昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(九十) 最後に笑えば良いのよ

2014-06-18 21:20:14 | 小説
(七)

「男のくせにうじうじしちゃって。
終戦の決断も、天子さまのご英断でしょ。
それにね、アメリカ本土は無傷だったんでしょ? 
どうせ特攻なんて無謀なことをするのなら、アメリカ本土をやっつけなきゃ。
そうすれば、こっちの言い分が通ったはずよ。
ほんと、日本の男たちって、だめね。格好ばっかり付けちゃって。
負けるが勝ちなのよ。いろいろと条件を付けてさ、さっさと負ければ良かったのよ。
負けるが勝ちよ、何年何十年かかろうと、最後に笑えば良いのよ」

唖然とする竹田、開いた口がふさがらなかった。
小夜子について武蔵から聞かされてはいたが、当の本人からぽんぽんと飛び出してくる話は、竹田の想像の域を越えていた。

「小夜子は、突拍子もないことを考え付くぞ。
兎に角目的の為には、手段を選ばんぞ。
男を屈服させるために、平塚らいてふやら与謝野晶子やらの書物を読破したんだからな。
あの正三とか言う男が、その標的だったんだろう。
気の弱いところが、小夜子の目に止まったんだろうな。
御(ぎょ)しやすいとな。
本人にはそんな気はなかったのかもしれんが、そういう男を求めていたんだろうさ」


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