「吉田君って、子供が好きなんだね」
「いや、俺も初めて知ったよ」
「で、どうしたの?」
「うん、まぁな。彼女、本名は妙子って言うんだが、霧子じゃなくて良かったよ。
それはどうでも良いんだが…妙子ん家に泊まった」
「そうか! 朝の味噌汁が、美味かったってことか」
「違う! 反対だ、その逆だ、あのバカは、毎朝喫茶店行きだとよ。
四歳と三歳だぞ、いい加減にしろ! ってんだよ。
危うく怒鳴りつけるところだった。子供の顔見たら、泣けてきたよ。
俺がこいつらの父親になって、まともな人生を送らせてやらなけりゃ、なんて柄にもなく考えちまった」
「な、なんだよ、そりゃ。子供がいるってことは、父親がいるってことだろ?」
「そりゃあ、いるだろうさ。けど、いないみたいだ。保険証を見せてくれたよ。
世帯主は、妙子だった。未婚の母って、ことだな。
浮気だってことだろうさ。捨てられたってことだろう。何にしても、父親はいないようだ」
「おかしいよ、絶対に。一時の熱病だよ。すぐに、冷めるさ」
吉田は、まるで彼の言葉を聞いていないかの如くに、彼の話にはまるで無反応だった。
「セックスの相性がいいとか、一緒にいて気持ちが和らぐとか、そういったことじゃないんだ。
それどころかイラつくんだ、妙子を見てると。
とに角な、子供たちが可哀相でなあ。
何とかしてやりたいんだよ。俺って‥ロリコンなんだろうか」
「ロリコンじゃないよ、それは」
「学問は真理の探究だろうけれども、煎じ詰めれば人を幸せにすることだろうが。
だとしたら、俺があの子たちを幸せにしてやる為に、大学を辞めたとしても、何ら不都合はないわけだ。違うか?」
「ええぇっ?! ど、どうして、そういう話になるんだい。退学なんて、ど、どういうことなんだい」
「分からん奴だな。子供たちを養うためには、金がいるだろうが。
しかしその金をだ、親に無心するわけにはいかんだろうが。とすればだ、働くしかない。
間違ってるか? いいや、間違っちゃいない!」
「いやしかし、話が急すぎて。ちょっと待ってくれよ。
そうだ、僕なんかより、君の敬愛する助教授にでも相談してみろよ。
とに角、退学なんてのは止めたほうがいい。
とりあえず、休学ぐらいにしておきなよ」
突然の宣言に慌てた彼は、逃げにかかった。人生の一大事に対し、唯々うろたえるだけだった。
「予想通りだ。休学、そして助教授。君ならそう言うと思った」
「いや、俺も初めて知ったよ」
「で、どうしたの?」
「うん、まぁな。彼女、本名は妙子って言うんだが、霧子じゃなくて良かったよ。
それはどうでも良いんだが…妙子ん家に泊まった」
「そうか! 朝の味噌汁が、美味かったってことか」
「違う! 反対だ、その逆だ、あのバカは、毎朝喫茶店行きだとよ。
四歳と三歳だぞ、いい加減にしろ! ってんだよ。
危うく怒鳴りつけるところだった。子供の顔見たら、泣けてきたよ。
俺がこいつらの父親になって、まともな人生を送らせてやらなけりゃ、なんて柄にもなく考えちまった」
「な、なんだよ、そりゃ。子供がいるってことは、父親がいるってことだろ?」
「そりゃあ、いるだろうさ。けど、いないみたいだ。保険証を見せてくれたよ。
世帯主は、妙子だった。未婚の母って、ことだな。
浮気だってことだろうさ。捨てられたってことだろう。何にしても、父親はいないようだ」
「おかしいよ、絶対に。一時の熱病だよ。すぐに、冷めるさ」
吉田は、まるで彼の言葉を聞いていないかの如くに、彼の話にはまるで無反応だった。
「セックスの相性がいいとか、一緒にいて気持ちが和らぐとか、そういったことじゃないんだ。
それどころかイラつくんだ、妙子を見てると。
とに角な、子供たちが可哀相でなあ。
何とかしてやりたいんだよ。俺って‥ロリコンなんだろうか」
「ロリコンじゃないよ、それは」
「学問は真理の探究だろうけれども、煎じ詰めれば人を幸せにすることだろうが。
だとしたら、俺があの子たちを幸せにしてやる為に、大学を辞めたとしても、何ら不都合はないわけだ。違うか?」
「ええぇっ?! ど、どうして、そういう話になるんだい。退学なんて、ど、どういうことなんだい」
「分からん奴だな。子供たちを養うためには、金がいるだろうが。
しかしその金をだ、親に無心するわけにはいかんだろうが。とすればだ、働くしかない。
間違ってるか? いいや、間違っちゃいない!」
「いやしかし、話が急すぎて。ちょっと待ってくれよ。
そうだ、僕なんかより、君の敬愛する助教授にでも相談してみろよ。
とに角、退学なんてのは止めたほうがいい。
とりあえず、休学ぐらいにしておきなよ」
突然の宣言に慌てた彼は、逃げにかかった。人生の一大事に対し、唯々うろたえるだけだった。
「予想通りだ。休学、そして助教授。君ならそう言うと思った」
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