昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」  (十九)

2013-07-10 20:06:00 | 小説
(十九)

小屋を一周したその奥の裏手に、煌々と電燈が灯り、プンプンと酒の匂いがする別の小屋があった。
十畳いやもう少し広いだろうか、板塀の小屋だった。

小さな窓から中を覗き込むと、七八人が車座になっている。
そして並々と注がれたコップ酒を、次々に空にしていた。 

その中には、座長が居た。
短剣を投げて喝采を浴びた中国人風の男も居た。

お手伝いをしていたチャイナ服が眩しかった女性も居た。
割り箸をチリ紙で叩き割った武士道の先生も居た。皆、顔を赤くしている。

そしてひと際大きな嬌声を発している、あのへび女が居た。
舞台の上で着ていた真っ白な着物姿で、やはりコップ酒を飲んでいた。

大きく胸元をはだけている。
身振り手振り大きく、話している。
白く盛り上がった乳房が目に入った時、二人とも思わず目を伏せた。

「どういうことだ、どういうことなんだ!」

「へび女だよね、間違いないよね。
一緒に居るよね、お酒を飲んでるよね。」


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