守田です(20190716 13:00 ニューメキシコ時間)
ニューメキシコの旅を続けています。
● 地下資源がたくさんあったがゆえに
7月13日にニューメキシコ州、ナバホネーションのレッドウォーターポンドロードコミュニティで行われたウラン汚染水漏れ事故40周年集会とデモに参加してきました。
この報告を書きたいと思いますが、色々と逡巡もあります。こちらにきて僕が知らないことがたくさん出てきているからです。だから報告も正確さに自信がありません。
それでもあったことはできるだけ早く伝えたい。その点でもし間違ったことを発信してしまったらすぐに訂正することとして報告を進めさせていただきます。
さてナバホ族はアメリカインディアンの中で大きな部族です。ニューメキシコ州だけでなくアリゾナ州、ユタ州にまたがって「ナバホネーション」があります。
Navajo Rezavationとも書かれる。ナバホ保有地と訳したら良いのでしょうか。居留地という訳も見ますが何が正しいか、僕もまだよく分かりません。
また「ナバホ」という言葉自体も元々はアメリカ連邦政府によって付けられた名だと聞きました。では自分たちではなんというのかというとDineだそうです。「人々」という意味だそうです。
このナバホネーションは地下資源がたくさんある地帯であり、だからこそ近代になって白人に襲われ、追い出されたり、資源を運ぶために水を奪われたり、苦しみを重ねてきました。
ウランだけではないのです。石油、石炭、そのほかたくさんのものが出てきて迫害され略奪されたのです。いや迫害はそれ以前からのことでしたけれど。
そのうちの一つ、石炭に関するナバホ・ディネの人たちの抵抗を描いた優れたビデオを見つけたでどうかご覧ください。
● チャーチロックで起こったこと
ウラン鉱山の採掘が始まったのは1944年のこと。原爆製造計画=マンハッタンプロジェクトの下でした。
その後の広島・長崎への原爆投下を経て旧ソ連との冷戦が始まる中でアメリカの南西部の広大な土地で次々とウランが掘られ出しました。
その中でも大きなものがチャーチロックと言われる岩がある地帯での採掘でしたが、そこにある精錬所で1979年7月16日にウラン廃棄物と汚染水をためていたダムが決壊したのです。
このために流れた出したウラン廃棄物は1100トン、放射能汚染水は9400万ガロン、約3億6千万リットルでした。
この日付けを見て何か思い出した方はいるでしょうか。そうです。同年の3月28日に起こったスリーマイル島の事故の4ヶ月後のことなのです。
放出された放射能量はスリーマイル島事故より大きかった。しかし報道はずっと小さかったのだとか。
汚染水は近くのプエリコ川に流れ込みました。いろいろな被害の発生が考えられますが、しかし人々はほとんど救済されなかった。
それで今も健康被害を問い、責任を追及する告発が行われ続けています。
遠くから撮ったチャーチロック
● 集会とデモに参加して
このチャーチロックでの大規模なウラン汚染水漏れ事故への40周年の集会が行われたので参加しましたが、集会場に設定された地域自体が二つのウラン鉱山に挟まれた地域でした。
そこに朝7時行くと、すでにたくさんの住民の方たち、支援の方たちが集まっていました。
最初にお祈りが行われました。火の周りに男女がそれぞれ別々の側にサークルを作るように座り、女性がお祈りの言葉を歌うように語り続けます。
集会場について。奥でお祈りが行われた。聖なる場なので撮影は禁止
サークルは東の側に出入るするところがあります。太陽が出てくる側です。僕もそこから入り、せきにつかせていただき、まわされてきたパイプを燻らせました。
僕なりにこの地域の神々に訪問を報告し、この場にいることを許してもらい、この問題のために努力することを誓いました。
その後にデモがなされました。と言っても周りに誰もいないところなのですが、約200人が歩き、精錬所があった方角を向きながら運動の代表の方の話を聞きました。
約200人が参加したデモ
その後、もう一度、集会場に戻り、そこから食事をしながら午後3時ごろまで次々と発言が続きました。
それぞれの発言が印象的でしたが、やはり僕にはナバホの方達が様々な健康被害の元に今も苦しんでいることがとても深く胸に響いてきました。
ある女性は「鉱山労働者の娘」と事故紹介し、父とともに家族みんなが苦しんできたのだと涙ながらに話されました。僕も泣きたくなりました。
「鉱山労働者の娘」からの訴え
今回連れて行って下さった玉山ともよさんもスピーチ
● アメリカのヒバクシャとともに歩みたい
この場にいると本当に実感するのはこの地域にたくさんの被爆者がいて、しかも広島・長崎の後にも被ばくが続いていること、犠牲者が増えていることです。
この流れをどうしても止めたいし、同時に、全ての被ばくされた人、家族、二世、三世に手厚い保護がなされる世の中を作りたいということです。
僕は京都「被爆二世・三世の会」の世話人としても活動していますが、是非ともこの活動を強めていきたいし強めねばと思いました。
そのために自分の言語能力を飛躍的に上げないといけない。これまでもチャレンジしてきましたが、このことを被ばくとの戦いそのものと位置付け直そうと思います。
集会で配られたパンフレットを可能な限り取得したので、この夏に読み込むつもりでいます。
そしてそこから世界のヒバクシャへのアクセスを強めていきたい。世界共通の課題である核の問題への取り組みをもっと強めたい。
たくさんのパンフレット。読まなくては!
そんなことを次々に続く発言を聞きながら思いました。ちなみにネイティブアメリカンのと書かずに「アメリカのヒバクシャ」と書いたのはにはわけがあります。
インディアンをひどい目に合わせたアメリカの他の多くの人々も実は大変な被ばくをしているのだからです。ただ気付いていないだけです。それが核兵器を持つということなのです。
だからこの問題は世界中にズドンとつながっている。。。。とにかく頑張ります。
僕もナバホ・ディネの方たちのTシャツをいただきました。
チャーチロックウラン汚染の日とニューメキシコのトリニティサイトでの人類初の核実験の日である7月16日に。
続く
***
明日に向けての連載1700回越えと今回の取材の旅に際して皆さんにカンパのご協力を訴えさせてください。残念ながら今回、公的機関の助成を得ようとしましたがうまくいかず全て自腹で旅しています。核の時代を終わらせるための活動へのご支援としてお願いできると嬉しいです!
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