明日に向けて

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明日に向けて(1218)血の通った言葉を―「テロ」についての考察に加えて

2016年02月24日 11時00分00秒 | 詩作

守田です。(20160224 11:00)

ファシズムにいかに抗するのか、そのために「テロ」という言葉をいかに捉えるのかの考察に加えて、昨年の今ごろ、後藤健二さんが殺害された後で紹介した僕の詩をご紹介します。
もともとイラク戦争開戦後の2004年、3人の戦争反対を唱える日本人がイラクの武装勢力に人質として拘束され、無傷で解放された後に書いたものです。

あのとき武装勢力が人質釈放の条件として掲げたのが自衛隊の撤退でした。このとき政府は官邸から積極的に「人質となった人々が捕まったのは自分で勝手にいったせいだ。自己責任だ」という論をまくしたて、広範な社会的バッシングを引き出しました。
しかしそもそもイラク戦争そのものが大変なあやまりであり、それへの日本の加担=自衛隊派遣は全くの失政だったわけですから、その中でイラクの人々のためにと渡航した3人の行為こそが最も正しいことであったことはいまや明らかです。

なおかつ、あのときイラクの武装勢力の人々は、私たち日本民衆を信じて3人を無傷のままに解放してくれました。しかし私たちは自衛隊を撤退させられず、イラクを占領したアメリカの理不尽な行為をも正してこれませんでした。
僕はあらためてイラクの人々に大きな負債を残したままであることを痛感せざるを得ません。

だからこそ、この詩も12年前のものなのに、いまでもまるまるそのままに通用してしまいます。なんとも歯がゆいです。
しかし僕は、ささやかでしかないけれども、あの時、イラクの人々とつながるために努力を惜しまなかったし、それから12年間、同じ思いでアメリカの戦争と日本の加担に反対して行動してきたことに胸を張ることができます。

いままたさらに「まやかしの言葉」を打ち破るべく、「血の通った言葉」を発し続けていく決意を込めてご披露します。


*****

血の通った言葉を


言葉のまやかしが横行している
誰がくらしを壊したのかを問わない
「復興支援」
誰が一番人を殺したのかを問わない
「テロ対策」
戦争に加担している責任も
それをみすごしている責任も問わない
「自己責任」

思えばついこの間もそうだったのだ
「先制攻撃」の名の下に
侵略戦争が堂々と行われ
「大量破壊兵器摘発」の名の下に
大量の破壊が公然と行なわれた
「通常兵器」と銘打って
劣化ウラン=放射能さえ
大量にばら撒かれた

卑怯・卑劣というイメージを持った
「テロ」という言葉は
絶対にアメリカには使われず
イスラエルが行うテロだけは
「暗殺」に変えられてしまう
それでいて
アラブの人々の悲しく絶望的な抗いが
「自爆テロ」と騒ぎ立てられるのだ

これまでイラクの人々のことなど
真剣に考えてこなかった人たちが
「イラクのために汗を流す」と語り出し
本当にイラクの人々のために
勇気を示した人たちに対しては
悪罵が投げつけられる

そうしていわく
「テロに屈するな」
「今、引けばイラクは混乱する」
「国民に迷惑をかけるな」
 
全てがさかさまではないか!
国家的規模で
テロを行っているのはアメリカだ
イラクの占領が混乱をもたらし
だから人々が抗っているのだ
そして日本が米英に加担することが
わたしたちを傷つけているのだ
イラクのために献身的に働く人々に
多大な迷惑をかけているのだ

―――真実は
一時的に虚偽の言葉で覆い隠せても
けして書き換えることは出来ない
だからいつわりの言葉は
血の通った言葉の前には無力だ
そのことに確信を持ち
ひとりひとりが
本当のことを語り続けよう

誇りと尊厳をかけて
新たな歩みをはじめている
アラブの人々とともに

2004年4月18日
守田敏也 


 

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