昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」 二十

2013-07-11 22:04:53 | 時事問題
(二十)

そして改めて覗いた時、今まさに、彼らに封筒が手渡されているところだった。
その中身が何であるかは二人にもよく分かった。

そして何より、友人は勿論私にも衝撃だったのは、皆が皆、あのへびを食べていたことであった。

その瞬間、私の胸の熱いものがスッと消え、目頭に熱いものがこみあげてきた。
横の友人を盗み見すると、唯黙りこくっていた。

ギラギラとした光が目から消えたように感じられた。

お互い何の言葉もなく、
急に重くなった背中のリュックー菓子パンにインスタントラーメン、
そしてせんべい類の入ったリュックをお互い見つめ合い、どちらからともなく笑った。

そして友人の目に涙が光り、私の涙は頬を伝っていた。
幾重にも重なったその夜の月は、今でも脳裏に浮かんでくる。


その日を境にして私と友人との間に、目に見えないバリアのようなものが張られた。
私の気持ちの中に嫌悪感が生まれていた。

己の馬鹿さ加減を見せ付けられるようで、友人の顔を見ることができなくなった。
そしてそれは友人にとっても同じことのように感じられた。

廊下の先で見かける友人は、すぐに曲がってしまう。
別棟の校舎に向かうこともあれば、他のクラスに入り込むこともあった。

二人の間に流れたぎくしゃとしたという空気は、卒業するまで消えることはなかった。


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