守田です。(20160426 23:30)
熊本・九州地震がいまだに活発に続いています。
NHKの4月25日23時53分に流されたニュースによれば14日以降、震度1以上の地震は897回を超えたそうです。すぐに900回を超えるでしょう。
25日の午前0時44分ごろにも、熊本地方を震源とするM4.4の地震があり、熊本市西区と宇城市で震度4を観測したそうです。
観測史上もっとも激しく繰り返されている地震です。
気象庁は以下のように発表しています。「地震の回数が減ったように感じられるかもしれないが、全体的には地震の回数が比較的多い状態とやや少ない状態を繰り返しながら活発な活動が続いている」。
熊本・大分 活発な地震活動続く 引き続き警戒
NHK NEWS WEB 4月25日 23時53分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160425/k10010497161000.html
この未曽有の事態を前に、川内原発の運転を停止せよ、伊方原発の再稼働を断念せよという声が各地から上がっていますが、この動きを22日に毎日新聞が丁寧に取材して記事してくださいました。
とてもよく良識、あるいや常識をまとめた記事です。幾つか掲載されている発言もピックアップして引用しておきます。
「忘災」の原発列島 熊本地震 それでも再稼働か
毎日新聞2016年4月22日 東京夕刊
http://mainichi.jp/articles/20160422/dde/012/040/056000c
脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士
「規制委は危険なギャンブルをしている。国民の安全を預かる組織としては不適切な判断だ」。
「伊方原発をとめる会」(松山市)の和田宰事務局次長
「もし事故が起きたら住民は被ばくを避けるために屋内退避を、と言われているが、熊本地震で多くの家屋が倒壊したように現実味がない対策だ。トンネルや道路も損壊すると考えられるので、今ある避難計画は机上の空論に過ぎない」。
福島原発1号機を製造したゼネラルエレクトリックに努めた経験のある原子力コンサルタントの佐藤暁氏
「米国では、原発周辺に大型ハリケーンが来襲すると予報されれば原発を止める。原発に被害がなくても、送電線や鉄塔が倒壊して外部電源が喪失し、深刻なリスクを及ぼしかねないからだ。
地震の場合も同様。本震で原発が大丈夫でも、余震で送電線などが損傷する可能性があると考えれば、あらかじめ運転を止める選択もあるのではないか」。
引用はここまで。
アメリカの原発が大型ハリケーンに備えて停められているとは知りませんでした。
アメリカの原子力政策がいいともとても思えませんが、しかし大型ハリケーンはこれまで数多くやってきたでしょうから、数多くの停止があったことでしょう。
日本にも何度も猛烈な台風が襲来しているのに一度も原発が停められたことはありません。そう考えると福島原発事故以前の日本のあり方は、何度も僥倖を重ねた綱渡り状態だったと言えるでしょう。
福島原発事故でこのことを痛いほど思い知らされたのですから、観測史上にない地震の多発の中、なんとしても川内原発を停めるべきだし、伊方原発の再稼働もやめるべきです。
23日のTBSの報道特集でも同様の見解が示されました。
TBS報道特集
20160423
http://www.dailymotion.com/video/x46iclc
この中に登場する鹿児島大学 井村隆介准教授が以下のように発言しています。
「九州島全体が大きく動いているという感じがする」
。「九州島を分けているような別府島原地溝帯という大きな構造なのでむしろこれぐらいから始まってまだ続いていくかもしれない」。
「今後、震源が延び、より大きな地震が川内原発を襲った場合、少なくとも今よりは(揺れは)いくし、(耐震)設計基準もギリギリかもしれない」。
「今、日奈久断層がまさに動いていて、今後、南に飛び火するかもしれない状況ですから不断の状況ではない。(予防措置を)考える必要がある」。
これに対して、原子力規制委員会の田中俊一委員長が以下のように発言したこともこの番組の中で取り上げられています。
「どういう事態が起ころうとも、川内原発において想定外の事故が起きるとは判断していない」。
番組ではこのあとに、井村准教授の後半の発言を配置しているのですが、そもそも「想定外の事故が起きるとは判断していない」というのはそれ自身、矛盾極まりない発言です。
「想定外」とは文字通り、想定してなかったことのこと。「こういう事故が起きる」と判断できるならそれは想定内で、「判断していない」ものこそ想定外なのです。
だから「想定外のことは起こり得ない」というのは、かなり滅茶苦茶な発言です。
田中委員長の言っていることを正しい日本語に訳せば「起こりうることはすべて想定している。それ以外のことは絶対に起こり得ない」ということになります。
しかし気象庁自身がそうは言ってないのです。震度7の地震が起こって「本震だ」と思った後に、もう一度、マグニチュードでは16倍も大きい震度7の地震がおこり、以前のものを「前震」、新たなものを「本震」と言い換えざるを得なくなったこと自身が初めてのことなのです。
震度1以上の地震が900回も続くのも観測史上初めてのこと。どれもがすでに「想定外」なのです。だから次に何が起こるか分からないのです。確かなことは震度7の地震が起こった断層の北東と南西に地震が展開しつつあるということだけです。
にもかかわらず田中委員長は、事実上、「想定したこと以下は絶対に起こらない」と言っています。
これは「地震の原発への影響はすべて分かっている」と言っていると同じです。
しかし気象庁すら分からないと言っているのですからこの姿勢はあまりに非科学的で傲慢です。
こんな非科学的な「原子力規制委員会」に私たちの安全を委ねるていることはとてもできません。
正しくは何が起こるか分からないのです。なおかつ何かが起こりそうな気配は濃厚にあるのです。
だっだらあらかじめ危険性を除去しておくのが常識的な対応です。だから川内原発は即刻停めるべきなのです。
九州の人々のために、また私たちすべての命と安全のために、この声を上げ続け、さらに高めていきましょう!