守田です(20200913 22:00)
● 台風で明らかになった韓国の原発の脆弱性
先週、台風10号が九州西の海上を吹き抜け、韓国に上陸、東海岸沿いを通って中国東北部へと抜けていきました。
この進路にはたくさん原発があります。南から川内2基、玄海2基、そして韓国の古里(コリ)5基、月城(ウォルソン)7基、ハヌル(旧蔚珍ウルチン)6基です。
実はこのうち古里3,4号機、新古里1,2号機は、直前に台風9号で停まっていました。これに加えて今回月城2,3号機が停まりました。連続した二つの台風で6基が停まったことになります。
しかも古里ではすでに廃炉が決まっている1号機、定期点検中だった2号機で外部電源喪失すら起こしました。ディーゼルエンジンが稼働する非常事態でした。
このように、連続して6基が停まった原因を、韓国の原発の運転をつかさどる韓国水力原子力発電会社は、以下のように発表しています。引用は「ハンギョレ新聞」9月11日付けからです。
「台風が起こした波と強風の影響により、多量の塩分が発電所敷地内の電気設備に流入したため故障が発生し、この故障から発電設備を保護する装置が作動したため停止した」
これに対してハンギョレ新聞は「韓水原の説明は、原発施設の設計や運営が気候変動による極限気象に対して脆弱であることを認めたものと見ることができる」と指摘しています。
同紙はまた、原子力安全研究所ハン・ビョンソプ所長の以下の発言を紹介しています。「原発の外部設備は、雨水や塩水に備えて防水部品を使うことになっている。塩分が原因であったとしても、大元は欠陥部品や手抜き施工の可能性がある」。
● 台風上陸数が年を追って急速拡大中
まさに原発の「気候変動による極限気象」への弱さが明らかになったわけですが、恐ろしいのは近年、朝鮮半島への台風上陸が急速に増えていることです。
これまでの上陸数を見てみると、1970年代は合計4つ。2.5年に1回の割合でした。1980年代も5つ。1990年代は11個と増えましたが、2000年代は再び6つに。いずれも年に1度、まれに2度でした。
ところが2010年代になると2015年までに6つ、そしてその後、2020年9月までに12も来ています。2010年代での合計は18。1970年代の4.5倍で、しかも2019年に4つ、2020年に5つと急速に増えています。
(なおデータ元はTyphoon21です)
これはかつての台風の進路が、九州付近から北東方向に曲がりだしたため、朝鮮半島にほとんど向かわなかったことに対し、気候条件の変化の中、ひたすら北進する台風が増えてきたためです。
となると今後も同じような大型台風が、連続襲来する可能性が高い。そのコース上に脆弱な原発が並んでいる。恐ろしいことです。
韓国東海岸の原発で深刻な事故が起これば、今回の進路のように北に放射能が流れる可能性がありますが、しかし台風でダメージを受けてしばらくして崩壊した場合は、日本列島に流れてくる可能性が高いです。
川内・玄海原発でも同じことが言えます。近年、九州にも巨大台風の上陸や豪雨が繰り返されていますが、原発が深刻な事故を起こすと、東に放射能が流れれば日本列島全体を、北にながれれば朝鮮半島全体を汚染してしまいます。もある。
このことは韓国民衆と日本民衆が、互いに互いを守るためにも、自国の原発を停めるために努力することが大切なことを、私たちに教えてくれています。
放射能に国境はない!だから私たちもまた国境を越えた連帯を強くして、どの原発も自分ごととして停めていく必要があります。
頑張りましょう。
#台風10号 #原発停止 #古里原発 #月城原発 #韓国
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