明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2116)原発安全論を斬るー再び原発事故を起こさせないために!(11月28日日曜日京都市でお話します)

2021年11月14日 21時00分00秒 | 明日に向けて(2101~2200)

守田です(20211114 21:00 12月6日加筆)

今回は「京都市民放射能測定所 秋の講演会 守田敏也さんが原発安全論を斬る」へのお誘いを掲載します。

すでに講演の日は過ぎたので、録画をご紹介します。

 

以下の記事は講演内容のエッセンスです。動画とともにご参照ください。

原発職員のモラルが極度に悪化中・・・理由は対策を施しても事故を防げないことを知っているから

28日日曜日午後2時から5時。京都市中京区のウイングス京都セミナーB室でお話しします。タイトルとして「原発安全論を斬る!」をいただきました。「スカッとする講演を」というご要望なので、スカッとお話をします!
主催:京都・市民放射能測定所 連絡先070-5664-2713(佐藤) オンライン参加ご希望の方は以下のアドレスにお申し込み下さい。 https://www.kokuchpro.com/event/211128Sokutei/

まずお話ししたいのは、各地の原発で「不祥事」が多発していること。柏崎刈羽原発で中央制御室に職員が他人のIDで入ったり、原発への侵入を防ぐセンサーが何カ所も壊れたまま放置されていたことが発覚、運転禁止命令すら出ました。
四国電力でも緊急時に待機していなければならない職員が、何度も原発敷地外に「外出」していたことが発覚し、再稼働の予定が延び延びになっています。

いやもっと構造的な問題があります。各電力会社が「特定重大事故等対処施設」と言われる安全対策設備を、期限までに作らないことが多発しました。なんと2回も延長された期限を守った電力会社は皆無でした。
明らかに企業モラルが酷く悪化している。なぜでしょうか?現場の社員がセキュリティも安全対策も「無駄だ」と思っているからです。過酷事故が起きたら手の打ちようがないのです。それで原発が動かされているのですから、あまりに怖いです。


「福島イノベーションコースト構想」や「放射線災害復興学」による被曝の強制

それでは原子力政策を推進しようとしている人々は何をしつつあるでしょうか。端的に、原発事故や放射性物質の杜撰な管理の元での被曝を人々が容認し、受け入れるように社会を変えていくことです。
このもとで「福島イノベーションコースト構想」や「放射線災害復興学」が進められています。福島原発事故のあった福島県浜通りを、原子力産業の基地に変えつつ、一方で次の核事故に備えてその復興の道筋を作っておこうというのです。

この福島での構想に、アメリカワシントン州・ハンフォードの町々を作った人々が参画してきています。ハンフォードは長崎に投下した原爆のプルトニウムをはじめ、全米にある核弾頭の3分の2のプルトニウムを生産した場。
同時にものすごい放射能汚染が繰り返されてきたところなのですが、放射線防護には大してお金を使わず、「産業育成」や「福利厚生」にたくさん投入している。これを批判するアメリカの研究者はこうした町を「プルートピア」と名付けています。

この構想と連動しつつ「放射線災害復興学」が文科省『放射線副読本』主筆であり、山下俊一氏の右腕の高村昇氏らによって進められています。次の核事故を想定し、今度は人々を逃がさずに汚染を受け入れさせ、生活させようとの「学問」です。
このためにも被曝影響を、これまでよりさらに低く見積もる動きも強められています。その軸となっているのは被曝による遺伝的影響の否定です。


放射線被曝の危険性を明らかにすることが最も大切

この動きにどうやって抗うのか。被曝の危険性を明らかにすることが大事です。そのことで原発問題がエネルギー問題ではなく、安全問題であり、国防問題であることも突き出しましょう。安全問題である原発問題をエネルギー問題にすり替えるトリックにかかってはいけません。
いまなされているのは、この大変な危険性を受け入れさせるために被曝被害を小さく見せることです。すでに福島島原発事故で飛び出した放射能の被曝被害についても、多くの人々が受け入れさせられていますが、それが強化されつつある。

悪魔のような所業です。しかしいまそれは一方で、どんどん崩れだしています。例えば広島の黒い雨訴訟が画期的な勝利を引き出し、原爆被害がこれまでの見積もりよりはるかに大きかったことを明らかにしました。
さらに福島原発事故後に各地に飛び出した「率先避難者」たちが、次々と裁判で勝訴を実現し、これに連動する形で、各地の原発運転差止訴訟で何度も運転を差し止める判決や決定が出ています。

これに掉さすことが大事。このために僕は今、「京都被爆二世三世の会」の仲間たちと、被爆二世三世健康調査アンケートを進めています。被曝の遺伝的影響は間違いなくあるからです。今回の講演でもそのことを明らかにします。
福島原発事故による新ヒバクシャにもさまざまな症状が出ています。これらをきちんと把握してこそ、放射線被曝の危険性と立ち向かえることができます。それでこそよりよい生き方を拓くことができる。それも今回、明らかにします。

こうした試みを、障害者差別、さらには病弱者差別と向き合い、これを越える形でみんなで進めたい。被曝被害と向き合う時に往々にして生じる被害を認められなかったり、受け入れられなかったりすることをみんなで大らかに越えたい。
28日、これらの一見重たい課題を、スカッと解き明かします。なあに、展望はしっかりと見えている。あとはみんなで腹をくくって進むだけです。ぜひお越しください。zoom視聴も可能。主催が放射能測定所なのもぴったり。28日にお会いしましょう。

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