家出中の定男など相手にする会社はない。
ならばと深夜営業の外食産業に応募してみたが、親の承諾書を求められてしまった。
三日ほど歩き回って七軒目を断られたとき、定男の心が折れた。
ワル仲間との遊びに興じ始めた定男に、身重の女子生徒が反発した。
喧嘩が絶えなくなり、とうとう「赤ちゃんなんか、いらない!」と叫んだ。
言い争いに嫌気を差した定男が、やむなく孝道に泣きついた。
結局二人は別れることになったが、定男はそのまま戻ることはなかった。
二人の赤児は孝男が引き取ることになった。
渋る道子に対しシゲ子が言い放った。
「跡継ぎができるんだから、感謝して欲しいぐらいだよ」
その言葉を聞いた孝道が、すぐさま道子に頭を畳にこすりつけんばかりに懇願した。
「婆さんの戯(たわ)言(ごと)だ、気にせんでくれ。
道子さんには申し訳ないが、産まれてくる赤児に罪はない。
養子と考えんでもなかったが、相手のお嬢さんのことを考えると…な。
すまんが、こらえてくれんかね」
慌てたのは道子だ。
舅にここまでされては断るわけにもいかない。
孝男は、お前に任せるの一点張りだった。
〝あたしはあなたを愛せないかもしれないけれど、大事に育てるから勘弁してね〟
家族の誰にも愛されない赤児だった。
ならばと深夜営業の外食産業に応募してみたが、親の承諾書を求められてしまった。
三日ほど歩き回って七軒目を断られたとき、定男の心が折れた。
ワル仲間との遊びに興じ始めた定男に、身重の女子生徒が反発した。
喧嘩が絶えなくなり、とうとう「赤ちゃんなんか、いらない!」と叫んだ。
言い争いに嫌気を差した定男が、やむなく孝道に泣きついた。
結局二人は別れることになったが、定男はそのまま戻ることはなかった。
二人の赤児は孝男が引き取ることになった。
渋る道子に対しシゲ子が言い放った。
「跡継ぎができるんだから、感謝して欲しいぐらいだよ」
その言葉を聞いた孝道が、すぐさま道子に頭を畳にこすりつけんばかりに懇願した。
「婆さんの戯(たわ)言(ごと)だ、気にせんでくれ。
道子さんには申し訳ないが、産まれてくる赤児に罪はない。
養子と考えんでもなかったが、相手のお嬢さんのことを考えると…な。
すまんが、こらえてくれんかね」
慌てたのは道子だ。
舅にここまでされては断るわけにもいかない。
孝男は、お前に任せるの一点張りだった。
〝あたしはあなたを愛せないかもしれないけれど、大事に育てるから勘弁してね〟
家族の誰にも愛されない赤児だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます