦夫さんはこう述べています。
「これ、いみじくも原発災害というものの特異性を、端的に表していると思うんですね。
本当にこの心理や家族関係や、そういうことまで含めて、一人一人が抱え込んでしまうわけです。
それは看護師一人だけの問題ではなくて、被災した何万という数の、こういう困難な問題が生じるのが、まさに原発災害。
それが地域の避難計画や防災計画に関わる、大事なところなんです。」

「これに対して自治体や、施設の長や、それに対策本部に丸投げするのではなくて、国が基本的にはこうするという倫理の問題まで含めて、方針を出さないと解決しないですね。
例えばああいう防災とか、あるいは命を守る職業の人たちっていうのは、自分が去っても後悔が残る、残っても後悔が残る、いろんな問題抱え込む。」

「そのときにやっぱり、そういう義きょう心や、あるいは人助けというものの精神で燃える人っていうのは、自分の命を省みなくなってしまう。
それでいいのか。それを何か期待して、防災計画を立てちゃ絶対いけない。」
「大災害や原発災害のときに、そういう防災関係者、医療福祉関係者がどういう判断と行動をすべきか、これは基本的な方向づけっていうのを、国がなんか臨調みたいな問題を作って、議論すべきだと思うんですね。」


以上が番組の概略ですが、みなさんはどう思われますか?

こうした点に関して私たちは回答をすることが求められています。なぜなら原発災害対策は必ずたてなければならないものだからです。
何よりも、福島第一原発が、大きな余震の影響や、収束作業中の何らかのトラブルなどで、再び大きな危機に陥り、災害が拡大する場合を想定しておかなくてはいけない。
同時に、日本中の原発の燃料プールに、冷却水を失うと瞬く間に大変危険な状態に陥る使用済み核燃料が大量に入っているわけですから、この事故にも備えてなくてはなりません。
もちろん再稼働は安全性の問題からいって論外であり、稼働させないことこそ災害対策の第一歩ですが、他方で運転していない原発の事故にも私たちは備える必要があるのです。

さらに言えば、今や世界にたくさんの原発があるのですから、海外への赴任や転出、旅行中ばどに事故に遭遇することも十二分に考えられます。
その可能性も含めて、私たちは原発災害のときにどうするのかを徹底してシミュレーションしておく必要があります。
そのためにもこの番組で取り上げられた看護師さんたちの悲痛な声を、自分に引きつけて捉え、自分だったらどうするのかを考えてみていただきたいのです。

もちろん柳田さんは、まずは言うべき大前提を語ってくださっており、明快でありがたいコメントを発してくださっています。そうです。これはまずは政府が責任をとって考えるべきことなのです。
それは声を大にして要求し続けなければならないものですが、しかし安倍政権がまじめに取り組む可能性は残念ながらほとんどないでしょう。
同時にやはりこの問題は政府に任せておいて解決できるものではないことも見据えておく必要があります。私たち自身がこの問題に悩んで回答を出していかなくてはならないのです。

ではどう考えたら良いでのしょうか。まずはみなさん。考えてみてください。
今回は、長さも考えて、あえてこの問いを発するまでとし、次回に僕の考えを述べさせていただきます・・・。

続く

 

 

 

 

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明日に向けて(873)白血病で亡くなった被爆2世峯健一君のお話(平塚淳次郎さん談)

2014年06月20日 22時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140620 22:00)

明日に向けて(871)でアレン・ネルソンさんの話をご紹介しました。「憲法9条はいかなる国のいかなる軍隊より強い」と日本中を駆け回って講演してくださった元米兵の方です。
僕はネルソンさんの話は前から知っていましたが、あらためて彼の語ったことに耳を傾けたのは、6月11日に行われた「京都被爆2世3世の会」に参加してのことでした。
ネルソンさんが1996年に沖縄を訪れて覚醒され、その後の13年間、1200回にも及ぶ講演を行ったときに、彼の通訳として多くのところに同行し、彼の心を私たちに伝え続けてくださった平塚淳次郎さんが、この日、講演してくださったのです。

平塚さんのお話は前半と後半に分かれていました。後半がすでにご紹介したネルソンさんとの触れ合いについてでしたが、前半は被爆2世で白血病で亡くなった峯健一君のことでした。平塚さんが教師として担任された生徒さんでした。
平塚さんは峯君との触れ合いの中で大変、辛く、悲しい思いをされ、今も胸の痛みを抱えていらっしゃいます。この日はまずそのお話をしてくださり、それからネルソンさんの話に移っていったのでした。
集団自衛権行使に向けた憲法の解釈変えなどというとんでもない動きに対抗するために、ネルソンさんの話を先にご紹介しましたが、平塚さんがネルソンさんを支えるにあたっての強い根っことなったものこそ、峯君と共に過ごした日々への思いだったのだと思います。

今回は、平塚さんが峯君を担任され、彼が発病し亡くなるまでのことについての発言を、講演会でのノートテークを元に文字化して掲載したいと思います。
原爆の放射線の被爆2世への影響を考察する上でも重要なお話ですが、何よりも、もっともっと生きたかった峯君の思い、お母さんの悲しみ、そしてその場に居合わせて「あのときこうできていれば」と痛みを抱えてこられた平塚さんの痛みをシェアしていただけたらと思います。
僕はこうして受け継がれてきた思いこそが、憲法9条を支てきた実態だと思います。平塚さんはその上に、ネルソンさんの発言を開花させたのです。
どうか(871)でご紹介したネルソンさんの言葉と共に、以下の平塚さんのお話をお読み下さい。

*****

京都被爆2世3世の会での講演から
2014年6月11日

ご紹介をいただいた平塚です。
生まれも育ちも宝塚市です。そこから大阪府立高校に通勤していました。
生まれは昭和10年。早生まれです。終戦のときに10歳。終戦直後に新生中学に入りました。「新しい憲法の話」をはじめて中学で読みました。

22歳で英語科の教師になりました。39歳のときに何度目かの一年生の担任になりました。もう40年も前のことです。そこに新入生として入ってきたのが峯健一でした。
彼は入学と同時にサッカー部に入り、毎日、真っ黒になっていました。
ところが7月末に面談でお母さんにお会いしたら、母親が「サッカーを辞めさせてくれ」という。成績を気にしているのだと思って「クラブを辞めたってすぐに勉強する訳ではないですよ」と話したのですが、「本人が体が持たないと言っている。余った時間は全部、勉強をさせるから、なんとか先生からクラブ側に言ってほしい」と言うのです。それでグランドにいたキャプテンを呼んで、その話を伝え、クラブを辞めさせました。
すると健一はその分、猛烈に勉強をしました。サッカーをしているころは勉強などできなくて、中間考査でビリだったもの7番目にあがりました。もの凄く頑張っていました。

ところが11月27日に初めて学校を休みました。膝が痛くて歩けないという。正直、そのときはそれぐらいなら我慢してくればいいのにと思いました。
ところが期末試験になって初日はとても良い点を取ったのに、その夜に膝が猛烈に痛みだし、救急病院に入院してしまい、翌日から試験に出られなくなりました。それで12月15日に初めて見舞いにいきました。

そこでお母さんの峯スミ子さんと話をしました。健一とは母一人、子一人。妹の純子がいたのですが、2年前に白血病で亡くなっていました。小学校を出て、中学の入学式を待つ間に入院して、あっという間だったそうです。
さらに父親も、骨肉腫で亡くなっていました。ただし父親は戦争に行っていて、長崎にいたわけではないので被爆者ではありません。
お母さんのスミ子さんには被爆者の自覚はありませんでしたし、被爆者手帳も持っていませんでした。健一の病気もそれまで診てきた医師からリュウマチ熱と聞かされていました。
ところがそこで初めてスミ子さんが8月9日に長崎にいたことを聞きました。郊外にあった宿という町の矢上(やがみ)国民学校5年生で、ちょうどその日は普賢岳に松ヤニを取りにいっていました。戦闘機の燃料です。

その時、長崎の方向に閃光が走り、先生の「伏せ」という号令で地面に伏せました。気が付くと空から「灰」が振ってきていたそうですが、本人は被曝下と言う自覚はありませんでした。
ところが夜になっても長崎市内の鉄工所で働いていたお兄さんが帰ってこない。それで8月11日に市内にお母さん(健一のおばあさん)とお兄さんを探しに行きました。10歳の時で、丸一日、爆心地をさまよってしまいました。
お兄さんはその日の夜は見つからなかったのですが、翌日に再会できました。お兄さんは原爆の爆発時に鉄工所の厚い鉄板の下にいたので、カスリ傷ひとつおわず、救助活動にあたっていました。
その後、18歳から体調がおかしくなり、結婚どころではありませんでしたが、やがて人に勧められて結婚。1957、8年と健一、純子を産みました。1964年、東京オリンピックのときに大阪に出てきました。夫は1967年に亡くなり、1972年に純子を失っていました。

話を健一のことに戻します。スミ子さんから話を聞いたあと、不安が沸き起こって院長先生にその話をしました。するとすぐに血液検査が行われ、12月28日に白血病の疑い濃厚という検査結果が出ました。
1月8日、三学期の始業式の時に、私とスミ子さんの弟さん(健一の叔父)が呼び出されて話を聞きました。精密検査をしたところ、白血病の中でもとくに予後が悪い単球性白血病だと分かったのだそうです。
放置すればあとひと月の命しかない。しかし医師として最善の治療をしてあげたい。お金のことは心配しないでくれと言われました。

その後、抗がん剤による治療が始まりました。血液も入れ替えました。私は毎日のように学校帰りに見舞いに行きましたが、健一は高熱で目が見えなくなりました。鼻や歯茎からも絶えず出血しました。
それでも1、2月はなんとか危機を乗り越えましたが、3月1日にまた呼び出しがかかりました。
「治療の結果、健一は最高の経過を辿ってきている。これまでの段階では危機を乗り越えてきた。しかしこの先、全快はあり得ない。おそらく中学卒業はできないので、覚悟してくれ」と言われました。
「しかし本人はもちろん、お母さんには仮検査の結果にも強いショックを受けたので知らせない。二人の胸の内にしまって協力して欲しい」と言われ、大変な秘密を背負い続けることになりました。

健一は春休み中もずっと入院していて、3月29日に退院しました。しかし入院の途中から、勉強に行きたいと言い出して、病院から予備校の春休み講座に通っていました。
学校の方も特別のケースとして進級を認定し、4月より2年生になりました。学校は私の疲れも考えて、違う教員を担任にしてくれました。健一は体育の実技だけは出ずに勉学を続けていました。
そんな時に学校の校長に言われました。この校長は広島の出身で被爆者でした。がんとして被爆者手帳をとらないで、自分の力で生きてみるといっていた方でした。
その校長が「平塚さん。峯は治るよ」と言ってくれました。ずっと観察していてそう校長が語ってくれたので、藁にもすがるような思いで奇跡を信じていました。

ところが6月19日。体育を見学していた彼が鼻血を出しました。「卒業は無理だと聞いていたけれども、こんなに早く再発するとは」と暗澹たる思いになりました。
それでも健一は検査の一日だけ休んであとは皆勤を通しました。7月12日、期末考査試験を最後まで受けましたが、無理をしていたのでしょう。
その日の夜中に痛みだして再入院。今回は抗がん剤も効きませんでした。そのまま入院を続け、奇しくも30年目のヒロシマの日、8月6日に亡くなりました。

遡って6月にスミ子さんから電話があり、「一度、話を聞いて欲しい」ということで喫茶店で会いました。母と子の生々しいやりとりの話でした。
たとえばスミ子さんが「もう薬飲んだの?」と聞いたら「お母ちゃん。薬が効くと思ってんの?」という答えが返ってきたそうです。妹のことで察知していたのです。
勉強に打ち込む姿に「無理せんときや」というと「勉強ができんくらいなら死んだほうがましや」と言うのだそうです。

入学した時に、本人の将来の希望を書かせるのです。そのときは「京大の法学部に入って政治家になるんだ」と勇ましいことを言っていました。
ところが春休みに私の家に遊びに来た時は、ちょうど公害が問題になっていたころで「先生、僕は京大の工学部に入って、公害を退治する学者になってやる」と言っていました。
その時は黙って聞いていましたけど、本当に勉強を頑張っていました。

7月末に病院に行ったときに、本人からこう言われました。「先生、本当のことを言うてくれ。純子とまったく同じだ。もうあかんと思う」と。
しかし「本当のことは(病院の)先生に聞いてくれ。先生も知らん」と責任逃れをしました。
その後、彼は家まで自転車で帰って、自分の本を持ってきて、「死んだら棺桶にいれてくれ」と言ったそうです。

健一が亡くなった日は、学校行事で大阪を離れていて、その場には居合わせませんでした。母親にきくと、健一はやつれていながら、下腹部がはれていました。
リハビリのための自転車が病室にあり、その日も汗だくになって一生懸命に動かしていたそうですが、倒れて、抱きかかえられて病室に戻って、そのまま息が絶えたそうです。
あのとき、「よう頑張った」と言うてやれば良かったのに「先生に聞け」だなんて嘘を言ってしまって、未だにこの子の写真を見るたびに辛いです。

もうひとつ話があります。11月11日に学校の創立記念日がありました。その日が健一の100か日の法要でもありました。
長崎からの親せきが来て「いい先生に担任してもらって、健一は幸せでした」と型通りの挨拶をされるのですが、母親は違ったのですね。
「先生にも(病院の)先生にも嘘をつかれた。私には何も知らせてくれなかった」と言われました。・・・そういうことがありました。

*****

峯君の死後、深い落ち込みから立ち上がった平塚さんは、その後に彼のことを書いた英文パンフレット"DEATH OF A HIGH SCHOOL BOY"を製作され、各地の教員研修会で発表されました。
さらに国際会議に招かれて、世界に峯君のことを伝えられました。この日の講演でもそのことが続けて語られていきましたが、ここでは省略させていただきます。
それでもここまで読んで下さった方には、こうした平塚さんの思いが、ある種の必然をもって、アレン・ネルソンさんとの日々につながっていったことをご理解できると思います。

平塚さんはネスソンさんの死後に「アレン・ネルソン平和プロジェクト」を創設され、ネルソンさんの話を編集したDVD『9条を抱きしめて』を製作し、普及活動を行われています。
ぜひ、以下のサイトにアクセスしてください。
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida+Allen_Nelson/

最後に、峯君との日々の痛みを、力強い人類愛へと昇華されて平和のために歩み続けてこられた平塚淳次郎さんに、深い尊敬と感謝を捧げます。


 

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明日に向けて(872)軍隊の肯定は人殺しの肯定!戦争をしないことこそ真の正義!憲法9条を真に実現しよう!

2014年06月16日 23時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140616 23:00)

集団的自衛権行使、そのための解釈改憲に向けて、安倍政権が遮二無二動いています。公明党がどんどん後退し、安倍首相の言う22日までの閣議決定がなされてしまう可能性があります。
この横暴に対して、6月22日に京都の三条大橋の上でピーススタンディングをすることを「ピースウォーク京都」の友人たちと計画しています。

憲法9条に込められた不戦の誓いは、日本が「正義」の名のもとに侵略戦争を行ってしまったことへの反省から出発したものです。
しかしそれだけではない。正義の名の下に軍事力を行使することそのものを否定したのが私たちの国の憲法です。この憲法はまだ100%の力を発揮してはいませんが、私たちの国の軍隊に海外で一人の人殺しもさせずにきました。戦死者も出していません。

これまで人類が行ってきた戦争の大半は「大義」を掲げて行われてきました。どこの国も他国を「侵略」するといって攻め込んだりしません。自衛とか防衛とか自国を守る権利だとかが必ず主張されました。
もちろん世界の国々に自衛や防衛や自国を守る権利はあるでしょう。しかし問題は何が防衛で何が攻撃なのか、常にあいまいになるのが軍事の世界だということです。何せ「攻撃は最大の防御なり」という言葉さえもあります。

このジレンマを解決するにはどうしたら良いのか。単純です。戦争を放棄することです!戦争以外の手段で自国の防衛を果たすこと。各国と信頼を育み、その力でこそ国を守ることです。
憲法9条の精神はそこから出発しています。もちろんそれは日本がかつて正義の名のもとに侵略を行ったことの反省に立つものです。しかしすべての国が正義の名のもとに不正義の戦争を行う可能性があるので、この精神は普遍的な意義を持っています。

例えば今のイラクを見てみましょう。アメリカはイラクが「大量破壊兵器」を持っているからと、核兵器以外のハイテク兵器をふんだんに投入して攻め込み、一般市民をもたくさん殺害したのちに、イラクを占領しました。
その後、アメリカの後ろ盾てで現在のイラク政権が打ち立てられましたが、アメリカの戦争遂行があまりに酷かったので、この一連の過程に対して、イラク国内からも周辺国からもいやアメリカ国内からさえも繰り返し批判が起こりました。

それらの結果、現政権を武装して倒そうとする勢力が台頭し、たった今は「イスラム国」を名乗る人々がイラク北部を軍事的に制圧しています。これに対して政府軍の反撃が始まりましたが、このままイラクが内戦に陥ることが懸念されます。
僕は「イスラム国」の人々がどういう人々なのか知りません。ただはっきりしていることは、この混乱、内戦的事態の責任はアメリカの理不尽なイラク進攻にあったのだということです。

このことを考えたときに言えることは、間違った戦争を防止するためにはアメリカも憲法9条を打ち立て、アメリカ軍を解体した方が良いのだということです。そうすれば誤まった戦争を防圧できます。
これに対してすぐに取りざたされるのは「ヒトラーのような輩がでてきたらどうするのか」ということですが、この問いの立て方には共通のあやまりがあります。

なぜならこの問いを発する人々は、自らがヒトラーになることはありえないという前提に立っているのです。しかしイラクの人々、アフガニスタンの人々の立場から考えてみましょう。
責められるべき何らの咎もないのに、現代の最新兵器をふんだんに使って侵攻したアメリカは、ヒトラーのドイツとどれだけ違うのでしょうか。しかもアメリカはこれらの地域で膨大な劣化ウラン弾を使い、未来永劫続く放射能汚染すらもたらしています。

あるいは現在の私たちの国を見てみましょう。安倍首相は自分の思いを通すためなら平気で嘘をつきとおす人物です。福島原発の深刻な現実を大嘘でごまかして東京オリンピックを招致してしまった。しかもそのことをただしオリンピック開催を白紙に戻せる野党もありません。
さらに麻生副総理にいたっては憲法9条の解体を「ナチスを見習っていつの間にか気がついたら変わっていたという具合にやったらどうか」などと発言しています。そうです。日本こそ、ヒトラーの大嘘政治や暴力礼賛と大して変わらない発想をもった人物が政治の中枢にいるのです。

しかし安倍首相は例えヒトラーの力にあこがれてもヒトラーにはなれない。なぜか。憲法9条があるからです。ヒトラーとてもともと「正義」の戦争が全面的に肯定されているヨーロッパで「強い正義」を語って登場してきたのであって、ドイツに憲法9条があれば登場などできなかったのです。
だから今、安倍首相は憲法9条を解体したがっています。それも麻生副総理が言うようにできるだけ論議にならない形でです。この点はとても重要なポイントです。

さらに憲法9条はもっと奥の深い思想と人類史的な可能性を秘めています。憲法9条は、「正義」の名のもとに、あまやった戦争が行使されるのを防止しているだけではありません。
例えそれが実際に正義であったとしても、軍事に頼ることはやめよう、紛争を戦争で解決するものは止めようと呼びかけているのが憲法9条の発想なのです。正義であろうとも戦争などしたくない。いや戦争などしない。それが憲法9条の精神です。

軍隊の肯定はどこまでいっても人殺しの肯定なのです。いま世界では、自分が殺されそうだったら、相手を殺すのはやむを得ないというのが常識です。正当防衛の権利と言われています。その権利の行使も止めよう。人殺しの権利を放棄しようというのが憲法9条です。
そこにあるのは不殺(ころさず)の心です。紛争が起こった時に軍事で自らを守り、相手を殺すのではなく、紛争が起こらないことをこそ第一義にめざす。そのために英知を尽くす。互恵的な発展の道を探る。それが戦争放棄の道です。

「そんなことは理想だ」と言う人に言いたい。戦後70年のこの国の人々の努力に目を見開いてくださいと。理想どころか、現に私たちの国はそう歩んできたのです。世界の誰とも戦争しないで来たのです。自衛隊はまだ他国の人を一人も殺してないのです。
そのために先人がどれだけ努力を払ってきたでしょうか。その恩恵を私たちは有形無形ですでに享受しているのです。その現実を見据える眼を持たずに、どうしてこれからの未来を展望できるのでしょうか。

私たちの国はさらに一歩進めて自衛隊を全面的に災害救助隊に変えていくとよい。なぜって実際の出動はその大半が災害救助なのですから。そのとき戦車などいるでしょうか。もっとたくさんの災害対策車を持てば良いに決まっている。
ただでさえ世界は気候変動による自然災害にあえいでいるのです。だとすれば自衛隊を救助隊に再編して積極的に世界の災害地に派遣すればどれほど喜ばれるでしょうか。そうすればいったいどこの国が私たちの国を侵略してくるのでしょうか。いったい誰がそれを許すでしょうか。

また私たちの国の内側をみても、それこそ東日本大震災をはじめ、自然災害の猛威に襲われ続けているのです。今後、南海トラフ地震や関東大震災もかなりの確率で起こることを政府自身が予想しています。これに国家の総力をあげて備えることこそが「国防」であるに決まっているではありませんか。
他国との争いは外交によって避けることが可能です。しかし地震の発生は人為的に避けることができないのです。だから徹底して備えることこそが私たちの未来をもっともよく守る道です。

しかもその備えをふんだんに行えば、常に他国の災害への対処もできるようになります。世界を見たわせば、自然災害はほとんどいつもどこかで起きているのです。そこに隊員を派遣しする。当該国に感謝されなおかつ技術的蓄積を積み、員の実地的訓練にもなる。いうことなしです。
まだまだ効能はあります。世界史にとって日本がまったくユニークな国になるということです。歴史上いまだかつて他国をどんどん助けた実績のある国など存在しません。だとしたら日本は新たな歴史を切り開くことにもなります。真に住民が誇れる国が生まれます。

憲法9条にはそうした大きな可能性が秘められている。なのにどうして今、せっかくのお宝を自ら捨て去り、遅れた国々・・・まだまだ人類史の野蛮な段階にどっぷりと使っているアメリカなどの後をついていかなければならないのでしょうか。
みなさん。今、私たちは平和を積極的に創造すべき歴史的地点に立っています。人類史が続くのなら、必ずどこかで経なければならない転換点は、戦争と暴力という野蛮な手法が支配した段階から、相互理解に包まれた人類愛の輝く段階への飛躍です。

未来を見据えて、憲法を守り、真に実現し、積極的に平和を想像し、新たな人類史を切り開くために立ちあがりましょう!
各地で大きな声を上げましょう!

最後に京都での行動をご紹介しておきます。
6月22日午後4時から三条大橋東詰に集まって、ピーススタンディングを行います!5月18日を引き継いだものです。
お近くの方、ぜひご参加下さい。

なお5月18日の様子の写真のページと、6月22日の案内を貼り付けておきます。

*****

5月18日のピーススタンディングの写真。
僕がFACEBOOKにアップした写真がピースウォーク京都のホームページから見れます。
http://blog.pwkyoto.com/?eid=21

*****

6月22日のピーススタンディングの呼びかけです!

戦争する国になりたくない!
解釈で憲法を変えるな!
スタンディングアピール

●6月22日(日)16~17時30分 
★三条大橋東詰集合!
※小雨決行 
※自分のメッセージをプラカードにして訴えましょう。

◆ピースウォーク京都 
連絡先:09037043640

『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすること』
これは、日本国憲法をどうして作るのかを説明する憲法前文にある言葉です。
かつて政府の行為によって戦争が起こったのです。
戦争は政府の行為によって起こるのです。
あれよあれよと、いつの間にか抵抗するすべもなく、
殺したり殺されたりしたのです。
だから、憲法で政府が勝手に戦争しないようにしているのです。

戦争って何だと思いますか?戦争ってどうやったらできますか?
戦争は国家間の(武力による)争いです。
国家間で宣戦布告したり、一方的に侵略したりします。
けれど、もっと戦争に必要なことがあります。
『戦争できるようにすること』です。
今、あろうことか、首相が言ってるアレのことです。
憲法の解釈を変えるというのです、武器がなければ戦争ができませんから…

少しずつ少しずつ、この国は武器を持てる国に近づいてきました。
自衛隊が組織され、PKOだ、有事法制だ、集団的自衛権だと言って。
わたしたちの礎であり砦にもなる日本国憲法が、内側から壊されてしまえば、
立派な核兵器をいくらでも作れるような軍隊を持つ国になれるのでしょう。
きっと周りの国から見れば、恐ろしい国になるでしょう。

武器、いや、兵器や軍隊がどれほどのお金を食い尽くすものか知っていますか。
けれど、その武器で守れるものはありません。壊すこと、殺すことはできでも。

そもそもこの国には戦争するほどの余裕はない。
自給率もない、お金もない、兵士もいない。
これからは、より福祉国家にならなければいけないのに、
武器で何を守るというのか?
世界の公正と信義に信頼してしか、今ある原発を守ることなんかできない。
戦争になったら瀕死の福島原発なんてとても守れない。

憲法あってのこの国です。
憲法が守っているのは、この国に住む人と、世界に住む人の幸福です。
首相あってのこの国、ではないのです(それではアベコベです (*`∧´)。
憲法に従わないなら、首相に守れるものはありません。
何故なら、彼は今、この国の「理」自体を破ろうとしているから。

今も世界中で争いが起こって血が流れている。
正視に堪えない出来事が起こっている。
一体、血を流して倒れているのは誰なのか?
友達、こども、おじいちゃん、おばあちゃん、母親かそれとも父親か、
一体、次は誰の?
まだ、止めないのか?まだ必要なのか?

わたしたちに必要なのは、安全な食べもの、安心な街、話し合いや国際協力、
あらゆる災害に対する対応力のはずです。
わたしたちに必要なのは、
福島原発事故を真に収束させるための努力であるはずです。

わたしたちは、この国を
こどもたちが住むにふさわしい場所にしていかなければいけない。
わたしたちは、互いに大事にしあわないといけない。

今こそ必要なのは、かつては言えなかった「戦争はしたくない」という声だ。


わたしたちの暮らしているこの国は、
大災害と原発事故で多くの命が失われました。
人間の命だけではありません。
生き物たちすべての命、今生まれようとする命、
これから生まれる未来の子どもたち。
わたしたちを包んでいる空気、土、山や海。
たいせつな、かけがえのないものたちすべてが、悲鳴を上げています。

原発も、米軍基地も、もうやめよう。お金は命のために使うのです。
傷ついたものとともに、もういちどやりなおしましょう。
生きていくための歩みを、私のことば、私の足で始めましょう。
戦争する国は、奪います。わたしたち、すべての生き物の命を。
未来をもう一度とりもどすために、ひとりの歩みから。
黙ってはいない、手をつなぎましょう。


●日本国憲法 前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、
われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、
わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、
その権威は国民に由来し、
その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、
人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、
圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる
国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、
平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、
自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、
政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、
自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、
全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

●第9条 
1.    日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。

◆★◆
憲法の前文と9条が戦争の放棄、軍隊の放棄を決意しているのは、消極的な決意ではありません。
紛争になったり、問題が起きたりしても、話し合いで解決をするという積極的な決意です。

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明日に向けて(871)憲法9条はいかなる国のいかなる軍隊より強い!(アレン・ネルソン談)

2014年06月14日 15時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140614 15:00)

昨年より、僕は「京都被爆二世三世の会」に参加させていただいています。毎月、例会があるのですが、今月は平塚淳次郎さんが参加され、講演してくださいました。このことを報告したいと思います。

平塚さんは、1975年8月6日に白血病で亡くなられた被爆二世・峯健一君の安倍野高校時代の担任の先生をされた方です。
英語科だった関係から、峯君の死後に彼のことを書いた英文パンフレット"DEATH OF A HIGH SCHOOL BOY"を製作され、各地の教員研修会で発表、さらに国際会議に招かれて、世界に峯君のことを伝えられました。
原爆とは何かをあらためて捉え、かつ被曝の次世代への影響を考える上でとても貴重なお話でした。

平塚さんは峯君と過ごした日々の体験を心に刻みつつ、教師として平和運動を担ってこられましたが、さらに1996年に元米軍兵士だったアレン・ネルソンさんが日本を訪れ、戦争体験を話してくださるようになって以降、何度も通訳として同行されました。
アレン・ネルソンさんは1947年ニューヨーク州ブルックリンで生まれ、貧困生活から逃れようと18歳で海兵隊に入隊。ベトナムに派遣されて過酷な戦場を生き延びらた方です。
自らたくさんの殺人を犯してしまったネルソンさんは、除隊後に後遺症に苦しめられ、家族から同居できないと言い渡されてホームレスを経験し、自殺未遂も繰り返しましたが、ある医師との出会いから回復されました。
その後、本当の戦争(real war)とは何かを伝えるのが自分の役目だと考えはじめ、米兵による少女レイプ事件あった直後の1996年に沖縄に30年ぶりに訪問され、語り部としての活動を始められました。

ネルソンさんは1996年から13年間のあいだに日本中をかけめぐり1200回もの講演を重ねられましたが、2009年3月26日に米軍が撒いた枯葉剤の影響によって発症したと思われる多発性骨髄腫で亡くなられてしまいました。
平塚さんは、ネルソンさんの平和への思いをさらに伝えたいと「アレン・ネルソン平和プロジェクト」を結成。昨年、ネルソンさんの語りを中心に編集したDVD『9条を抱きしめて』を製作され、普及活動をされています。
この日も、峯君との日々のお話に続いて、ネルソンさんと行動を共にした日々について語られ、『9条を抱きしめて』のダイジェストを見せてくださいました。

非常に感動し、共感しました。

二つのお話共に重要なのですが、今回は先にネルソンさんのことについて触れたいと思います。なぜかと言えば、前回の「明日に向けて(870)」でも書いた憲法9条の意義、精神を、ネルソンさんが力強く語ってくれていたからです。
アメリカの正義を信じ、ベトナムに派遣されて実際にたくさんの殺人を経験してきた元アメリカ軍兵士のネルソンさんが、自己回復の長く苦しい時を経てから語られていることだけに、深い実感がこもっており、胸を打ちます。
『9条を抱きしめて』の最後の方に出てくる、ネルソンさんの集会での講演の発言シーンから少し言葉を拾わせていただこうと思います。2か所から引用します。ぜひお読み下さい。

***

アレン・ネルソン

1996年に来日した時、ある人が日本国憲法の英文冊子をくれました。ホテルで第9条を読んだとき、立ち上がるほどのショックを受けました。信じられませんでした。
キング牧師の有名な演説「私には夢がある」のように力強い衝撃を与えました。
これこそ人類の未来、これこそ人類が持たなければならないもの、そうしなければ人類は滅亡してしまうだろうと思ったのです。
そして憲法9条を読んで気づいたことはこれは国の法律というだけではなく、私たちの生きるべき道を示しているということです。


日本国憲法第9条はいかなる核兵器よりも強力であり、いかなる国のいかなる軍隊より強力なのです。
日本各地で多くの学校を訪れますが、子どもたちの顔にとても素晴らしく美しくかけがえのないものが私には見えます。子どもたちの表情から戦争を知らないことがわかるのです。それこそ第九条の持つ力です。
日本のみなさんは憲法に9条があることの幸せに気づくべきだと思います。

ほとんどの国の子どもたちが戦争を知っています。アメリカの私の子どもたちは戦争を知っています。イギリス、イタリア、フランス、オーストラリア、中国、韓国の子どもたち、みんな戦争を知っています。
しかしここ日本では戦争を知りません。憲法第9条が戦争の悲惨さ、恐怖や苦しみからみなさんを救ってきたからです。

ご存知のように多くの政治家が憲法から第九条を消し去ろうと躍起になっています。断じてそれを許してはなりません。
みなさんとみなさんの子どもたちはこれまで憲法第9条に守られてきました。今度はみなさんが第9条を守るために立ち上がり、声をあげなくてはなりません。
第9条は日本人にのみ大切なのではありません。地球に住むすべての人間にとって大切なものなのです。アメリカにも9条があって欲しい。地球上のすべての国に9条があって欲しい。

世界平和はアメリカから始まるのではありません。国連から始まるのでもありません。ヨーロッパから始まるものでもありません。
世界平和はここからこの部屋からわたしたち一人一人から始まるのです。

***

素晴らしい!これが本当の戦争=real warを体験してきた元兵士の実感です。ネルソンさんは殺し合いの苦しみを通り抜けてきたからこそみえたものを、懸命になって私たちに伝えてくれました。何よりそれをみなさんと受け止めたいです。
私たちが「天国にいるものはそこが天国だとは気づかない」という名句を思い出す必要があると思います。ネルソンさんは地獄を体験された。だからこの言葉が出てきた。同時に私たちの国も第二次世界大戦という地獄を経験しました。その経験が9条を紡ぎ出し、今日まで伝えてきたのです。
そうです。まさに私たちの国は、第二次世界大戦以降、未だに兵士が一度も他国の人々を殺したことがない。子どもたちも戦争を知らない。だからこそ平和なのです。
アメリカはどうでしょうか。銃犯罪は日常茶飯事です。その上、前途を悲観した若者による学校での銃乱射による無差別殺人などが繰り返し起こっています。だからネルソンさんは言いました。「アメリカにも9条があって欲しい!」と。

さらに世界の混乱、ウクライナでの対立や、今まさに戦闘が激化しているイラクのことなどを考えるとき、私たちは「正義のための戦争」という野蛮をもう本当に超えるべきときに来ていることを自覚するべきだと思います。
軍隊がなければ信頼関係の醸成にしか安全を守る方法はない。そのためには相互理解が不可欠です。正義と正義を振りかざしあって、互いを罵り合って、衝突するのではなくて、相手の正義を理解する、その上で譲歩しあう、譲歩しあって妥結点を目指す。そのために信頼関係を重ねていく。
軍隊がなければその道しか選ぶことはできないし、事実日本は戦後の長い間、そうした道を辿ってきたわけですが、その道にこそ互いが和解し、互恵的に発展していく展望があるのです。
軍事力で一時的に勝ってもさまざまな歪みが残っていくだけで、必ず自国内部にも歪みをもたらします。力がすべてだという暴力的な発想が支配的になり、社会から相互理解を深めようとする人間的な力が失われていくからです。

そのために私たちが今、放棄しなければならないのは、自衛も含めて、軍事で物事の解決を図ろうとする発想です。自衛と言えども戦争は悪であり歪みをもたらすのです。
なぜか。ひとたび戦争を経験しそれを肯定してしまうと、問題の解決を、説得やものごとの真偽を確かめることによってではなく、武力によって決しようとする発想がはびこってしまうからです。
しかしそんな発想を持ち続けていたら、武器や軍隊の性能が信じられないぐらいに発達し、劣化ウラン弾をはじめ人間にも環境にも絶望的な破壊力を持ったものが増えるばかりの現代では、破局的な被害が広がるばかりです。ネルソンさんの言うようにまさにこのままでは人類は滅んでしまう。
自衛戦争、革命戦争・・・それやこれや「正義の戦争」という発想そのものを私たちは越えられなければならない。それは人類史における思想的な大転換です。だから私たちは今、もう一度、憲法9条を選び直していくことが問われているのです。

何度も言います。私たちは自衛隊が憲法9条違反であることをもう一度はっきりと認識すべきです。私たちの国は、すべての軍事力を否定した国です。人との信頼関係の醸成にすべてをかけると宣言した国なのです。憲法にはそうはっきりと書いてあるのです。そしてそれこそがネルソンさんが伝えてくれたように人類の希望なのです。
正義であろうとも戦争は止めましょう。正義を説得と、信頼と、愛で実現する道を選びましょう。その方途を見つけ、その能力を開発しましょう。
そのことで私たちはいかなる国のいかなる軍隊よりも強い思想、精神、魂を持ちましょう。憲法9条にもっと力を!


***

以下、「アレン・ネルソン平和プロジェクト2013」のブログをご紹介しておきます。
DVD『9条を抱きしめて』のPR版も載っています。
購入先もここから分かります。1000円+送料です。ぜひ全編(50分)をご覧になって欲しいです。
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida+Allen_Nelson/

最後に、貴重なお話をお聞かせくださった平塚淳次郎さんにもう一度、感謝を捧げます。

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明日に向けて(870)そもそも自衛隊が憲法違反!集団的自衛権など論外!今こそ憲法九条の真の実現を!

2014年06月13日 14時14分44秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140613 14:00)

集団的自衛権行使に向けた憲法解釈が閣議決定で強行されようとしています。公明党が安倍首相の強硬姿勢に押しつぶされようとしています。

そうまでして集団的自衛権なるものを行使して、アメリカ軍と自衛隊が戦場で行動を共にするとどういうことが起こるでしょうか。
「国民を守る」どころか、私たちの国が戦後に営々と築き上げてきた平和国家としての信頼を私たちは自ら捨てさってしまうことになります。理不尽な暴力を振るってきた米軍の味方として世界中で嫌われるようになる。そのことで日本に住まう民衆も危険に晒されるようになります。
集団的自衛権の行使はあまりの愚行です。福島原発の現にある危機から住民を守る気概などまったく持ち合わせず、事故を直視できなばかりか大嘘をついてオリンピックまで招いてしまった安倍首相のもとで進められるのですから、最悪のコースを進むのは明らかです。何としても止める必要があります。

ただしここでぜひとも強調したいのは、集団的自衛権だけでなく、そもそも「自衛権」なるものの軍事力による行使そのものが、明らかなる憲法違反であることです。集団的自衛権など論外なのです。
集団的自衛権の行使への踏み込みがなされようとしている今、むしろ私たちはこの大本に戻らなくてはいけない。憲法はすでに踏みにじられてきているのです。このことに「覚醒」し、今こそ、憲法の真の精神にこの国が立ち戻ることを訴えて行動すべきです。

憲法の重要箇所を読んでみましょう。日本の国の憲法には前文でこう記されています。

「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

一点だけのぞいて素晴らしい名文だと思います。一点とは主語が「日本国民」になっていること。もともと英文で作られた原案は「日本人民」になっていました。基本的人権条項にも、国籍を問わずに人権が保障されると書かれていたのでした。
僕はここは改正する必要があると思っていますが、それ以降の精神は実に素晴らしい。
「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
そうなのです。私たちの国は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」戦後の歩みを進めてきたのです。

その際、私たちの国の世界に対する接し方を格調高く示したものこそ憲法九条です。これも読みましょう。

「1  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない!国の交戦権は、これを認めない」・・・まったくもって素晴らしい!これが憲法に書かれている文言です。
したがって自衛隊は存在そのものが憲法違反なのです。なぜって当たり前ではないですか。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記されているのですから。軍隊を持たないと明言しているのですから。
自民党は長年「いやそんなことはない。憲法は自衛権を否定していない」と言ってきた。確かに人にも国にも自衛する権利はあります。しかし日本はそのために軍隊を持つことを憲法で禁じた国なのです。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」「われらの安全と生存を保持しようと決意した」のだからです。
「自衛」を信頼の醸成によってこそ達成させる。そのために「諸国民の公正と信義に信頼」する。どう読んだってここにはそう明確に書いてある。これほど読み変え不可能な文章はありません。

実はこのように、憲法の精神が「いかなる軍隊をも持たないことであること」を、戦後直後に政府自身が明確に宣言しているのです。それも子どもたちにあてた「新しい憲法のはなし」という冊子の中でです。編纂したのは当時の文部省です。これも読んでみましょう。

「こんどの憲法では、日本の國が、けっして二度と戰爭をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戰爭をするためのものは、いっさいもたないということです。
これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戰力の放棄といいます。『放棄』とは『すててしまう』ということです。
しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。」

素晴らしい!全くその通り。「日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。」・・・。
このことが学校で一生懸命に教えられたのです。教えたのは、かつて教え子たちを悲惨な戦争に次々と送り出していった教員たちです。
戦後に結成された日本教員組合は「二度と戦場に教え子をおくらまじ」を合言葉にした。戦前に国のために犠牲になることを教え込み、戦争推進の柱となってしまった学校教育の場が、深い反省の中から、平和を紡ぎ出す場に変えられ、平和の心を育てる教育が連綿と続けられてきたのです。

このもとで育っていった私たちの国の民は、実際にその後に憲法九条の精神を世界各地で実現していきました。軍隊などなくとも、いやないからこそ、世界の人々と積極的に信頼関係を結ぼうとし、その中で貴重なたくさんの資源を世界の国々から売ってもらうことができた。そうして私たちの国は加工貿易立国として復興し、発展したのでした。
この戦後の発展の中で、一度でも自衛隊を必要としたことがあったでしょうか。そもそもかつて自衛隊は海外になどいけなかった。だから人々は軍隊なしで身を守ったのでした。信頼関係を大事にすることを通じてです。相手に嫌われないこと、好かれること、仲良くなること。そのことで互恵的な発展の道を作り出し、自らの安全も確保したのです。
もちろん、憲法の精神に反していることもたくさんありました。朝鮮戦争にもベトナム戦争にもアメリカ軍に基地を貸して加担し経済的にずいぶん儲けたことです。しかしこのとき私たちの国の中でも若者を中心にたくさんデモが起こりました。アメリカの戦争に多くの人々が反対し続けました。

だから自衛隊は成立しても、軍隊としての自由な活動ができなかったのです。明らかな憲法違反として存在しているこの軍隊を、私たちの国の民は解体することはできなかったけれども、しかし一度も自分たちを「敵」から守るために使ったことなどなかった。自衛隊を使う必要などない名誉ある地位を確立してきたのです。
私たちは今、この大本に変えるべきなのです。最も大事なのは「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」することです。まずはこちらから信頼を投げることです。そのために相手について学ぶ、理解する、心情をくみ取る。そうした思いやり、洞察力、人間的な愛の力こそが、軍隊を持たない民に必要になるものなのです。
僕はそれこそが21世紀に人類が全体として歩んでいくべき方向性だと確信しています。たとえ相手が悪でこちらが正義であろうと軍事を使った解決を拒否する。軍事を使わずに解決する道をこそ模索し続ける。そうでなければ人類はいつまでたっても互いに正義を掲げて殺しあうばかりです。

こう書くと「そんな考えは甘い。世界には悪い奴らがいるのだ」と言われる方がいるかもしれません。何をおっしゃるやら。僕は「まずあなたがその世界への一方的な不信を解くべきではないですか」と言いたいです。
同時にこうした論理を使う時、発話者は自分を前提的に正義の側におきがちです。でも待ってください。確かに世界に「悪い奴」はいると思います。どんな輩でしょうか。まず自分の主張を通すためには平気で人を殺す。しかも女性も子どもも見境なく殺す。間違えて殺したって謝らない。その上、殺すための兵器をたくさん作って、試してばかりいる。
この定義に一番ぴったり当てはまる国は実はアメリカです。だって実際に戦後世界で一番たくさんの人々を殺してきたのだからです。しかしアメリカ国民が悪人ばかりなのかといえばそれはまったく違う。むしろ大半は誠実で心優しい人々だと僕は確信しています。
そしてそれは世界のどこでも言えることではないでしょうか。どこの国、どこの民族、地域にもごく少数の本当に悪い人々と、大多数の誠実で心優しいけれども、時に戦闘に巻き込まれ、あるいは担ってもしまう人々がいる。そうして戦闘では、本当の悪漢たちは表に出てこずに、主要には貧しい若者たちが戦場に駆り出されてくるのです。

そんな構造の中で、これ以上、正義を掲げあって軍事的に対立して何が生まれるのでしょうか。何も生まれはしない。正義と正義の衝突による戦闘が繰り返され、人々の悲しみは続き、ただ武器商人だけが繁盛し続けるのです。
まったくもって愚かなスパイラルです。そろそろ私たち人類は、こんな野蛮な状態を脱しても良いのではないでしょうか。そろそろ私たちは、対立と殺戮を繰り返してきた人類の前史を閉じ、全世界で歴史的な和解を進め、恒久平和、軍隊のいらない世の中を目指しても良いのではないでしょうか。
そのためにも大事なのは、軍事に変えて、信頼、そして友愛を、最も強い「武器」とする新しい国を登場させることです。その意味で私たちは今こそ、憲法九条を本当に実現すべき時なのです。

軍隊を持たなければこそ、私たちは世界に大きな声で「争いを止めましょう。殺し合いを止めましょう。相互理解を深めましょう」と言うことができる。争いの中に入って仲介をすることもできる。
まだ自衛隊が1人の海外の人をも殺してないからこそ、ぎりぎりそれを行う可能性が私たちの国は持っています。
そうすると私たちは世界中から「甘いやつらだ。世界は悪者でみちているのだ」と言われるかの知れない。でも私たちは「正しいことを、ほかの国の人々よりさきに行うのだ。世の中に、正しいことぐらい強く、素晴らしいものはないのだ」と自問自答しながら歩めば良いのではないのではないでしょうか。
そしてまた、人類から争いを無くすことができると信じ、実際に軍隊を捨てて歩む国々が増えていくことが、人類の明日への希望たりえるのではないでしょうか。

みなさん。今こそ憲法九条の精神を本当に発揮する「九条革命」に向かって歩んでいきましょう!

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