明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1245)熊本地震、16日未明に本震と思われる地震が発生。警戒を怠らず危険を感じたら避難を!

2016年04月16日 10時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160416 10:30)

みなさま。
本日、これから小出裕章さんとのジョイント講演会に出席のため、家を出ます。以下の企画です。

 「近くの原発が動き始めた・・・私たちの防災教育」
 https://www.facebook.com/events/108395789558470/

僕の役割は災害対策のポイントをお話することですので、現に進行中の熊本地震災害についてのポイントもお話します。
お近くの方はぜひお越しください。

このことも見すえながら、昨夜も熊本地震に関する記事を「明日に向けて」で連投しましたが、その投稿直後、16日午前1時25分にさらに大きな地震が発生してしまいました。
マグニチュード7.3。揺れ自身は震度6強ですが、地震のエネルギーの規模は14日午後9時代の地震の10倍もあると言われています。
気象庁は午前3時半に行った記者会見で、この地震がこの間の一連の地震の本震と思われるという見解を発表しました。14日午後9時過ぎに起こった地震はこの地震の「前震」であったとされています。

 気象庁「熊本地震は『前震』 今回が本震か」
 NHK NEWS WEB 4月16日 4時24分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160416/k10010482591000.html?utm_int=news_contents_news-main_005

気象庁は以下のように注意を呼びかけています。
「今回の地震で揺れが強かった地域は14日の地震よりも広がっている。揺れの強かった地域では危険なところから離れ、身の安全を確保して欲しい。
余震も多くなっていて今後1週間程度は最大で震度6弱程度の余震が起きるおそれがあり、十分注意して欲しい」

実際、こうしている間にも次々と死亡情報などが入って来ています。たくさんの家屋が潰れて人々が閉じ込められています。
また南阿蘇村では大規模な土砂崩れの発生し、大きな橋が崩落しています。各地で電車の脱線も起こっています。
災害が拡大していますが、各地で道路が寸断されており、さらに余震が頻発していて救助が難航しています。
このような状況の中で、さらに今日の夕刻より、前線を伴った低気圧の接近による豪雨が予想されています。さらに土砂災害が発生する可能性があります。命を守る行動が必要です。

さらに重要なこととして、地震活動が別の断層に移っている可能性が指摘されています。これは極めて大きなポイントです。

 専門家 「別の断層に地震活動が移ったか」
 NHK NEWS WEB 4月16日 7時25分
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160416/k10010482931000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

ここでは昨夜もご紹介した東京大学地震研究所の古村孝志教授が「内陸の活断層で起きる地震としては国内最大級で、広い範囲が強い揺れに襲われたと考えられる」と分析し、「おとといからの地震は、いずれも『別府ー島原地溝帯』と呼ばれる地域で起きている

。この地域には数多くの活断層があることが確認されており、おとといマグニチュード6.5の「熊本地震」を引き起こした断層から、近くにある別の断層に地震活動が移ったように見える」と指摘されています。

古村教授は本日16日未明に発生した本震の以前から、地震が南北方向に拡大し、余震ではなく「次の地震」につながる可能性があると指摘して警戒を呼びかけていました。
実際には「本震」と呼ばれるより大きな地震が起こったわけですから、古村教授の警戒の呼びかけはまったく正しかったことになります。
それから考えても、この地震が別の活断層に移り、さらに大きな地震や災害が発生する可能性が十分にあります。

今のところ、この地震の北東方面への移動が確認されており、阿蘇山や方面や大分県での大きな地震の発生が懸念されていますが、しかし複雑に断層が重なり合っていますから、南西方面に地震が移ってくる可能性が十分に考えられます。
川内原発の近くにも大きな断層が南北にあります。こうして情報を発信している間にも、実に頻繁に震度5強、6弱といった地震の発生が伝えられおり、どのように展開するかまったく予断を許しません。熊本では1時間に10回以上の余震が起こり続けています。

九州のみなさんは、とにもかくにも最大の警戒を持って事態に向かいあい続けて下さい。
各地で危険を感じたらただちに避難を行って下さい。とくに今夜からの暴風雨は大変な脅威です。
雨が降る前、明るいうちに、暴風雨が始まる前に、安全な避難所などに移って下さい。地震が拡大していることを考え、可能な方はできるだけ遠くまで避難してください。早めの避難こそが命を救います。

これまでの地震だけでもかなりの被害が起こっています。安倍首相も早朝に行った緊急対策会議の場で、災害が拡大する可能性を示唆し、自衛隊の投入を大幅に増強することを発表しましたが、さらにぜひとも川内原発と停めるべきです。
ただでさえ地震が別の断層に移動していて、熊本県以外に拡大する可能性が指摘されているのです。各地ですでに手一杯の球状活動が行われています。
こんな状態では、原発災害に対応する力はありません。というか、万が一、原発で何かがあった場合、各地の救助の手を止めて、全力を原発に注がなければならず、助かる多くの命も見捨てなければならなくなります。

すでに熊本空港は全便の欠航を決めています。建物に亀裂などがあり、安全が確認されるまでとても飛行機を飛ばせないからです。
原発も同じです。川内原発自身はまだ被害が確認されていませんが、しかし被害を受けた場合の深刻さがけた違いに重大なのですから、これほどの災害が重なっており、地震がどのように展開するか分からないからこそ、安全確保のために停めるべきです。
ぜひ全国から政府にこのことを呼びかけましょう。以下に連絡先を記しておきます。

 ◆首相官邸に対するご意見・ご要望
 https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
 ◆原子力規制委員会
 https://www.nsr.go.jp/ssl/contact/contact_done.php
 ◆九州電力
 http://www.kyuden.co.jp/functions_inquire_index.html

安全確保のために原発を止めよ!という声に対して、産経新聞などが猛烈なバッシングを行っていますが、まったくもって許しがたい行為です。
そもそも産経新聞は、福島第一原発事故の時も、同じように危険性を訴えるさまざまな人々に、猛烈な攻撃を行っていました。
しかし今日、事故直後にメルトダウンが発生していたこと、しかもそれを東電が14日には把握していながら、黙っていたことが明らかになっています。
このことは産経新聞のあのときの猛烈なバッシングが、まったくもって誤まったものであり、人々を危機にさらしたものでだったことをもくっきりと暴きだしていますが、産経は一言の謝罪も述べていません。

だから今、こんなバッシングに負けずに、大地震の中にある原発を停めよ!という声をあげなければならないのです。
九州の方たちは、自らの身を守り、被災した人々を救うために手一杯ですから、被災していない全国の地域から声を上げましょう。

みんなの叡智を集めて、地震と原発からの命を守りましょう!

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(1244)川内原発は即時停止すべきだ!重大事故に備えヨウ素剤を手に入れ避難準備を進めよう!

2016年04月16日 01時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160416 01:30)

今宵は記事を連投します。
すでに(1243)で明らかにしたように、熊本地震災害はまだ終わっていません。余震のつらなりから次の地震や阿蘇山の変化などが誘発される可能性があるからです。
暴風雨の到来による土砂災害の発生も予測されます。

想像される危機の中でやはりもっとも恐ろしいのは稼働中の川内原発に新たな地震が襲うなどして、重大事故が発生することです。
ネットを見るとすでに多くの方がこの危険性について発信し、政府に稼働停止の申し入れを行ったことがなどが見てとれます。
しかし一方でこのような動きは過剰だとする、産経新聞を筆頭とした猛烈なバッシングも起こっています。しかしこれらの緒言は人々に「危機を感じるな」と連呼し、正常性バイアスを強化するもので、断じて許されるものではありません。

川内原発はただちに稼動を止めるべきです。そもそもその理由は、今回の地震がなくとも、稼働があまりに危険だからです。
安倍政権は「原子力規制委員会が安全だと言った原発から動かす」として川内原発再稼働にゴーサインをだしましたが、そもそも規制委員会は一度も「安全」とは言っていません。だた新規制基準に合格したと言っているだけなのです。
この他にも、川内原発は加圧水型原発として蒸気発生器に致命的な欠陥を抱えていることなど、危険な要素がたくさんあります。これらから多くの人々が、平常時ですら運転をするのはあまりに危険だ、停めるべきだと言ってきたのです。

今回はその上に、熊本地震が重なっています。
すでに前号で明らかにしたように、今、熊本地方には激しい余震が繰り返し起こっています。それが北側に、南側に拡大する可能性を東京大学地震研究所の古村孝志教授が指摘していました。
またその前提として九州は南北に引っ張られている力が強く、たくさんの断層が重なっていることも解説されていました。
これらはNHKで流されたものですが、さらに重要な情報が入ってきました。

 2016年04月14日 熊本県熊本地方の地震による強震動
 防災科学技術研究所 2016/04/15 12:33
 http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/html20160414212621/main_20160414212621.html

ポイントは何といっても、熊本県益城町で観測されたこの地震の最大の揺れが1580ガルを示したということです。
なぜか。川内原発の耐震設計の基準振動がわずか620ガルとされているからです。これよりもはるかに大きいな地震による揺れが、原発の間近で確認されたのです。
これがどれほど大きな問題なのか。2月27日に毎日新聞の鹿児島版に載せられた記事を読むとよく分かります。

 残余のリスク 川内原発/1 後手後手 相次ぐ基準地震動見直し /鹿児島
 毎日新聞 2016年2月27日 地方版
 http://mainichi.jp/articles/20160227/ddl/k46/040/309000c

この記事には、川内原発で設計上、設備故障の恐れがある安全限界値が1020ガル(2号機)と想定されていることなどが書かれています。
今回の地震の揺れは、この想定をも大きく越えているのです。明らかに九州電力が想定し、規制委員会がゴーサインを与えた想定が突破されてしまっているのです。

では今回起きた地震の断層は、川内原発周辺につながっているのか。この点でもこの間、九州電力の甘い想定が批判にさらされてきました。
とくに2013年に政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した川内原発周辺の活断層長期評価で、それまでの九州電力のデータが再評価し直されています。
ここでは連続しないとされていた活断層が連続するとして長さが2倍以上になったり、マグニチュード6.8がM7.5になるものさえ出てきており、川内原発近くの市来断層の危険性があまりに過小評価されていることなどが指摘されたのです。
この点は、現地の市民団体、「反原発鹿児島ネット」さんが以下のパンフレットに端的に内容をまとめてくださっています。

 川内原発直近の巨大活断層と幾度も襲った火砕流
 反原発鹿児島ネット
 http://www.synapse.ne.jp/peace/sendaigenpatusaikadouhantaipanph.pdf

これらを読むと見えてくることは、川内原発が活断層の近くにあること、にもかかわらず設計基準動が非常に小さく設定されており、今回の熊本地震でも設定数値が完全に突破されてしまっていることです。
このことから今後の余震が、複雑に重なる九州の断層を刺激し、新たな地震が発生する可能性がある中で、川内原発がとてもそれに耐えられる設計になっていないことは明白です。
だからこそ、今回の熊本地震と、度重なる余震の発生を踏まえて、川内原発はただちに停止すべきなのです!

しかしたとえただちに停止しても、この原発はもう半年以上も動いていましたから、炉内には大量の放射性物質が溜まっています。半減期の短いものもたくさんあります。
甲状腺がんを引き起こす恐れのある放射性ヨウ素131なども大量に抱え込んでおり、放射性ヨウ素が半減期による減衰によって現在の1000分の1になるまでに、原発が停止してから80日(半減期×10)もかかってしまいます。
これらを考えたときに、九州のみなさんは、川内原発が重大事故に見舞われる可能性を考えて、いつでもとっとと逃げだす準備を整えていていただきたいし、そのために安定ヨウ素剤を手に入れていただきたいと思います。

理想的にはお住いの自治体から事前配布されると良いのですが、それでは間に合わないので、購入可能なお店をご紹介しておきます。シンガポールのお店です。といっても薬自身は、篠山市をはじめ配布を行ったほとんどの自治体が使っているのと同じ、日本の日医工というメーカーもののです。
なぜシンガポールからなのかというと、安定ヨウ素剤は、処方箋はいらないものの、医師の指示がないと国内では買えないからです。
これに対していわゆる並行輸入での個人購入は可能ですので、この点に目を付けたこの会社が、シンガポールに拠点を設けて、そこから販売しているというわけです。

 ファミリー薬局シンガポール
 ヨウ化カリウム丸50mg「日医工」:100丸入
 http://sg.mimaki-family.com/products/31887/
 100丸3830円 2丸=76.6円

実はご紹介するのにためらいを感じる情報でもあります。国内で買えば2丸で12円なのに、約77円と高値に設定してあるからです。
しかし僕には他にご紹介できるものがないのでこれをお伝えしておきます。

兵庫県篠山市に僕が属する原子力災害対策検討委員会が提出した提言書のアドレスも示しておきます。
ぜひ、重大事故の際に、とっとと逃げるための手引きとしてください。
 
 原子力災害対策計画に向けての提言
 http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf

この27ページから31ページの記述が、おそらく日本で出ている被曝防護のための安定ヨウ素剤の説明の中で一番シンプルで核心をついていると思います。これを服用の際の知恵としてご活用して下さい。
僕の著書、『原発からの命の守り方』の中にも取り込んでいますが、もともとは兵庫医大のスーパードクター上紺屋憲彦先生の篠山市での講演を僕が文字起こしし、ご本人に確認してもらったものをベースにしています。ぜひご参考にされてください。

この他、僕が関わっている兵庫県篠山市での安定ヨウ素剤事前配布について毎日放送が作ってくださった番組もご紹介しておきます。
この中で「妊婦はこの薬を飲んではいけない」という誤った解説もなされているのですが(むしろ飲むべきだというのが私たちの委員会の結論です)概ね、ポイントを押さえています。
16分ですが参考になります。

 毎日放送特集番組(石田ジャーナル)
 原発事故から子どもたちをどう守る?篠山市がヨウ素剤を事前配布
 http://www.dailymotion.com/video/x3smqqd

以上、現在進行形である熊本地震災害は、今後、いかなる形で大きく広がるかも分かりません。
これをみすえて、再度、川内原発の停止を強く求めるとともに、九州のみなさん、四国のみなさんをはじめ、多くの方々に、原発事故への備えを固められることを訴えます。
地震と原発から命を守り抜きましょう!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする