明日に向けて

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明日に向けて(883)これ以上アメリカの理不尽な戦争に協力してはならない!(集団的自衛権の意味するもの)

2014年07月04日 16時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140704 16:00)

今回もまた安倍首相による憲法9条解体、戦争推進政策と対決するための記事を書きます。
前回は、集団的自衛権行使容認の閣議決定後の記者会見にあわられた安倍氏の対話不能の精神構造の分析を行いました。
安部氏が事実関係を無視しているだけでなく、そもそも正視することができない精神構造にあることも明らかにできたと思います。

実際、安倍氏の言っていることと現実がまったく違うことが、他ならぬアメリカからの発言で明らかになっています。
安倍氏は「今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく。日本が再び戦争をする国になるというようなことは断じてあり得ない」と言い放ちましたが、アメリカはより重い軍事負担を日本に担わせることができると喜んでいるのです。

こうしたアメリカの発言を前に、僕は「戦争に巻き込まれるのは嫌だ」という言い方よりも、「これ以上、アメリカの戦争に協力するのはごめんだ」と言う主張を私たちが選ぶべきだと思います。
アメリカの戦争に、実はこれまでも日本が徐々に巻き込まれてきたことをしっかりと自覚し、真の平和を取り戻すために行動することが問われていると思うからです。
こうした点を深めるためにまずアメリカの言っていることを紹介したいと思いますが、安倍政権一連の戦争政策を強烈に支持する報道を続けている読売新聞の記事から参照したいと思います。

***

米、閣議決定を高く評価「地域の平和に貢献」
読売新聞 2014年07月01日 23時36分
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140701-OYT1T50142.html

【ワシントン=今井隆】今回の閣議決定を、米政府は高く評価している

国防総省当局者は1日、「米国は集団的自衛権に関する日本政府の新政策を歓迎する。この歴史的な取り組みは、日米同盟における日本の役割を高め、安保協力を強化し、地域の平和と安定に貢献する」とする談話を発表した。
米政府内には、憲法の禁じる「武力行使との一体化」の判断基準を、戦闘現場での行為などに限定したことについて、「日米の作戦検討の幅が広がる」(米軍関係者)などと期待する声が上がっている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は6月30日、「日本はこれまでより重い軍事的負担を受け入れることになる」と報じた。
アジア太平洋地域の安全保障を維持する責任を、日本に一部肩代わりしてもらうことへの期待感もある。
「法案化作業の過程で、閣議決定の内容よりも協力の幅が限定される可能性もある」(カーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員)との指摘もあり、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しを通じ、米政府が日本に一層の役割を求める可能性もある。

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ここにあるように、集団的自衛権容認を、アメリカでは「日米の作戦検討の幅が広がる」こと。また日本が「これまでより重い軍事的負担を受け入れることになる」と報道されているのです。これがアメリカ側の受け取りです。
「作戦検討の幅が広がる」・・・重要なポイントです。なんの作戦でしょうか。単純明快です。アメリカの戦争作戦です。つまりすでにこれまでの段階でも日本はアメリカの戦争に参加しているのであり、今回の決定はその幅を大きく広げることに他ならないのです。
にもかかわらず安倍首相は「今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく。日本が再び戦争をする国になるというようなことは断じてあり得ない」と言い放ちましたが、これもまたまったくの大嘘です。
アメリカ側は「日本はこれまでより重い軍事的負担を受け入れることになる」とも期待しています。どう考えたって、アメリカの戦争政策の一部をより日本に肩代わりさせることが狙われていることは明らかです。

ではそのアメリカが行ってきた戦争とはどのようなものでしょうか。たくさんありますが、今その傷跡がひどい形で表れているのがイラク戦争です。
これまでも繰り返し指摘してきたように、アメリカは「大量破壊兵器を隠し持っている」とのいいがかりでイラクに全面的に侵攻しました。しかも途中で大量破壊兵器などないことが分かると、侵攻目的をフセイン政権打倒に変え、全土を占領してしまいました。フセインは逮捕され、やがて現政権に処刑されました。
その過程でものすごくたくさんのイラクの市民が戦争に巻き込まれて死んでいきました。国内の秩序もめちゃくちゃになってしまいました。あまりにもアメリカ軍の侵攻が不正義だったがゆえに抵抗感は強く、アメリカがバックアップする現政権に対する抵抗も後を絶ちませんでした。
このイラク戦争を日本は全面的に支持し、アメリカ軍の全土占領に自衛隊を出して貢献したのです。直接的戦闘に参加しなかっただけでイラク戦争の一部に自衛隊が参加したことを私たちはしっかりと頭に入れておく必要があります。

イラクはその後どうなったのでしょうか。「国連イラク支援団」は7月1日に、この間の戦闘で、6月にイラク国内で2417人の死者が出たと発表しています。負傷者は2287人。死者数は前の月の3倍で、内戦的事態が激しかったイラク戦争後の2007年の状態に戻りつつあると言われています。
しかもこの死者数には、北方から西方に展開している武装勢力の支配下にあるアンバル州が含まれていません。ここには政府軍が空襲を繰り返しており、もっとたくさんの死者が出ていることが確実です。
死者の内訳をみるとさらに酷い実態が見えてきます。2417人の死者のうち1531人が民間人だからです。兵士たち同士による戦闘での殺し合いよりも、戦闘に巻き込まれた市民の死亡の方が圧倒的に多いのです。
間違いなく両軍ともに市民を殺害しています。抵抗している側も、現政府軍側もです。まったくもってひどい事態です。それがアメリカが起こし、日本が支援したイラク進攻によって生み出された現実です。

アメリカよりの日本の国内報道では、この戦闘がイスラム教スンニ派とシーア派の対立から起こされているように描かれていますが、まったくの間違いです。こういう状態を作り出した最大の責任者は「大量破壊兵器を隠し持っている」といういいがかりで侵攻したアメリカ軍です。
現政権はそのアメリカ軍の全面的バックアップを受けてきたがゆえに、多くのイラクの人々から不信と恨みと怒りを買い続けているのです。
一方ではイラク戦争で「力があれば勝ちだ。戦闘に勝利したら文句を言わせない」という暴力思想をイラクにアメリカが植えつけたがゆえに、暴力にものを言わせて勢力を拡大しようとするグループの台頭も繰り返されることにもなっています。
そうしてアメリカは混迷の中にあるイラクを「コントロール」できなくなっています。不正義に満ちた戦争を繰り返し、秩序を破壊しきってしまったが故です。アメリカは疲弊して兵力を割けなくなっている。アメリカ国内の戦争反対の声も強い。だからこそアメリカは戦争の「肩代わり」を強烈に求めています。

こうした紛争地で求められるのは、和解と相互理解の精神、それを体現できる第三者の存在です。紛争が続くのはとちらもが正義を掲げているから。またその正義に乗っかる形で、武力こそが正義を実現する要だとする人々が幅を利かせているからです。
こうしたところに和平のために介入できるのは、アメリカと距離を置いた第三者だけです。本当に中東の和平を考えるのならば、アメリカの友好国である日本がアメリカを戒め、こうした和平勢力の登場を促すか、自らが担うことこそが必要です。
ところが集団的自衛権行使で、世界からは「日本軍」としか見られていない自衛隊がアメリカ軍とより露骨に共同作戦を行使してしまえば、日本は和平を取り持つ位置などもはや全く持てなくなります。
日本が今なすべきことは、イラク戦争後のアメリカ占領政策への自衛隊の協力を世界に向かって謝罪し、アメリカの非をただし、中東での平和の再構築に協力することです。

このことは日本の私たち自身のためにもなります。私たちの国が高い平和の精神とモラルを示すことで、私たちの国への信頼感が高まるからです。正義と公正と平和を凛々しく掲げるものほど強いものはない。この精神でこそ私たちは歩むべきです。
もちろん、他者の言うことがまったく耳に入らず、イラクの人々の苦しみなどまったく受け止めようとしない安倍首相がこの道を選ぶはずがありません。
だとしたら私たち民衆の側からこのような声を起こしましょう。私たちの国が戦争に巻き込まれるのは嫌だでは弱い。すでに巻き込まれてきたことをこそ自覚し、アメリカの戦争政策への一切の協力を止めることに私たちは力を尽くしていく必要がります。
そのためも私たちは、イラクの人々の痛み、苦しみ、悲しみにもっともっと強く心を寄せていきましょう。日本がアメリカの戦争に加担したことを心の底から反省し、イラクの、中東の、世界の平和を願って行動しましょう。

それこそが私たちが私たち自身をも守る道でもあります。憲法に書いてあるのはそういうことだと僕は思います。
だからこそ今、私たちは憲法の精神、9条の平和精神をもっと輝かせる必要がある。
その努力を重ねながら、国際紛争の解決の手段から戦争と暴力を排除していくこと、陸海空軍およびそのほかの戦力の保持を放棄していくことこそ、これこそが人類全体の向かうべき道であることを私たちはアピールしていきましょう。
世界平和は、この理想が現実に近づきだした時に、切り開かれていくのだと僕は確信しています。そのとき人類は、戦争に明け暮れた前史を終え、新たな歴史を紡ぎ出していくのです。

 

 

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