明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2402)国会事故調の聴き取りで福島1号機の地震による配管損傷がより鮮明に-(『福島第一原発事故の「真実」』の読み解きから-その6)

2024年04月04日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20240404 23:30)

連載2400回越えに際してカンパをお願いしています。よろしくお願いします。
振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
Paypalからもカンパができます。自由に金額設定できます。
https://www.paypal.me/toshikyoto/1000


さて『福島第一原発事故の「真実」』(講談社文庫)の読み解きの続きをさらに続けます。
以下のスピーチでも触れています。8分30秒~16分50秒ぐらいです。

前回(2399)はこのNHKの書がほとんど取り上げていない点、福島原発は津波の前の地震で配管破断を起こしていたのでは?という重大なポイントを取り上げました。
これは事故直後から、元日立の圧力容器設計者・田中三彦さんが指摘されていたことです。田中さんは1号機の原子炉圧力が地震後に急激に落ちたことから配管損傷の可能性に気が付いたのでした。NHKの書からもそれがうかがわれる点が読み取れます。
今回はその後に田中さんが、国会事故調に参加して行った調査を踏まえてさらに追及している点に触れます。


国会事故調の聴き取りで配管損傷がより鮮明に

田中さんはその後、2011年12月8日に発足した「国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」に参加され、当時1号機で現場作業にあたった方からの聴き取りを行いました。
その際、注目したのは地震後自動起動したものの、運転員によって止めたり動かしたりされいた非常用復水器(イソコン)のことでした。「55℃以上、下がらないように」とのマニュアルがあって止めたり動かしたりしたというイソコンのことです。

しかし聴き取ってみると、実際には55℃など問題にもなっていなかった。それよりも運転員は、イソコンが立ち上がった時、圧力計を見ていてわずか11分の間に、70気圧から46気圧まで落ちたことに驚いたそうなのです。一気に24気圧も落ちた。
それで「どこかで漏れているんじゃないかと思った」というのです。配管損傷を心配した。それで「一度、止めてみたい。確かめたい」と現場責任者に問いかけ「いいですよ」と言われた止めたのです。なおこれらの点は以下の動画で解説されています。

2012 8 5 国会事故調 伊東良徳・田中三彦 講演会
https://www.youtube.com/watch?v=HtaEsOdkFV8

配管損傷の可能性を示唆した田中三彦さんプレゼン画像より


建設中のマークⅠ型格納容器の写真。たくさんの配管のための穴があることが分かる 田中三彦さんプレゼン画像より

田中さんはさらに1号機の「主蒸気逃がし安全弁」(SR弁)の「動作に伴う音を聴いた運転員がいないこと」=SR弁は開いてなかったことも聴き取りによって突き止め、ますます配管損傷の可能性が濃厚であることを突き止めています。
その上でさらに田中さんは、1号機で起きた水素爆発のあり方に着目し、ここから配管損傷のよりはっきりと論証しておられます。

というのは東電は「1号機の水素爆発は5階フロアで起こった」と述べているのですが、現場の写真を見るとどうみても4階で起こり、続けて5階で起こったとしか見えないのです。
そしてその4階にイソコンのタンクが設置されていた。そこに原子炉から直接に配管が伸びているのですが、そこで破損が起こって水素が4階に充満し、それ自身の熱で爆発を起こしたと考えられます。この点は以下の動画で説明されています。

20130921 福島第一原発1号機原子炉建屋4階の激しい損壊は何を意味するか
https://www.youtube.com/watch?v=90kCsgJwQXY


4階がメチャメチャになっていることを示しここで爆発があったことを指摘する田中三彦さん

4階には非常用復水器(イソコン)がありここへの配管が損傷して水素爆発が起きた可能性が高いことを指摘する田中三彦さん

 

水素爆発は大危機でありながら未解明

これらを調べながら、さらに田中さんは、そもそも水素爆発がどのように起こったのか、水素がどこから漏れ出し、どう溜まったのかも未解明であることの危険性も強く指摘されています。
1,3,4号機と続いた水素爆発で、1,3号機の格納容器も4号機プールも結果的に崩壊しませんでしたが、それはたまたまの結果でしかない。設計者は直近で起こる水素爆発に耐えることなど、まったく考えずに格納容器を設計したからです。

ようするに3回にわたる水素爆発が、大破局につながらなかったのも、まったくの偶然の産物でしかなかったのです。次の同じような爆発があったら、今度はその時に格納容器が破壊されてしまうかもしれない。
しかし水素が原子炉からどのように漏れて、どう溜まり、なぜ爆発したのかについても分からないことが多い。したがっていま稼働中の原発は、水素爆発対応などまったくできていないのです。

ましてや津波以前に地震で配管損傷が起きていたことが濃厚なのですから、耐震性の見直しが急務ですし、それを実行すればただちに日本中の原発な止めなければなりません。そうでなければ私たちの安全は確保できないのです。
NHKメルトダウン取材班は『福島第一原発事故の「真実」』で数々の重大事実を示してくれましたが、残念ながら、地震によって原発が壊れたこの重大な「真実」は明らかにできていない。この限界を越えて欲しい。この点をもっと大きく広めなければです。



水素爆発を起こした福島1号機と3号機 格納容器破壊に至らなかったのはまったくの偶然だった


奈良駅前発言とこの間の記事から新たな冊子を作っています。
『原発からの命の守り方 2024 ~能登半島地震、珠洲・志賀原発、そして福島原発事故から13年の新事実を踏まえて~』です。
以下が申し込みフォームです。(1部500円送料200円、4月20日発行予定・・・すいません。予定が伸びていますが必ず出します)
https://forms.gle/zAznq9s5gZneygWK8

#原発再稼働反対 #福島原発事故13年 #福島第一原発事故の真実 #格納容器破損 #地震で配管損傷が起きていた #田中三彦 #国会事故調 #SR弁 #配管損傷を心配してイソコンを止めた #イソコン #水素爆発 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日に向けて(2401)連載が240... | トップ | 明日に向けて(2403)三田茂医... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明日に向けて(2401~2600)」カテゴリの最新記事