昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

愛・地獄変 [父娘の哀情物語り] (十七)

2010-11-17 22:14:21 | 小説
娘は、
妻に手をあげた私が
許せなかったようで、
敵意にも似た感情を
持ったようでございます。

やりきれない日々が
続きました。
次第にお店での時間が長くなり、
食事も外で済ませるようになりました。

“離縁”ということも
頭をよぎりましたが、
娘の通う私立高校のことを考えると
それもできませんでした。

・・・いや、
本当の事を
申し上げます。
世間体を
気にしてのことでございます。

私どものような和菓子屋は、
家庭内のゴタゴタが外に漏れますと、
たちまち売り上げに響くのでございます。

考えてもみてください。
ゴタゴタを抱えた職人の作る和菓子が
美味しいはずがございません。

実際、
「ご主人がお店番?
以前より、
味が落ちたんじゃないの。」
等と
嫌みを言われたこともございます。



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