といって、男には何もできない。ただ、背中をさすってやるだけだ。
心なしか 苦しさが増したようだ。
体を起こしてしかも両手を後ろ手にしてのことが、悪かったようだ。
とりあえず寝かせたものの、胸の締め付けだけは何とかしてやりたかった。
誰か女性の手を借りられないかと、ホールを覗いてみたが、皆それぞれに接客中だった。
何かいい方法はないかと考えるが、思い浮かばない。
そんな男に気付いたのか、ミドリが無理に起きあがろうとする。
が、男の支えがなければ 座ってはいられない。
そして動けば動くほど、更に酔いが回った。
「ごめんなさい、こんな事になってしまって。ホントにすみません」
と、か細く途切れ途切れにミドリは声を出した。
男は、黙るように優しく言うと、背広を毛布代わりに掛けてやった。
小一時間もすると、何とか歩けるようになったミドリは、男に寄りかかりながら外気に触れた。
「あゝ、いい気持ち。こんなに気持ち良く酔えたのって、初めてです。
もっとも、お酒を飲んだの、これで三度目なんです。
一度目は卒業祝いの茶話会、二度目は新入社員の歓迎会でした。
でも、今夜はすごくおいしかったです。
フフフ。武さんには、ご迷惑をおかけしましたけど」
ミドリは上機嫌だった。少し、息づかいが荒い。
「しゃべらない方がいい、その方が楽だよ」
心なしか 苦しさが増したようだ。
体を起こしてしかも両手を後ろ手にしてのことが、悪かったようだ。
とりあえず寝かせたものの、胸の締め付けだけは何とかしてやりたかった。
誰か女性の手を借りられないかと、ホールを覗いてみたが、皆それぞれに接客中だった。
何かいい方法はないかと考えるが、思い浮かばない。
そんな男に気付いたのか、ミドリが無理に起きあがろうとする。
が、男の支えがなければ 座ってはいられない。
そして動けば動くほど、更に酔いが回った。
「ごめんなさい、こんな事になってしまって。ホントにすみません」
と、か細く途切れ途切れにミドリは声を出した。
男は、黙るように優しく言うと、背広を毛布代わりに掛けてやった。
小一時間もすると、何とか歩けるようになったミドリは、男に寄りかかりながら外気に触れた。
「あゝ、いい気持ち。こんなに気持ち良く酔えたのって、初めてです。
もっとも、お酒を飲んだの、これで三度目なんです。
一度目は卒業祝いの茶話会、二度目は新入社員の歓迎会でした。
でも、今夜はすごくおいしかったです。
フフフ。武さんには、ご迷惑をおかけしましたけど」
ミドリは上機嫌だった。少し、息づかいが荒い。
「しゃべらない方がいい、その方が楽だよ」
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