昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(九十一) 「ハハハ!」

2014-07-02 21:34:49 | 小説
(五)

「ハハハ!」
突然に梅子が笑い出した。

「ごめん、ごめん。覚えてるよ、しっかりと。
あんたの姉さん、えっと誰だったっけ…待ちなって。
今思い出すから、そう! 勝子ちゃんだ。
元気になったかい? 社長が面倒見てくれたろうに」

「小夜子が後継ぎを産んでくれたら、竹田くん、あんたをね、加藤専務の後釜に据えたいそうだよ。
相談役としてね、期待しているみたいだよ。
精々、社長にしごかれな。いや専務にかな? 
でも今夜は、二人とも居ないんだ。思いっきり楽しんでおくれよ。
あんたなら女に溺れるようなこともないだろうしね」

思いもかけぬことを聞かされた。
“坊ちゃんが生まれたら、専務の後釜? えっ、えっ?”
目を丸くする竹田だ。

「さてと、誰を呼ぼうかねえ。
あんたみたいな男には、そうだな、未通女が良いかねえ。
物静かな女が良いだろうねえ。
ちゃきちゃきが合うような気もするけれど、万が一にも入れ込むような事態になっちや一大事だ。
ほんというと、今、小夜子が居ればねえ。即、くっつけちゃうけれども。
正直のところ、社長とは相性が悪いと思ったんだよ。
なにせ田舎娘でさ、なーんにも知らないくせに、鼻っ柱が強くて。
けどね、自分を磨こうとする、その根性は見上げたもんだった。
社長も、案外そんな所に惚れたのかもね。
ま、社長のことは置いといて、と。うーん…誰が良いかねえ。
そうだ、あの娘が良さそうだ。ボーイさん、実千代を呼んどくれ。
木暮実千代だよ、いいね。
それと、小夜子と気が合うひろみだ。
他の客に付いてる? いいから、いいから。
さっさと引っ張いといで。将来の上客なんだから」


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