昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(四)の二

2011-04-03 12:02:18 | 小説
「遅くなっちゃった、ゴメンね。
五平ちゃ~ん、社長はどうしたの?」
少し野太い声で、梅子が若い女の子を連れてやってきた。
「おぉ、ウワバミ梅子が来たぞ!
社長はな、梅子が恐いから欠勤だとさ。
飲み比べで負けたから、もう来ない、とさ。」
「何だい、あの根性なしが!
おっ、こっちの若いお兄さん、
どうした?元気ないじゃないか。
ほらほら、英子、変わりな。
鈴、お前そっちだ。
それから、花子に昭子、男どもの間に座らせて貰いな。
それにしても、このボックスは狭いなあ。
もっと広いボックスが有るだろうに。
ははぁ、さては。
こら、五平。
お前の策略だな?
よっしゃ、それじゃ体重の軽い女は、男どもの膝に乗っちまえぇ!
英子、それから陽子、お前ら乗りな。
梅子姉さんは、こっちのお兄さんに乗るかなぁ・・。」
てきぱきと取り仕切る梅子を、五平はニタニタと見つめた。
三十を過ぎた姉御肌の梅子は、この店の女給達のまとめ役を勤めている。


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