守田です(20220612 22:30)
● 美浜3号機、8月6~9日ごろ再稼働?
関西電力が美浜3号機を、この夏、再稼働させようとしています。夏の電力不足への対応を国に求められ、10月の予定を前倒して8月12日に並列化する=送電線とつなぐのだそうです。
通例、その2~6日前に再稼働するので8月6~10日頃が狙い目なのでしょう。どうせなら人が集まりにくいようにヒロシマ・ナガサキの日にかぶせようというのでしょうか。
再稼働はとても危険です。このところ電力会社各社のモラルが地に落ちているのでなおさら危険。「不祥事」が連発しています。
しかも原子力規制委員会がこれらをきちんと「規制」していない。違反や公約保護にまともに対応しないので「なめられて」います。これは規制委員長の言葉です。
東電の相次ぐ不祥事に「(われわれを)なめていたのか」と更田委員長 たまらずに運転禁止を発令 2021年4月 守田講演スライドより
そうした矛盾が、美浜3号機再稼働への流れに強く表れています。この点を4月24日に美浜町でお話ししましたが、そこから切り出し動画を作りました。ご覧下さい。
● 特定重大事故等対処施設(テロ対策施設)はなかなか作られなかった
「美浜3号機再稼働」と聞くと「そもそも去年、動いたのでは?」と思う方もおられるでしょう。実際、昨年6月に動きましたが、わずか4か月後の10月に止まりました。
止まった理由は、関西電力が「テロ対策施設」=特定重大事故等対処施設を期限までに造らなかったからでしたが、実はここにはひどいカラクリがあります。
もともとこの施設が義務付けられたのは2013年7月の「新規制基準」の施行の時。ところが原子力規制委員会は、加圧水型原発を先に動かしたくて、初めに5年の猶予を与えてしまいました。
にもかかわらず新たな期限の2018年7月が近づいても電力会社は一向に作らない。そうしたら規制委員会は2016年1月に再猶予を与え、「設置許可申請から5年」としてしまいました。美浜3号機の場合は昨年10月でした。
新規制基準は事実上、きちんと適用されずにきている
電力会社はそれでもなおこの施設を作らなかった。そこに「こんな無駄なものをつけても重大事故は防げない」という思いが見てとれます。それでどこも期限迄に作らず、停止後に1年足らずの突貫工事で完成させています。
いやそれだけではなく、福島原発事故で意義が浮き彫りになった「免震重要棟」建設を、電力会社各社は反故にしたのですが、それすら規制委員会は認めてしまいました。
● 再稼働はあまりに危険、誰もより電力会社がそれを知っている
「特定重大事故等対処施設」をどの会社も真剣に作らなかったことや、各社で不祥事が連発していること、セキュリティ関係が崩壊していることから見えることは、電力会社が、原発の安全性など確保できないことを熟知していることです。
にもかかわらず大うそが繰り返されている。それで社会を騙そうとしているわけですが、他ならぬ現場社員にはバレバレなわけです。だからこそモラルが低下しているのです。
そもそも福島原発事故の前だって、東電は津波襲来の可能性を知っていたのに、目先の経営利害を優先して対策をネグレクトしたのでした。
そんな経営陣が罰せられていないことも、モラルハザードを促進させています。そんな状態で、危険な原発を再稼働させるなど、亡国の道です。
私たち市民が自らの力で自らを守りましょう。そのために隠された危険性をより広く知らしめましょう。そんな観点から講演を続けています。ぜひ動画をご覧になり、拡散して下さい。
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