昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第三弾:【ある時の彼女】 (六)

2010-05-26 22:11:02 | 小説
(天使を見た)

ホームはたくさんの人だかりであった。
帰郷の人、
レジャーに向かう人、
出張の人等々。

それらの人たちに
それぞれの喜怒哀楽がある。
中には、
あくびをしながら
人生の退屈さを
まざまざと見せつける人もいる。

彼女は敵意の目を向けながら、
目的地に行く列車のホームへと急ぐ。

途中、
彼女は紛れもない、
天使を見た。

何の汚れも知らぬ、
世間の風の冷たさ・騒々しさ、
この世の悪という悪に体中を突き刺され、
その痛みに「ワーワー!」と、
泣き叫ぶ幼子を。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿