一
「社長。どうです?今晩あたりに。
あちこち出張が多くて、銀座もご無沙汰じゃないですか。
うるさいんです、女たちが。
会社にまで電話が入る始末でして、あたしも閉口してるんです。
他所に鞍替えしたのか!って、詰め寄られたりして。
それにね、以前お話した娘にも会っていただきたいんで。」
五平の執拗な誘いに、あまり気乗りのしない武蔵だったが
「まっ、五平の顔を立てるとするか。
梅子にも暫く会っていないしなぁ。」と、腰を上げた。
「社長の好みに合いますって、絶対です。」
自信ありげに五平が言った。武蔵は苦笑いをしつつ、
「そういう言葉は、もう聞き飽きた。五平の‘絶対’は当てにならん。
いつだったかも、ハズレじゃないか。」と、軽く睨み付けた。
2
「いや、社長!あの女性は、失敗でした。
容貌だけで判断したのが、間違いでした。しかし、楽しんだでしょうが。」
「楽しんだと言ってもだな、高く付いたぞ。一回や二回では、割に合わん。」
「今度は、違いますって。社長の伴侶に、ピッタリですって。
今はまだ田舎娘ですが、磨けば光ります。
田舎から単身で来てるんですが、向上心が強い娘です。
英会話の勉強をしてるらしいんですが、学費をですな、親からの援助ではなく自ら稼いでいるんですよ。」
いつになく真剣な表情で、五平は言葉を続けた。
「父親の知り合い宅に居るらしいんですが、キチンとした娘です。
尤も本人に言わせると、好きな男が居ると言うんですがね。
しかし未だ、生娘です。」
「おいおい、ちょっと待て。男が居るんじゃ、駄目だろうが。」
「何を気弱な!社長らしくもない。」
「社長。どうです?今晩あたりに。
あちこち出張が多くて、銀座もご無沙汰じゃないですか。
うるさいんです、女たちが。
会社にまで電話が入る始末でして、あたしも閉口してるんです。
他所に鞍替えしたのか!って、詰め寄られたりして。
それにね、以前お話した娘にも会っていただきたいんで。」
五平の執拗な誘いに、あまり気乗りのしない武蔵だったが
「まっ、五平の顔を立てるとするか。
梅子にも暫く会っていないしなぁ。」と、腰を上げた。
「社長の好みに合いますって、絶対です。」
自信ありげに五平が言った。武蔵は苦笑いをしつつ、
「そういう言葉は、もう聞き飽きた。五平の‘絶対’は当てにならん。
いつだったかも、ハズレじゃないか。」と、軽く睨み付けた。
2
「いや、社長!あの女性は、失敗でした。
容貌だけで判断したのが、間違いでした。しかし、楽しんだでしょうが。」
「楽しんだと言ってもだな、高く付いたぞ。一回や二回では、割に合わん。」
「今度は、違いますって。社長の伴侶に、ピッタリですって。
今はまだ田舎娘ですが、磨けば光ります。
田舎から単身で来てるんですが、向上心が強い娘です。
英会話の勉強をしてるらしいんですが、学費をですな、親からの援助ではなく自ら稼いでいるんですよ。」
いつになく真剣な表情で、五平は言葉を続けた。
「父親の知り合い宅に居るらしいんですが、キチンとした娘です。
尤も本人に言わせると、好きな男が居ると言うんですがね。
しかし未だ、生娘です。」
「おいおい、ちょっと待て。男が居るんじゃ、駄目だろうが。」
「何を気弱な!社長らしくもない。」
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