(五)
竹田の稼ぐ給金は、こうして殆んど失くなってしまう。
他の二人がせっせと通うキャバレー。
時には羨ましいと思うこともあったが、すぐにその思いは消えた。
「勝利。お前は、姉ちゃんが可哀相だとは思わんのか!
お前がこうしてたくさんのお給金を頂けるのは、姉が病にかかっているからぞ。
神さまが哀れに思われての、お給金なのじゃ。」
それが今は、五平の一喝で祈祷師も占い師も来ない。
母親も又、憑き物が落ちたように落ち着いている。
それに何より、姉の回復がありがたい。
小夜子相手に、将来の夢を語り始めた姉が嬉しい。
「ねえねえ、タケゾー。
勝子さん、すっかり元気になってくれた。
あたしのおかげですなんて、手を合わせるのよ。
看護婦さんたちもね、そう言ってくれるの。
恥ずかしくなっちゃう。」
目を輝かせて武蔵に病院でのことを話す小夜子。
キラキラと輝くその瞳をじっと見つめて、武蔵の頬も緩みっぱなしだ。
「小夜子。昨日、お前の実家に行かせたよ。」
突然の、寝耳に水の武蔵のひと言。
言葉を失ってしまった小夜子。
見る見る顔が紅潮し、わなわなと唇が震える。
竹田の稼ぐ給金は、こうして殆んど失くなってしまう。
他の二人がせっせと通うキャバレー。
時には羨ましいと思うこともあったが、すぐにその思いは消えた。
「勝利。お前は、姉ちゃんが可哀相だとは思わんのか!
お前がこうしてたくさんのお給金を頂けるのは、姉が病にかかっているからぞ。
神さまが哀れに思われての、お給金なのじゃ。」
それが今は、五平の一喝で祈祷師も占い師も来ない。
母親も又、憑き物が落ちたように落ち着いている。
それに何より、姉の回復がありがたい。
小夜子相手に、将来の夢を語り始めた姉が嬉しい。
「ねえねえ、タケゾー。
勝子さん、すっかり元気になってくれた。
あたしのおかげですなんて、手を合わせるのよ。
看護婦さんたちもね、そう言ってくれるの。
恥ずかしくなっちゃう。」
目を輝かせて武蔵に病院でのことを話す小夜子。
キラキラと輝くその瞳をじっと見つめて、武蔵の頬も緩みっぱなしだ。
「小夜子。昨日、お前の実家に行かせたよ。」
突然の、寝耳に水の武蔵のひと言。
言葉を失ってしまった小夜子。
見る見る顔が紅潮し、わなわなと唇が震える。
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