「ばかやろう、が。酔ってないよ、喉が渇いただけさ。
どいつもこいつも、あたいの体が目当てで近付きやがってえ。
健二だろう、聡だろう、勝に、武雄…。数えるのも疲れるわ。
あいつ、あたいのこと、どう思ってんだろ。
こんな気持ち、初めてなんだよ。嫌いなんか? あたいのこと。
毎週土曜日に来てさ、黒服にあたいのこと、根掘り葉掘り聞いてさ。
この間なんか、ポシェットのプレゼントなんかしてくれてさ。
黒服は、『あの人じゃないよ』なんて言うけどさ。
名前を言わないなんて、あいつ以外に誰が居るんだ」
だけど、笑っちゃうよ。安物のポシェットでさ、ひみつのあっこちゃん柄なんだ。
あんなの、持って歩けるかってえの。
部屋で、埃を被ってるよお。ベッドに放り投げてあるよお。
あたいがさ、ひみつのアッコちゃんが好きなんだって、一度だけ、一度だけだよ、言ったのは。
違うんだ、一緒に寝てるんだよ、ホントは。
水! 水、頂戴っ!」
彼の差し出すコップを引ったくると、だらしなくこぼしながら空にした。
「聞いてるか、お前。あいつは、あたいのファンなんだぞ。
黒服にそう言ったんだからさあ。
この前、あたいから行ってやったんだよ。
ステージが終わっても、誰からも珍しく声がかからないもんだから、あたいがあいつのテーブルに行ったんだ。
そうしたら、もう顔を真っ赤にしちゃって。下向いて、もじもじしてるのよ。
もう、可愛くなってさ。思わず抱きしめちゃったあ。
そんでもって、おっぱいを触らせてやったの。震えてるのよ、あいつ。
で、耳元で囁いたんだ。『今夜、あたいのアパートに来る? あたいを抱かせて上げる』って。
恥ずかしかったんだぞ、あたいだって。
女から誘うってのが、どんなに勇気がいるか、あいつ分かってんのか。
そしたら、そしたら…」
突然、女が大きく泣き始めた。
何事かと、マスターもお客も、彼に視線を向けた。
「わかんないんです。急に、泣き出されて。何も言ってませんよ、僕」
慌てて彼は、手を振って彼らに答えた。
どいつもこいつも、あたいの体が目当てで近付きやがってえ。
健二だろう、聡だろう、勝に、武雄…。数えるのも疲れるわ。
あいつ、あたいのこと、どう思ってんだろ。
こんな気持ち、初めてなんだよ。嫌いなんか? あたいのこと。
毎週土曜日に来てさ、黒服にあたいのこと、根掘り葉掘り聞いてさ。
この間なんか、ポシェットのプレゼントなんかしてくれてさ。
黒服は、『あの人じゃないよ』なんて言うけどさ。
名前を言わないなんて、あいつ以外に誰が居るんだ」
だけど、笑っちゃうよ。安物のポシェットでさ、ひみつのあっこちゃん柄なんだ。
あんなの、持って歩けるかってえの。
部屋で、埃を被ってるよお。ベッドに放り投げてあるよお。
あたいがさ、ひみつのアッコちゃんが好きなんだって、一度だけ、一度だけだよ、言ったのは。
違うんだ、一緒に寝てるんだよ、ホントは。
水! 水、頂戴っ!」
彼の差し出すコップを引ったくると、だらしなくこぼしながら空にした。
「聞いてるか、お前。あいつは、あたいのファンなんだぞ。
黒服にそう言ったんだからさあ。
この前、あたいから行ってやったんだよ。
ステージが終わっても、誰からも珍しく声がかからないもんだから、あたいがあいつのテーブルに行ったんだ。
そうしたら、もう顔を真っ赤にしちゃって。下向いて、もじもじしてるのよ。
もう、可愛くなってさ。思わず抱きしめちゃったあ。
そんでもって、おっぱいを触らせてやったの。震えてるのよ、あいつ。
で、耳元で囁いたんだ。『今夜、あたいのアパートに来る? あたいを抱かせて上げる』って。
恥ずかしかったんだぞ、あたいだって。
女から誘うってのが、どんなに勇気がいるか、あいつ分かってんのか。
そしたら、そしたら…」
突然、女が大きく泣き始めた。
何事かと、マスターもお客も、彼に視線を向けた。
「わかんないんです。急に、泣き出されて。何も言ってませんよ、僕」
慌てて彼は、手を振って彼らに答えた。
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