昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第二部~(十三)の六

2011-08-17 20:25:58 | 小説
明日には日本を離れるアナスターシアが、
突然腰をくねらせながら、小夜子を手招きする。
夕食を食べ終えて、誰もが無口になっている時だった。
明日の別れを口にすることが、怖い。
「オイデ、サヨコ・・」
やわらかく手を動かすアナスターシア。
波を表現するその動きに合わせて、横に腰をくねらせながらのカニ歩き。
何ともひょうきんな動きに、つい小夜子も笑ってしまった。
「ノー、ノー!」
口を尖らせるアナスターシア。
「ハワイのフラダンスという、踊りですって。
一緒に踊るよう、言ってるわ。
さ、並んで踊りましょ。
最後の夜なんだから。」

灯りを落とした部屋で、
窓から差し込む月明かりの中、三人並んで踊りだす。
窓に映るアナスターシアの真似をしながら、手をユラユラさせ腰をクネクネと。
流れる汗を拭くこともなく、唯ひたすらに腰をくねらせて。
スローテンポに流れていたメロディが、突如激しいビートにのってアップテンポへと。


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