“ああ、もうお昼を過ぎてるじゃないか”
のっそりと立ち上がりはしたものの、なにをする気にもならず、先日に買い置きしておいた菓子パンに手をのばした。
1本を食べ終えればいつもならお腹がふくれてくるのだが、きょうはまだ空腹感がおさまらない。
極度の緊張感のせいだろうか。カロリーが相当に消費されたのだろう。
“きょうはとくべつに、喫茶店で食べるかな”
じつのところ、警察を疑うわけではないが、万がいちということもある。
出ばると言っても、すぐにとは限るまい。
どれ程の時間がかかるのか。
その間、どう対処すればいいのか。
“留守だとわかれば、相手もあきらめるだろう。
いまは法律もあることだし、張り紙やらとなり近所への嫌がらせもしないだろう。
とにかく部屋にいちゃだめだ”
いても立ってもいられなくなったわたしは、戸締まりをしっかりとして外に出た。
いまにして思えば、電話なのだから、早々に切ってしまえば良かったのだ。
再度かかってきたおりにこそ、警察うんぬんで良かったはずだ。
いやいや、すぐに部屋をからにするのも良しだ。
それを長々と付きあってしまった。
案外のこと、あいてとの会話を楽しんだのかもしれない。
だとすれば、相手もいい迷惑だったろう。
電話など、いや会社外で人と会話をするなど、なんヶ月ぶりのことか…。
そう思うと、あれ程わずらわしく感じたとなり近所との会話が、それなりのものに思えてくる。
おもわず苦笑してしまった。
といって井戸端かいぎに参加する意思はない。
また、あいても望むはずがない。そもそも話題があうはずない。
結局のところ、わたしの身上調査まがいのはなしになるに決まっている。
大方のことはバレてしまったけれども、まだまだよとばかりに、根掘り葉ほりきいてくるにきまっている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます