昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十二) 四

2012-12-16 13:23:07 | 小説
三部構成の、
大長編です。
どうぞ気長に、
読んでください。
実はこれ、
まだ執筆中なんです。
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(四)

「ひょっとして? 社長、ご妻女? 
いやあ、社長が自慢するだけのことはありますな。
実に可愛らしい娘さんだ。」

しげしげと小夜子を見ながら、小夜子をほめそやす。
満足気に頷く武蔵、小夜子はぽっと頬を赤らめている。

「武蔵、お邪魔でしょうから、あたし行きます。」

「うん、気をつけてな。
電話しろ、帰る前に。」
「はい、それじゃ。」

その日の夕方、武蔵と小夜子はいつものレストランで落ち合った。
竹田の姉の回復振ぶりは、医者も驚くほどに順調だった。

殆んど毎日顔を出す小夜子のおかげで、
母親の愚痴を聞かずに済むことが大きかった。

「ほんとにお前は疫病神だよ。
よほどに悪行を積んだんだろうね、前世では。

祈祷師さまのおかげでこの程度で済んでいるけれども、大層な物入りだよ。」
竹田の居ない日中に、毎日毎日聞かされる言葉。

そして三日と空けずにやってくる祈祷師やら占い師。
その度に大枚の金員を差し出す母だ。

更には、月に一度のお下げ物がある。

意味不明の記号のような文字が書いてある空の一升瓶やら、空の木箱。

祈祷師曰くに、神さまの息吹が詰まった物だから、決して開けてはならぬ物だ。


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