昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十一) 心をざわつかせる

2013-11-20 18:26:37 | 小説
(四)

上目遣いで問い掛けるぬい。
意識してか、無意識なのか。武蔵の心をざわつかせる。

「ほぼ満点に近いですな。
女将としては少々疑問符が付きますが、女として満点です。

気持ち良くさせてくれる。
大事なことです、これは。

女将としては満点でも、人間がギスギスしていては大減点です」

「失礼だが、少々改修が必要なようだ。
造りは良いのだから、少し手を入れるだけでずっと良くなる。

庭なんか、実に見事じゃないですか。キチンと手入れがなされている。
山水画風の佇まいは、中々のものだ。

詳しくはないけれども、僕は好きです、この庭が。
そして気持ちがこもった接客を続けていけば、大丈夫! 大繁盛間違いなしですよ」

窓から庭を見ながら、満足気に頷く武蔵だ。
「お恥ずかしゅうございます」

何が恥ずかしいのか? と、小首を傾げる武蔵に
「主人が石集めが好きでして。
ただゴロゴロと転がっているだけでしたのですが、
たまたま寄り合いでお出でになった庭師さんと、主人が意気投合いたしましたので。
社長さまにも、お気に入って頂けましたでしょうか」


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