昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(九十)  竹田のお守り役時には

2014-06-16 22:14:10 | 小説
(五)

そんな小夜子だから、竹田のお守り役時には精一杯の我がままを通す。
武蔵からのお墨付きが出ているのを良いことに、五平の苦虫をつぶした顔を後目にいそいそと出かけていく。

「竹田。俺が出張の時は、小夜子の面倒はお前が見てやってくれ。
社用でないことにも、お前を使おうとするかもしれんが。
いや、使うな。とに角、小夜子を優先してくれ。専務には、俺から言っておく。
どうにも、小夜子は専務とはうまが合わんようだからな。ま、よろしく頼むぞ」

「分かりました、小夜子奥さま優先でいきます」

「良いのよ、たまには。武蔵は出張で居ないことだし、千勢には遅くなるからって言ってあるから」

「ですが、小夜子奥さま。もう陽が陰っています。ご自宅に着く頃には、それこそ…」

「もう。竹田ったら、そればっかり。いいのよ、今日は。
そうだわ、竹田。お食事していきましょう。
あたしの我がままに付き合わせてばかりだものね。
お礼代わりの食事をしましょ。うーん、何が良いかしら。
武蔵はお寿司専門みたいだから、お肉料理にしましょうね。
お肉といえば、当然にビフテキよね。武蔵といつも行くお店があるのよ」

「でも、小夜子奥さま。私はお腹も減っていませんし」

「いいの! 今日に限って、どうして逆らうの。
武蔵に何か言われたの? ははーん、加藤専務ね。
あの人、嫌い。何かと小言ばっかり言って」


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