昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

ブルー・はんたぁ ~蒼い情愛~ (三)

2010-04-06 21:20:47 | 小説
死刑囚は、
冷たい銀のフォークの眼差しで、
裁判官の胸を突き刺した。

「ふん。
あんたに、
何が分かる!」

独り、
死刑を宣告された現実を噛みしめる死刑囚。

薄暗い、
四方を冷たいコンクリートで
閉ざされた部屋。

俗界に繋がる、
唯一の楽しみの窓は、
頭上高くとなっている。

太陽が覗き込む少しの時間と、
空の一部のみを見ると言う哀しみ。

いやいや今の死刑囚にはそのことよりも、
その窓があるということが、
忌々しい。


(over the 「てん・てん」)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿