明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(905)本日、トルコ・シノップに向けて出国します !

2014年07月29日 21時30分00秒 | 明日に向けて(901)~(1000)

守田です。(20140729 21:30)

関西空港からです。

本日(29日)トルコに向けて出国します。いったんイスタンブールに落ち着いてから、サムソン空港を経て再びシノップを目指します。シノップのゲルゼ町が今回の訪問地です。 ここで8月3日午後6時から行われる国際パネルフォーラムに参加し、講演します。前回、イズミルでご一緒したハイレッチン・キリックさんとまたご一緒です。コーディネータをプナールさんが務めてくれます。

コメンテーターとしてアルパー・オクテムさんも参加されます。ドイツ在住のトルコ人医師で、前回の僕のトルコ訪問をプロモートしてくださった方です。お連れ合いのアンゲリカ・クラウセンさんは、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部で活躍しています。 また東京のNPOのFoEJAPANの吉田明子さんも参加され、発言されます。トルコの方たちと熱い夜を共にすることなりそうです。

FACEBOOKに集会案内をステッカーを載せたのでご覧下さい。 https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10203249200409130&set=a.3300903639751.2140616.1182740570&type=1&theater

今回の訪問はゲルゼ町からの招待によるものです。日本からトルコの往復航空運賃は僕が負担し、トルコ内の交通費・宿泊費はゲルゼ町が持ってくださることになりました。ありがたいです。 ゲルゼ町には2日、3日と訪問しますが、翌日、4日には再びシノップの中心街に行き、前回ご一緒したメチンさん、ハレさんなどと予定地に再び連れて行っていただきます。

予定地といってもまだ建設が進んでない今は、トルコの中の美しいリゾート地で、海遊びのできる場です。国内からの避暑目的で多くの観光客が訪れています。 その元気なシノップの姿を取材し、カメラに収め、人々の声と共に持ち帰るつもりです。

 

すでにお伝えしてきたことですが、安倍政権は昨年5月、トルコに赴き、独裁的なエルドアン首相との間の「トップセールス」で日本からの原発輸出を約束してしまいましたしかし私たちの国はまだ福島原発事故すら収束させることができていません。事故の原因すらはっきりと特定できていません。それどころかメルトダウンした各炉の中は放射線値が高すぎてどうなっているかもわからない状態です。それでどうして日本の原発を輸出することが許されるのでしょうか。

しかもトルコは日本と同じく有名な地震大国です。1999年にもイスタンブールからわずか70キロのイズミット市付近を震源とする大地震が発生し、なんと17000人もの方が亡くなりした。そのような大地震が発生してきたトルコに、大地震を引き金に崩壊した福島原発を抱える日本が、原発輸出するなど倫理的に許されないことです。

トルコの側の事情もあります。トルコはエルドアン政権の民衆抑圧が酷く、デモ隊にガス銃弾を浴びせかけて多数を殺害するなど、民主主義とは言えない暴政が繰り返されています。(日本も他の国のことを言える立場にあるわけではありませんが)このためトルコの100近い市民団体で構成する反原発同盟が、こんな政府の横暴が行われているトルコに原発など持ってこないでくれとアピールしています。

また今年の5月13日にトルコ西部マニサ県ソマで起こった炭坑事故では、ILOの勧告を無視した劣悪な作業環境で放置されてきたために、300名を超える死者がでてしまいました。トルコの経営者には労働者を守る安全思想が著しく欠如していることが明らかになったのです。トルコの人々は炭坑すら安全に運営できないトルコに原発を持ってきたらとても危険な爆弾になってしまうと叫んでいます。

そもそも僕は、全く地震のない理想的な民主主義国家であっても原発建設は反対です。事故を起こす可能性のない原発などあり得ないし、それどころか通常運転の過程ですら、まったく放射能漏れを起こさない原発などないからです。それだけではありません。そもそも人類は使用済み燃料の合理的な処理方法も確立できていないし、できる見込みも持っていません。原発を運転すれはわずか数年の発電のために、数万年も管理しなければならない核廃棄物を作ってしまうのです。採算がどうのこうのという以前の問題です。

トルコへの原発輸出は、こうした人類がもはや原子力開発を止めなければならないベーシックな理由の上に、地震の頻発、非民主主義的で暴力的な政府の存在、労働現場における安全思想の欠如など、より危険な理由が重なっているが故になお許されないものなのです。

さらにその上に、トルコと日本の間で結ばれた原子力協定の問題もあります。もともと原発は核兵器開発の中ででてきた副産物であるがゆえに、原発開発技術は核兵器開発技術と密接な関連があります。原子力協定は元々そこに歯止めを与え、「あなたに原子力技術を提供しますが、あなたはそれを核開発に利用してはなりません」と約束するものであり、核兵器製造にとって重要なウランの濃縮や使用済み核燃料の再処理を禁止するものなのです。

ところがトルコとの協定においては、「両国の合意があればこれらもできる」という原子力協定の趣旨にすら反する一文が書き込まれているのです。これをもってただちにトルコ政府の核開発の意図と断定することはできないかもしれませんが、しかしこの協定が、核開発向けた可能性をにじませたものになっている点も大きな問題です。

そもそもトルコの周辺では様々な紛争が起こり続けています。元々これらの地域はオスマン・トルコ帝国の領土であったところであり、1922年の帝国の崩壊過程での西欧「列強国」の領土もぎ取り合戦が、現在の対立の下地となっているとも言えるのですが、パレスチナにせよ、イラクにせよ、シリアにせよ、ウクライナのクリミアにせよ、いずれもトルコの直近で紛争が起こっているのです。

このような状態の中で、トルコが核兵器開発の可能性をも感じさせるような形で原発建設を進めれば、地域の緊張関係の不要な高まりにも直結しかねません。この点も、トルコと日本の間で結ばれた原子力協定を許してはならない理由です。

さらにもう一点。原発建設予定地とされているシノップはとても美しい町です。黒海で遊ぶこともできるため、トルコの人々のリゾート地になっています。地元ではゆったりとした漁業が営まれています。それ自身が素晴らしい価値です。どうしてこの美しいシノップを壊して原発など建てなくてはならないのか。その点からも、日本からの原発輸出は許されてはなりません。 この計画はただただトルコと日本の民衆の間の力強い連携、民衆連帯の強化の中でこそ止めることができます。トルコ現地と日本の双方から声を上げていく必要があります。今回の僕の訪問もそのための努力の一つです。僕自身、トルコと日本の架け橋になりたいし、美しいシノップを守るためにできる限りの努力を傾けたいです。そんな思いでこれからトルコに向かいます。

フライトは今宵、10時15分発です。あと30分ぐらいで搭乗が始まります。それまでの間に大急ぎでこの記事を配信します。

みなさま。行って参ります!どうかトルコでの活動にご注目ください!

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