昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(八十四) 女の沽券に関わるわ

2014-04-14 21:39:11 | 小説
(三)

「うぅん、あたしもやるわよ」と前に進み出た小夜子。

「お姫さまを矢面に立たせたとあっちゃ、私の女の沽券に関わるわ。
私が、でんと入り口で阻止してみせるから」
と、大女大女とからかわれている女子社員が、仁王立ちをして見せた。

「そうそう、後ろにはあたしたちが居るから。
安心して、きっと骨は拾ってあげるから」

気勢の上がる総勢六人の女子社員。
小夜子を含めて、七人の女侍が誕生した。

「こら、男ども! 情けないぞ! 女性にあんなことを言わせてもいいのか? 
お前ら、一生、女の尻に敷かれることになるぞ! 
しっかりしろ、まったく。よーし。男たちで、トキの声を上げるぞ」

五平の音頭取りで、
「えいえい、おー!」と、声が響いた。
何事かと、通行人が覗き込むほどに、富士商会が燃えあがった。


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