守田です(20240311 23:30)
● 福島原発事故から13年、原発反対の思いを新たにして力強く歩もう
本日3月11日で福島第一原発事故から13年が経ちました。この日を前に全国で脱原発を訴える集会・デモが行われています。
僕は9日(土)に京都で「バイバイ原発京都」に呼びかけ人の一人とし参加しました。10日(日)はJR奈良駅前で行われた「原発ゼロ・被災者支援 奈良のつどい」参加。
「いかにして原発を終わらせるのか?次の世代に何を送るのか?」というタイトルでスピーチさせていただきました。
さらに明日12日(火)は三重県伊賀市にある愛農学園高校にお招きいただいています。
在校生と先生方に「福島第一原発事故を振り返る~13年を経て見えてきたもの~」というタイトルでお話します。
他にも各地でさまざまな取り組みがなされています。これらを通じ、原発反対の思いを新たにして力強く進みましょう。
そのために奈良駅までのお話の動画をお送りします!30分です。ぜひご覧下さい。
● 能登半島地震と原発の関係について
以下、スピーチの内容について詳述します。まずは以下の点について話しました。
1,能登半島地震とひずみ集中帯地震
2,未然に防げた珠洲・志賀原発の大事故
ポイントは能登半島地震が、南海トラフ地震=西日本大震災に連動して起きている「ひずみ集中帯地震」だと思われること。
しかも2020年から群発地震が続いていて、より大きな地震の到来も予想されていたのにあまりに対策が手薄だった。その点で今回の被災には人災の面もあります。
いずれにせよひずみ集中帯地震はまだまだ起こる可能性がありますし、さらに西日本大震災、関東大震災、津島・日本海溝地震への備えが急務です。
同時に見ておくべきことは、今回の震源地の間近に珠洲原発が建てられようとしていたこと。珠洲の方たちを中心とした民衆運動でこれを阻んたこと。だから大事故を免れたことです。
計画が持ち上がったのは1975年。以来28年間にわたる奮闘のすえ2003年に計画が凍結されました。このことで日本社会は大きく救われました。このことを踏まえて能登の方たちを助けなくてはです。
さらに今回、志賀原発も激しく壊れましたが、なんといっても13年間止まっていて、熱量も放射能量もすごく低くで大災害にはならなかった。
私たちの再稼働反対運動が志賀原発を止めていたためです。私たちはこの点で日本社会を救ったのです。この点に誇りと自信を持ちましょう。
ひずみ集中帯の説明 ANN報道より
2022年6月の地震に際し大地震の可能性が報じされていた 20220620 チューリップテレビより
● 福島原発事故の新たな真実が明らかになった
続いてお話したのは、福島原発事故に関する驚愕の事実です。
3,『福島第一原発事故の「真実」』から
4,懸命の注水がメルトダウンを促進
ここでは『福島第一原発事故の「真実」』という今年の2月15日に刊行された書籍の内容を紹介しました。
NHKメルトダウン取材班が出したもので、ドキュメント編350ページ、検証編650ページの分厚い本です。
そこで格納容器の内部調査から、これまで考えられていた予想と実態が大きく食い違っていたことが明らかにされました。
「1、3号機はベントができたが2号機はできず、破局の手前だった」とこれまで捉えられてきた下が、調べてみたらなんと1,3号機の方が激しくメルトダウンしていたのです。
ポイントは注水にありました。なんとある条件下では、注水は核燃料を覆っているジルコニウムと水との化学反応を誘引し、高熱を発してかえってメルトダウンを促進させてしまうのです。
それを分からずに注水した結果、3号機こそが破局寸前に至り、2号機はそこまで壊れなかったのでした。
なお1号機はそもそも注水が全く行われず何日間も空焚きになってしまい、なんと格納容器下部に裂け目ができていました。
そして1,3号機はまったくの偶然によって大崩壊を免れたのですが、なんと1号機はどうして破局に至らなかったのか今もつかめていません。
これらから分かることはまだ過酷事故になった時の対処の仕方など、何もつかめていないということです。統御などできないのです。だから全ての原発はすぐに停めるべきなのです。
● いかに原発を止めるのか
これらを踏まえて以下に原発を止めるのかについてお話しました。
5,現場の技術者は真実を知っている
6,被爆二世健康調査アンケートから
まず大事なのは、政府はGX会議などを経て、原発促進に舵を切りましたが、そんなもの、現実的な展望などないことです。すでに「夢の原発」とうたわれてアメリカで始まった小型モジュール炉計画の破たんが伝えられています。
「採算に合わない」というのが理由ですが、そもそもいまの軽水炉が原発の最新化型で、他の計画など過去にあったものに過ぎない。そしてその最新化型がメルトダウンを避けられないのだから原発は終わったコンテンツなのです。
このことを一番よく知っているのは実は現場の技術者です。マスコミを騙すことはできても、技術者は騙せない。だから現場はモチベーションもモラルもガタ落ちになっています。
それを証明する事例を二つ紹介しました。六ヶ所村の再処理工場に関するものと、大間原発に関するものです。
双方とも「安全審査書」が作られた時に、とんでもないミスがあり、取り下げられたのですが、そのありさまを見ているととても真剣に仕事をしているように思えません。「わざとミスをしたのか」と思えるような杜撰さです。
大事なのはこれらをそのつどきちんと捉えて発信していくこと!そうすれば必ず原発反対の声を再度大きくすることができます。
まだ同時に進めなければならないことは、被曝実態を明らかにしていくこと。
そのために僕が参加している京都「被爆二世・三世の会」で行ってきた健康調査アンケートのまとめについてお知らせしました。ぜひこれも活用していただきたいです。
とりあえずは守田のアドレスにご連絡いただければお届けできます。(morita_sccrc@yahoo.co.jp)
● 原発を止めるため、次々とパンフレット・動画をリリースします
7,『原発からの命の守り方2024』の活用を
8,「守田敏也の原発ウォッチ」の活用を
9,『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』の活用を
10,原発は必ず止められる!一緒に前へ!
そのため幾つかのお願いをしました。1つに今回のこの講演内容を『原発からの命の守り方2024』というパンフレットにするので活用して欲しいということです。
正確には『原発からの命の守り方 2024 ~能登半島地震、珠洲・志賀原発、そして福島原発事故から13年を踏まえて~』というタイトル。申し込みは以下からできます。
https://forms.gle/zAznq9s5gZneygWK8 (1部500円送料200円、3月20日発行予定)
2つにYouTube番組「守田敏也の原発ウォッチ」を立ち上げることをお知らせしました。
実際、この間、無理で愚かな再稼働がなされているので、毎週のようにどこかの原発でトラブルが起きています。それをその都度、きちんとおさえて報じます。頑張って毎週、リリースします!。
さらに『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』の活用をお願いしました。無料ダウンロード先と、冊子版申し込みフォームをここにも書いておきます。
https://nyoki2pj.com/lp/info_yomitokibook/
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdKXBwKnFYkIvDdfEs3q9NhrFwqVxDe3BwNDeepaNaxylfXVA/viewform
● 原発を止めるため、みんなで一緒に前に進もう!
最後に締めくくりとして、みんなで原発を止めるために歩みを強めることを訴えました。
私たちはすでに21基の原発を廃炉にしています。原発輸出などすべて止めました。もんじゅも廃炉にしました。核燃料サイクルも風前の灯です。次は再処理工場を止めましょう。
大事なのは私たち民衆の力を自覚すること。自信と誇りを持つこと。それで前に進めば必ず原発は止められます。
頑張りましょう!
JR奈良駅前のデモ風景 20240310 守田撮影
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